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デザイナーとして他業種とのつながりを大切にする理由

ファッションデザイナーとして活躍したいと思うのであれば、活動の拠点は東京のほうが圧倒的に有利なのではないか? ファッション業界の人と積極的につながって、人脈を広げたり情報収集するほうがいいのではないか? 3年前から活動拠点を静岡に移し、ファッションとは関係のない業種の人たちと次々とつながって、そのつながりを大切にしている村松さん。村松さんは「だからこそ自分にしかできないことが生まれる」とおっしゃっていました。

こんにちは、記者のカミュです。連載「村松啓市の仕事」では、世界で活躍するデザイナーの村松啓市さんの魅力や、その作品について、ご紹介しています。今回のテーマは「他業種とのつながり」です。

■刺激をもらえることが大きな収穫

村松さんはよく「ファーマーズマーケットのように」服を売りたい、と話してくれることがあります。「ファーマーズマーケットのように」というのはつまり「生産者や生産背景が見える」ということです。以前、このnoteでもご紹介させていただいたことがありますが、野菜などと違って服作りというのは徹底的な分業が行われているので、1つの服を製作するために数十社が関わるような状況です。そんな中で「生産者や生産背景が見える」ことを実現するのは非常に難しいことなんです。村松さんはできる限りこれを実現するために、日々、静岡で奮闘(笑)されています。

「ファーマーズマーケットのように」を実現することを念頭に、村松さんは現在、農家さんや料理人さんなど、ファッション業界とはまったく関係がないと思える方たちと積極的につながって、お仕事をされています。

具体的には現在、静岡のお茶ブランドの「chabashira(チャバシラ)」さん、オーガニック野菜農園の「北山農園」さん、発酵料理人の「檸檬とラクダ」さんなどと、お仕事をご一緒させていただいています。

ファッション業界以外の方と積極的につながることは、村松さんにとって大きな刺激があり、仕事にもとてもいい影響を与えてくれるものなのだそうです。

皆様、信念をもっていて、実際の活動もとても素晴らしくて、とにかく生き様がかっこいいです。

*「chabashira」さん

静岡のお茶ブランド「chabashira」さんは、先日まで村松さんが挑戦していたクラウドファンディングでリターン品の提供などもされていました。商品の一例は、以下のような感じです。

↓コーヒーのようにドリップ式で淹れられる香り高いお茶

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↓グリーンティーなのに赤い「紫蘇(しそ)」のお茶

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普通のお茶農家さんのイメージとは、だいぶ違いますよね(笑)

「chabashira」さんは、私たちと同世代の方たちが集まって活動されているお茶ブランドです。農家さんとデザイナーさんなんです。農作業しながら、デザイン活動しながら、地方のイベントに出店するなどお茶の美味しさを伝える活動をされています。その行動力には本当に頭が下がります。。。静岡県民は、美味しいお茶を普段から当たり前のように飲んでいるのですが、「chabashira」さんの淹れ立てのお茶は非常に香り豊かで、私も初めて飲んだときはびっくりしました(笑)

*「北山農園」さん

静岡県富士宮市にある「北山農園」さんは、オーガニック野菜農園としてはとても有名な農家さんです。都内のレストランからの注文で、いつも野菜の出荷に大忙しの状況なんだそうです。

↓北山農園さんではオクラの成長過程をすべて見ることができます

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↓ピーマンだけでもこんなに種類がたくさん

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↓こちらはなかなか目にすることが少ない野菜のお花

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とても強固な信念のもと野菜を育てていらっしゃるので、お話を伺って私も植物(野菜)の本質的なところを学ぶことができました。私の新ブランド「muuc」の今年の春夏コレクションでは、この「野菜の花」がモチーフとなっている刺繍やプリント柄を施した服が何点かあります。「北山農園」さんとの出会いがなければ生まれなかった作品です。今回のコレクションにはなくてはならない存在になりました。

今後、村松さんと「北山農園」さんは、さらにいろいろなプロジェクトを一緒に動かしていく予定があるそうです。楽しみに注目してみていたいなと思います。

*「檸檬とラクダ」さん

発酵料理人の「檸檬とラクダ」さんは、静岡県の藤枝市で活動をされている方ですが…… 世界一周を経てさまざまな菌に出会ったことから、今の活動を始められたというすごい方です。でも、村松さんとはまったく他業種の方です。どのようにしてつながることができたんでしょうか?

実は、私の新ブランド「muuc」で行う今シーズンの一番大きなスペシャルイベントを来週開催するのですが、そのイベントのために私のほうから初めてコンタクトを取らせていただいたんです。地元で活動されていて、その料理のセンスは以前から知り合いの口伝てで聞いて知っていました。自家製麹をご自身で育てて、身体に優しい食材を使って調理されているという……インスタグラムなども以前から拝見していて「こんなにセンスのある料理を作って静岡で活動されている方がいるのか」と、同じ地方で活動する身にとって、とても刺激になっていました。今回お仕事をご一緒させていただけて、本当にうれしく思っています。

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村松さんのおっしゃる通り、とてもおしゃれで美しいですね!

ここで村松さんがおっしゃっている「来週開催するイベント」というのは、村松さんの新ブランド「muuc」の今シーズンの一番大きなイベント「muuc special event 2019 – at 2020 Spring/Summer collection presentation」のことです。このイベントでは、今ご紹介した「chabashira」さんの淹れ立てのお茶と、「北山農園」さんの野菜で「檸檬とラクダ」さんが作ったお菓子が、来場者の方に無料でふるまわれるそうです。

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■いくつもの収穫から生まれる新しいデザイン

村松さんは今年、15年間続けてきたブランド「everlasting sprout」を「muuc」と改名して、新たなステージへ進む挑戦をされています。「muuc」の前身となるブランド「everlasting sprout」のブランド名には、そもそも「新芽」という意味があります。村松さんはずっと以前から、自然や植物に対して強い思い入れがあり、それをファッションデザイナーとしての仕事に自然に落とし込んでいらっしゃったのかもしれません。

私の活動(特にニットブランドの「AND WOOL」)のコンセプトの一つが「ファーマーズマーケットのようにニットや手芸、ファッションを伝えることによりカルチャーを育てる」なんです。つまり、「食」については私自身も学びたいことが多く、非常に自分の関心が高いジャンルでもあります。だから、農家さんや料理人さんとの何気ない会話から、学ぶことはとても多いです。

村松さんは、今回のコレクションの中で、実際にこの「学び」から生まれた新しいデザインを発表されています。それが「野菜の花」をモチーフにした刺繍やプリント柄です。

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私は、自分のクリエイションに刺激をくれる方と一緒に「モノづくり」をするのが好きです。今回の「muuc」のコレクションの服には、そんな人たちと一緒に、私が普段感じている「静岡の空気」のようなものを入れたいなと思いました。それで「野菜の花」のイラストは、同じく静岡で活動されている「一栁綾乃」さんに描いていただくことに決めました。一栁さんに、オーガニックで自然に近い状態で野菜や野草を育てている農家さんとして紹介していただいたのが、「北山農園」さんだったんです。野菜の話を聞いているうちに「野菜の花をそのままモチーフに図案にしてプリントで表現しよう」となりました。すべて畑の花(食べられる花)による花柄です。春菊、ジャガイモ、フェンネル、ポリジ、ストリドーロ、コリアンダーの花をモチーフにしました。 

静岡という場所での新しい出会いから、そこでしか生まれない新しいデザインが生まれて、他にはない背景や「ストーリー」をもつ服が誕生している、ということなんですね。

私は服作りにおいて、自分が普段感じているデザインの源、植物や土や風や匂いなど、つまり「日常の感覚」を「ちょっと素敵な服」に落とし込む、ということをやっています。そこには、私たちの服にしかない「ちょっと素敵なストーリー」がいくつもあるんです。それを私は実際にその服を着てくださる方に伝えたい。来週のイベントでは、そんな気持ちを届けるために、静岡で共に活動する方たちのお力を借りて、ご来場くださる方をおもてなししたいなと思っています。

「muuc」の服をまとうことは、たくさんの人の愛情や、暖かい太陽や、おいしい空気や、自然の恵みをも同時にまとうことになるのではないかな……そんな感じがするとてもいいお話でした。

話の途中で何度も出てきていた、来週開催される「muuc special event 2019」、ご興味のある方はぜひ足を運ばれてみてはいかがでしょうか。

↓イベントの詳細はこちらです


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