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上野さ


 もうすぐシャンシャンが帰ってしまう上野へ行った。そう、ピカソを見るために。メガネ問題は、太古につくったスペアメガネを探し出してことなきを得た。びっくりするくら存在を忘れていたよ、ありがとうスペア君。

 日が落ちてから到着した上野。上野動物園の閉じた門を眺めながら、アイドルの全力歌唱を聴く。東博の前で何かイベントが行われていたのだ。
 パンダがらみのイベントということだけわかった。屋台と野外ステージが設けられ、非常に賑やか。お祭りの屋台が大好きな向井、ピカソ前に小腹を満たそうと屋台を見て回るものの・・・。すべて中華料理の屋台だ。麻婆豆腐、焼いた羊肉の串、焼いた海産が積み上がり独特の圧を出す屋台・・・。
 私は思った。
「普通の焼きそば食いてえな…」
罪悪感でそそくさと会場を後にした。

 ロダンの《考える人》ってこんな威圧感あったっけ?
仕事帰りの母と待ち合わせ。早めに国立西洋美術館前にたどり着き、ロダンの彫刻複製を見て回る。「あれ?考える人位置変わってない?おいおい!位置変わってんのかおいおい!」と安易に駆け寄り、すんごく怖い思いをした。

思っていたよりずっと怖い!

 上野公園、夜の桜並木道を歩く。灯篭が道のわきに並んでいて、とても美しかった。眺めながら歩いていると、やけに丸っこい雀がいる。最近野鳥観察がテーマの漫画を読んだ私は雀にも興味津々だ。雀が走り出した、紐状の尻尾がたなびいて・・。
「ウワー!鼠だー!!」
 うっかりそこそこの大声を出し、一人おじさんが立ち止まり、しばらく鼠を眺める。渋谷では何度かドブネズミを見かけたが、まさか美しき上野公園で鼠を見るとは。桜の木の幹に穴が開いていて、そこが巣らしかった。綺麗だからこそ住んでいる鼠かもしれないね。

 初めて上野に行ったとき。「何ここ!常にお祭りじゃん!!」と声に出した記憶がある。あの頃は上野に来るのにちょっとした小旅行並みの工程が必要だったが、今は一本の電車、片道数百円で訪れられる。軽率にやって来て、意味もなく上野公園のベンチに一日中座ったりしたいものだ。

 ピカソの話は明日します。あいらぶ上野。

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