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ADHDの私の、本当の困りごと。

ADHDあるある〜!の、部屋が汚いとか、カバンの中がぐちゃぐちゃだとか、そんなことはもう今に始まったことではないし、究極困るのは自分だけだ。
いくらものを買わないようにしても、処分方法に困るものたちはどんどん積み重なっていくし、大昔に影響を受けた漫画や小説、CDなども簡単には手放せない。と思いきや一転、急に思い立ってすべてを捨ててしまいたい衝動に駆られたりもする。
カバンの中は、どんなにクリアファイルで仕分けしようがポーチで小分けにしようが、底には折れ曲がったレシートがへばりついているし、ポケットからは食べかけのミンティアや中途半端なポケットティッシュ、不衛生なリップクリームなんかがいくつも出てくる。
そりゃ困ると言えば困る。子どもの頃なんてもっとひどかったし。それでも今は、自分が恥ずかしい思いをしたり嫌な気分になるだけで、とりあえず済んでいる。

では結局何が一番困るのかといえば、仕事なのだ。
仕事は自分一人では背負えない。
知っている誰か、初対面の誰か、さらにその先にいるたくさんの誰か。常に他者と接しながら、利益を生み出すために効率的に業務をこなしていかなければならない。
そしてミスをすれば大勢に迷惑がかかるし、大きな問題に発展してしまうリスクもある。
さらにマルチタスク、スケジュール管理、コミュニケーション能力、スピード感、向上心…なんだか苦手な言葉ばかりだが、労働の現場ではこれらの最低限のスキルが必要不可欠だ。が、私にはほとんど欠けていた。伸ばすことも困難だった。
20代前半の頃はきっと若さと期待で見逃してもらえていた弱点が、20代後半、少し大きなオフィスに転職したのをきっかけに明らかな問題として浮き彫りになっていき、精神科受診(一度目)に至ることとなる。

具体的には、仕事Aの進行中に仕事Bの依頼が来る。さらにその後仕事Cの予約が入る。それらと並行して電話対応や受付対応、後輩への指導、掃除…など、メイン業務とサブ的な業務が常に隣り合う状態が続く。そうなるともう頭の中はぐちゃぐちゃ大パーティーだ。
無論オフィスでは当たり前の光景で、周りはみんなスンとした顔で普通にこなしている。けれども私はたとえこれだけのことでもあっという間にキャパオーバーになってしまうのである。
たとえば、
・優先順位が分からなくなる
・仕事Aの最中に仕事Bが気になり中途半端に手をつける
・昨日終えた業務の失敗を引きずる
・断れずなんでもかんでも引き受けてしまう
・自分の見通し通りに作業が終わらず残業
・電話相手の社名が聞き取れない
・手元の電話メモにはなぜか自分が発した言葉をメモしている
・受付で違う部署の知らない担当者名を出されると応接室に案内している間に綺麗さっぱり忘れてしまう
…など、挙げていくとキリがなくて結構落ち込む。
そして落ち込むとさらに集中力が欠けていく。
目の前の人の話し声が頭に入らない、自分とは関係のない会話や遠くの音が頭に突き刺さってきて作業が進まない。甲高い声や高圧的な声が聞こえてくるともうさらにダメ。
基本的に手先が不器用なのでコピーやスキャンでさえも度々失敗して、こっそりやり直したり、心配そうな顔で覗かれたりもした。
きわめつけはミーティングである。
スピーディーに展開される議論についていけず、内容を断片的にしか捉えられない。参加を促されても言葉がすぐに出てこず役に立たない。いったん冷静に紙にまとめてひとりで静かに考えなければ、私は意見のひとつも出せないのだ。
本当に、情けない。
いつも弱々しくオドオドしているせいで、パワハラやセクハラにも度々遭遇した。後輩にも年下にもナメられる存在。
もちろん、大切に見守ってくれた人たちのことも忘れずにいたいけど、どうしてもつらい記憶ばかり反復してしまい病んでいく。
結局仕事は長続きせず、暗い部屋で泣きながら「生きづらい」と検索する日々。
何度も同じ失敗を繰り返し、精神科に行く以外の選択肢がもう思いつかなかった。

(その後も色々な失敗を重ねまくり)
現在は発達障害(ADHD)とうつ病とともに生きている。
生きているだけ、だけど。
発達障害の方の中にはクリエイティブな職につく方も多いとよく耳にするが、私には特に冴える才能もない。
あるのは卑屈な頭と、錆びていく肉体。
子どもの頃に自分の違和感とちゃんと向き合えていたら、正しく目的地を設定して努力できたのだろうか。と引きずられる感情もあるが、きっと私のことだから、大した努力もできなかったんじゃないかな。
そうして諦めて今だけを見る。30代半ばにしてついに服用を始めたアトモキセチン。もう分かる。薬だけでどうにかなるほど世界は甘くはないでしょう。
それでも辛うじて縋れるものを手にした気持ちはある。
ここに辿り着くまでの道のりでライフゲージはもうカラカラ。

果たしてあとどれくらい頑張れるのだろう。

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