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1994年、月の裏側で会うピンク・フロイド

■ピンク・フロイドのヴィンテージTシャツ

Keep Calm On Tee Schatz Tシャツとロック音楽についてお話ししています。
YouTubeやnoteで音楽やロックミュージックに関するコンテンツは多いですし情報の質も量も充実してますよね。
Tシャツも市民権を得てきたと思っているので、ここでもうちょっと皆さんに、このTシャツのデザインはどこから来たのか、そして発売当初は2,000円、3,000円だったTシャツが20,000、30,000と10倍の価値で取引されるような付加価値を産んだのか、やっぱりそこには理由があるのではないかと。その一部でも、私が知るものを少しお伝えできればなぁ、とそんなつもりでやっているわけです。

ということで、season7 はピンク・フロイドとTシャツについてお話ししています。前回は90年代のピンク・フロイド唯一のアルバム”Division Bell"(邦題:対)
のアルバムジャケットをモチーフにしたTシャツの柄何かについてお話ししたのですが、今回はその”Division Bell"の発売に伴うワールドツアーのTシャツです。
まず、90年代製の者の特徴、コピーライトがついています。ブロカム社へライセンスを出してちゃんとブロカム社のタグがついています。ブロカム社はアメリカのTシャツのボディメーカーでこの時期にミュージシャンのマーチャンダイジングTシャツを多く作っていました。
この時期のブロカム社製Tシャツボディの特徴として、襟と袖がシングルステッチ、裾がダブルステッチになっています。
まず、この辺りはヴィンテージTシャツのベーシックな要件と言っていいんでしょうか。
そして、おまけ的ではあるんですが、結局のところこの部分が一番大きな付加価値をつけているのかもしれませんが、このTシャツと同型同柄のものを有名ミュージシャン数名が着用していました。

■”Dark Side of The Moon"完全再現ライブ

ここからが、Keep Calm On Tee Schatz 的なお話し。
このTシャツは先ほどお話ししたように”Division Bell"の発売に伴うワールドツアーのTシャツです。”Division Bell"のツアーは当時の観客動員数の記録を塗り替える大規模なもので会場は軒並みスタジアムクラス、ステージには巨大な円形スクリーンにプログレらしい映像が流れ、照明効果が光のスペクタクルを作って、それはライブでもプログレッシブロックでした。
何より、このツアー、”Dark Side of The Moon"をライブで完全再現したことが当時から話題になりました。ショウの後半の”Dark Side of The Moon"の方が注目されていたのかもしれません。何といってもその当時でもビルボード200に10年以上チャートインしているほどのモンスター・アルバムの再現でしたし、まぁどれほどの注目であったかは想像できるのではないでしょうか。このライブは映像化されているのでご覧なった方もいらっしゃると思いますし、一部はYouTubeでも見ることができます。
世界中が、1994年にピンク・フロイドの”Dark Side of The Moon"を全曲ライブで聴けると思っていなかったのでしょう。ロックの黄金期に生み出された最高のロックの一つがパンクというアティチュードも通過し、産業化の中で幻想的に肥大化し、グランジやダークでヘヴィな世界の中でも求められるという、それはもうほとんどあり得ないようなことなんでしょうと思います。

■最後のツアー

そんな1994年のピンク・フロイドの”Dark Side of The Moon"とそのライブ会場、北米のスケジュールがバックにプリントされたTシャツだからこそ、付加価値を産んでいるのではないでしょうか。
”Dark Side of The Moon" 月は狂気の例えだと言います。月の裏側というのは黄金の時代を過去にした向こう側のロックの世界のことで、1994年という時にピンク・フロイドはそれを垣間見せたのかもしれません。
その後、アーティストが一番全盛期だった時のアルバムの完全再現ライブが数多く開かれていたりして、それは何だか寂しい気持ちもするのです。それは何となく終わりの宣言のように映るからです。
ピンク・フロイドは静かに満ちていた月がゆっくりと欠けていくようにピンク・フロイドらしく消えていきました。

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