見出し画像

選手キャリアを一時は閉ざされた男。ジンチェンコのこれまで。

サッカーをするには土地、場所すなわち環境が必要。今日本では当たり前に芝生のグラウンドがあったり、幼少期からサッカーができるクラブチームもある。サッカーをすることができる環境がある。ジンチェンコはウクライナ出身。ウクライナでは東部と西部による過激な対立が続いており、多くのチームが消滅したり、スタジアムが使えなくなるなどサッカーをするには危険な状況が続いていた。ジンチェンコもその影響を受けた1人である。

ジンチェンコ シャフタール→ウファ
 

 本名オレクソンドル・ヴォロドロミッチ・ジンチェンコ。ウクライナ代表期待のニューカマーで本職はセントラルハーフなどのポジションだが、シティでは左SBで重宝される。ペップも称賛するクレバーな選手だ。ジンチェンコのキャリアは複雑だ。ウクライナの名門シャフタール・ドネツクの下部組織でプレーし、着々と進んでU19のカテゴリーまで昇格した。ユース年代ではUEFAユースカップでマンチェスター・ユナイテッドのU19にも勝利するなどチームとして結果を残していた。

当時のシャフタールU19には現在もシャフタールのトップチームで活躍するミコラ・マトヴィエンコやヴィクトル・コバレンコやウクライナ代表のエデュアルド・ソーボル(ヤブロネッツ)がいる。ちなみにマンチェスター・ユナイテッドU19にはアンドレアス・ペレイラ(現マンチェスター・ユナイテッド)がプレーしていた。

 下部組織で10番でキャプテン。ここまでこればトップ昇格も不思議ではなかったが、当時シャフタール・ドネツクのトップチームにはヘンリク・ムヒタリアン(現アーセナル)やドウグラス・コスタ(現ユベントス)がレギュラーとして活躍しており、ジンチェンコいわく「彼らの中に割って入っていく事は厳しかった」と感じていた。

 当時は現在マンチェスター・シティでプレーしているフェルナンジーニョも所属。ジンチェンコは14、15歳あたりからフェルナンジーニョのプレーを近くで見ていたようだ。

 そしてウクライナという情勢がジンチェンコの人生を左右する。ジンチェンコの生まれたラドミシェルは内紛闘争が厳しい街だったようで、ジンチェンコは一家でウクライナから離れることを決意した。ウクライナの情勢がウクライナサッカーに影響を大きくもたらしているようにジンチェンコも深く関わった。

 ウクライナ情勢とサッカー  シャフタール・ドネツクのホームスタジアムであるドンバス・アレナは爆撃を受けるなど、内紛に巻き込まれて使えない状態に。2015年にELのファイナリストであったドニプロが衰退していき3部リーグに所属していたり、強豪チームであったメタリストも経営破綻となって消滅した。サッカーができる環境が失われていったのである。

 ウクライナからロシアへ移ったジンチェンコは所属クラブを探す。当初はルビン・カザンのプレシーズンの練習に参加をしていたが、シャフタール・ドネツクとの契約が残っていたため登録はできず。4,5か月クラブに所属していない状態だった。その間ジンチェンコは独学でトレーニングし、コンディションを整える。そして無事シャフタール・ドネツクとの契約が切れると、ロシアのFKウファに移籍した。

 この時FKウファには元アーセナルのエマニュエル・フリンポンがいました。グーナーの皆さん懐かしいでしょう...

 FKウファでは一年半ほどのプレーだったが、左SB、セントラルハーフをはじめ右ウィングでも起用されるなど、様々なポジションでプレー。そして16/17シーズンにマンチェスター・シティに200万ポンドで移籍。無所属だった時期から数年で欧州トップチームへのクラブにたどり着いた。初年度はPSVにレンタルとなる。フィリップ・コクー監督のもとCLにも出場。後半戦はPSVU21でのプレーが多くなるが、ここで7試合で9アシストと記録を残す。当時はPSVU21に現在PSVのトップチームでプレーするステファン・ベルフワインやパブロ・ロサリオがいた。

 そして17/18シーズンからはマンチェスター・シティでのプレー機会が増える。メンディーの長期離脱により左SB一本でのプレーとなるが、内側でもプレーを求められるペップのサッカーでは重要なピースとなっている。

今回ジンチェンコのインタビューを和訳したため、少しの履き違いはもしかしたらあるかもしれない。しかしサッカーと文化、政治の問題があらわになっていることは確かではないか。プレーしたいと願っていてもその環境が優れているとは限らない。才能があっても環境がないと実力を証明できない。サッカーと政治は切っても切れない関係であることを改めて感じた。


今回はジンチェンコのみですが、また書いていきます!

最後までありがとうございました。


就活生です。サッカーばかりでしかもコアなところを攻めています。少しでも驚き、笑いがあった方はサポートお願いします。