女の子と恋の話。

百合好き男子の、自分もこんな風に百合エピソードをしてみたかったという感覚がある人なら共感してもらえると思う。
自分はモブを徹底して、絶対に尊い2人を邪魔したくないというできたお人には私のこの欲望はイマイチぴんときてもらてないかもしれない。
さて、私は女だ。
性自認も、体の染色体も女だ。
だけれど私が愛する女性たちは私とはまた違う別の生物のように感じられる。
それは愛するあまり愛玩として下にみたいとかそんな陳腐なものではなく、
私には一生なれない格差、憧れの凝固体のような意味での別の生き物だ。
私にはない、繊細な肌、髪質、柔なかな肢体、脆くて、それでいて私より遥かに強く頼もしいそんな女性を私と同じと思いたくないという感覚だ。
完璧な敗北と自身の不適合、落胤。それゆえの別人種という感覚。
私は自身の思い描く女性になりきれていない。
私は強いふりをするがものすごく弱い。
それでいて可愛いものも似合わないこの容姿。
私の定義でいう所の女性と名乗るにはあまりにも私はすべて足りない。
だからこそ私は憧れて、幻想を抱いて、それでいて身近で、美しい彼女たちに惹かれて、その美しさにひれ伏し続けているんだと思う。
大分話が脱線してしまったようだ。
まぁそんな流れから私は百合が好きだ。
この流れで百合と言えば花の百合ではなく女性同士の恋愛をテーマとするその百合だ。
私が憧れてやまない性別、女性。
その女性がなんと女性と恋愛する物語だ。
好きにならない訳がないじゃないか。憧れ×2な訳である。こんなお得なもの傾倒するしかないだろう。
勿論すぐそのテーマに出会ってから私は百合に恋をした。
百合、日本文学でいうところのS
。ビアン 、レズ、レズビアン 。
セクマイ、クイア。そのような単語で調べては摂取し続けた。
そうここで最初の話に戻る。私の欲望だ。百合好き男子の自身もそのエピソードを女性に生まれていたらやってみたいという事だが、私はすることができるのだ。はははうらやましいだろ。
勿論私は私の定義でいう所の女性には当てはまらない。
今一つ高尚な百合を埋める媒体の一つとしては足りなすぎる。
それでも体の符号の女と性自認の女という記号を持つ自身。
それを持つのなら百合を私で体現したいという欲望を持つのはあまりにも自然な発露かとも思う。
そう、私の欲望は彼女たちと恋に落ちること。
恋に恋しているだとか、ナルシストだとかきっとその側面もあるかもしれない。
憧れとお近づきになることでの、同化的要素も少なからずあるだろう。
でも憧れの生物の本のような恋愛をできることを望み、憧れの中の憧れの人物に恋をしていくこの欲望はまごうことなき純粋な恋なのではと今ではそう感じる。
この欲望を満たしてきたエピソードを語るために私はこの文を書いた。
特定を避けるため多少の脚色はしているけれども全て私が愛した女性たちと私の物語だ。
女性の美しさに心奪われたこの欲望を少しでも分かつことができたら嬉しい。

エピソードC
彼女は白かった。さらさらの柔らかな髪、控えめな眼、薄く赤い唇、整った稜線。
愛らしさを集約した彼女は女の子にも男の子にも好かれていた。
そんな彼女は優等生気質で分け隔てなく社交的であった。
そんな彼女に恋をしたのは幼稚園の頃である。
同じ地区に住む同い年の彼女は、社交性皆無な私を外に連れ出してくれた。
彼女の笑顔が見たくて彼女がこちらを向いてくれることが私の幸せだった。
彼女が別のお友達とキスをしたよと言ってきた。
私はその時初めて嫉妬という感情を覚えた。
私ともして欲しいと言ってキスをした。強引なキスがうんだのはあり触れた歯がガチッと当たるキスだった。
彼女のことを愛していた。
Cちゃん憧れの女の子。

エピソードS
彼女は年上だった。6年生、最上級生だ。
部活動の交流だった。私はまだ3、4年だったと思う。
彼女の少し房の大きいポニーテールが眩しかった。彼女の切れ長の奥二重は澄んでいた。彼女のふっくらした肢体も、厚めの唇も、八重歯も、鼻にかかった落ち着いたトーンの声も話し方も全て好きだった。
彼女は面倒見がよく、後輩の私や他の学友へよく話しかけ色々なことを教えてくれた。
優しくて温かみがあって、とても人気のある先輩だった。
こっちを見て欲しくて、学友と一緒にすずむし先輩と名前にちなんだあだ名で呼んでいた。
すずむし先輩!と言うと、もー違うでしょーと優しく怒ったふりをしてくれる姿がどうしようもなく好きだった。完全に恋をしていた。
学友と先輩を奪い合うように、先輩先輩とまとわりついていつも遊んでもらっていた。
彼女があなたの事気に入ってる。楽しい子だねと笑った顔。
私の欲望の原点です。今はどうしていますか?

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