映画「フィッシュストーリー」ネタばれ解説と所感

別ブログにて映画公開時に書いていた備忘用のメモと感想だが、
長文すぎてブログ記事としては向かないため、一部加筆・修整して
こちらに載せるとする。

この映画は舞台挨拶をきっかけに最初に観たのだが、舞台挨拶時の
感想などについては当時のブログ記事を参照願いたい。


前提事項として私が「RENT」という以前ブロードウェイ上演されていたミュージカルを好むことを添えておく。日本語版キャストに本作の主演の一人である森山未來が起用されていたことを受けての感想も含まれるので。

【はじめに】

この映画の概要としては、"逆鱗"という名のバンドが出した曲

「フィッシュストーリー」を軸として、複数の時代で誰かが起こした小さな
変化が、最終的に地球を救うというもの。

そしてこの作品で重要な役を担う人物として、森山未來が登場します。
パンフレットのインタビューで監督も
「素のときから演技に入ったときの集中力がすごい」と言っていた。

そういえばRENTのときも楽屋に入るまでは無口でクールな感じだけど
開演したらとても無邪気な笑顔でカメラを観客に向けたりしていた。
あの変わり様はまさにプロだ。ただ本音を言うともう少しファンサービスが
あっても良かったなぁ、RENTのとき。

…話がそれた。

物語のキーワードとして「正義のヒーローが地球を救う」というものがある。
最終的にそのヒーローになるのは…
・売れないパンクバンド逆鱗
・寝ている間はどんな物音も聞こえないドジな女子高生
・人に逆らえない臆病で気弱な青年、笑える話をするコック
という、まるで関連性が想像できない人々である。

そして、全てを繋ぐ鍵になるのは逆鱗が歌う「フィッシュストーリー」という曲。

真相がわかるのはエンドロール直前。
一応そのちょっと前にわかる人は先がわかるけれど、劇中では説明されていないエピソードもあるので、完璧に全ての繋がりが、種明かし前にわかることはないだろう。原作ともだいぶ展開が、特に「地球の救い方」が違う。

では、あらすじとともに詳細の感想を書いていこう

内容に触れる箇所があるので、未見の人はよく考えて続きを見てほしい。
また、個人のメモ書きに基づく劇場鑑賞直後の感想に後日パンフレット等で確認した情報を含めてあるためかなり膨大な文章量であり、あらすじというよりほぼ内容のテキスト化のようなものなので、有料記事部分は覚悟して読んでもらいたい。

【2012年-彗星の衝突まで あと5時間】

廃墟のような町でただ一件だけ営業中のレコードショップがある。
物語はここから始まり、ここで終わる。

2012年の登場人物は三人
店長、常連客、体の悪い男・谷口

あと5時間で地球に彗星が激突するという状況でマニアックな会話をしている店長と客を見て谷口はイライラしている。

「もうすぐ世界は終わるんだ」

それを聞いて店長が言う

「正義の味方が世界を救う」

店長がお気に入りのバンド"逆鱗"のラストアルバムをターンテーブルにかける。流れてきた曲はFISH STORY
ふと、曲が途切れる。ジャケットの裏には注意書き。

”曲中に無音の箇所がありますが、制作者の意図によるものです”

「なんで無音なの?」「意味がある無音なのさ」

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まずここで一端2012年の話が中断する

なんといっても石丸謙二郎氏の怪演が光る
下劣な言葉のオンパレード、謎を秘めた言葉、とにかくうざくて奇妙な男。
仮面ライダー電王のときのオーナーの遙かに上を行くキャラでした。
あとは、何かを知っていそうでクールなレコード店の店長と
逆に何も知らなそうなただのマニアックな熱い客のギャップが面白い。

ただ、この時点では地球の危機がすぐそこまで来ているということと
FISH STORYという曲に無音があったということしかわからない。

このシーンをよく観ておかないと、ラストでスッキリ出来ない。

FISH STORYを巡る物語は加速していく。

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パンクバンド"逆鱗"の演奏が始まり、タイトルバックが始まる。
そしてそのままバンドの音からカーステレオの音になり・・・

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