「物語の皇子」の「物語」って?

ニール・ゲイマン作のアメコミ『サンドマン』1巻のカインとアベルの章でいきなり出てきた「物語の皇子」という言葉が私にはとても煌めいて見えて、「物語」が何を意味しているのかずっと引っかかっていたんだけど、2巻を読んでちょっとわかってきたので。

結論から言うと、「物語」って神話のことなのかなって思った。

神話って好きなんですよね。すごく詳しいわけではないけど、興味はずっとあって。どうして神話が好きかというと、神話って物語なんだ。世界の成り立ちや人間がどのように始まったかについて描かれた、現代まで伝わる最古の物語。自分のような「物語」好きにはたまらないものがある。それに後世の様々な物語で引用されたり下敷きになることが多いので、神話を知ると物語を捉える上での手掛かりになることも多くて、知識としてとても役に立つ。

『サンドマン』2巻第7章の地の文でカインとアベルのことを「物語の守り手」と書いていてあってハッとした。1巻で出てきた「物語」という言葉がまた出てきた。それで気づいたんですけど、1巻第2章でアベルが自分のことを「最初のお話の犠牲者」と表現していて、ここでの「お話」は旧約聖書のこと。兄カインに弟アベルは殺害されるんだけど、これが旧約聖書では人類初の殺人と言われている。なので「最初のお話の犠牲者」。日本でに記紀神話があるように、聖書も人類の成り立ちの物語、神様の話をしている神話だよね。

でも「物語」は聖書だけとは限らない。1巻第2章でアベルが発言した「物語の皇子」なんだけど、原文では「THE PRINCE OF STORIES」で複数形になっていて。更に第4章ではモルフェウス自身が「私には多くの名がある」って発言してるし、そもそも「モルフェウス」ってギリシア神話の夢を司る神様の名前。つまり、世界中に数多く伝わる夢にまつわる神話や伝承に出てくる神様、精霊のようなものが、『サンドマン』の中ではそれぞれ別の個体なのではなくこのモルフェウスと同一の存在だってことなんだろうな。ちなみに「皇子」なので更に上位の存在、モルフェウスやデスを生み出した父?的な存在ももしかしたらいるのかな。

読み進めたら、更に世界のいろいろな神話からの登場人物がいるのかも知れない。と思ってたら、私にアメコミの世界を教えてくれた藤井さんから未邦訳の巻にスサノオが出てくるって聞いてめちゃくちゃにグッときちゃいましたね。

日本の神話で夢を司る神様は大国主だって書いてる人がいて(ごめんなさい、他の資料探せてなかった)、大国主はスサノオの子孫なんだけど、『サンドマン』の世界ではどうなんだろ…

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14127711939


そんなわけで、世界の夢にまつわるエピソード幾つかまとまってたサイトがあったのでリンク貼っておく。(「サンドマン」ってヨーロッパの妖精なんだね)





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