見出し画像

日記2021/05/31


お昼前に起きた。最近は二重カーテンの分厚い方を開けて、レースのカーテンだけにして眠る。朝、外が勝手に明るくなるので自然とアラームより早く目が覚める。

アラームの音って不快だ。『これなら良い目覚めになるかな』と選んで決めた音も、3日聴けば嫌になってしまう。この音を聞いたら、起きなきゃいけない、という仕組みが苦手で仕方がない。ロングスリーパーを自負する身ではあるが、アラームをセットしての長時間睡眠よりかは、アラーム無しで太陽に起こされる短時間(とはいえ7時間位は確保)睡眠の方がノンストレスだなということに気づいた。I日の始まりが爆音じゃないって、幸せだ。何より、定型のスタートを切らなくて良いだけで、何ものにも囚われない生活を送れる気がする。気がするだけ。

今日は昼過ぎに病院に行った。数ヶ月に一度行く。引っ越してきてから通っている病院で、私はそろそろ先生の顔の皺の入り方すら覚えそうなのに、先生は『で、どこの学校行ってるの?』と毎回聞いてくる。気さくで、仕事もできる良い先生だが、私のことはあまり覚えていないらしい。(でも、私の身体の経過はしっかり覚えている....なんなんだろう。)『〇〇高校です。』『へえ!髪の毛染めたりして派手そうに見えても、しっかりしてるじゃない。えらいね。』『ありがとうございます。』と、決まった会話のレールを滑り、診察終了。薬をI日3回から2回に減らした。

そのあと、本屋さんで本を2冊買った。一冊は気づいたらもう読み終わっていた。品田遊の『止まりだしたら走らない』だ。ダ・ヴィンチ・恐山のファンである私だが、漸く本を手にすることができた。どこの本屋に行っても『在庫切れ』。なんで無いんだよ〜!とジタバタしていたけれど、今日行った本屋さんには置いてあった。3時間位?多分2時間位だろうか、すっと一冊読みきれた。凄く良かった。まず、本のデザイン、挿絵、文章の段落とかが全部最高。1つの長めのストーリーの中に、それとは関係の無い、独立した短編を挟むという不思議な形をとっているのだが、これが読みやすい。挿絵が文章を割って入り、その挿絵に寄り添うかのように文章がくっついている。これもまた面白い。扉絵も綺麗。そして、文章が生きているみたいだった。言葉にするのが難しいけれど、短編毎の主人公の性格や思考が文章から滲み出てきてる。───この感激は、多分『源氏物語』を読んだ時にも感じたやつだ。源氏物語は紫式部の書いたラブストーリー、誰だって知ってる....はず。その中には沢山の和歌が出てくるけれど、著者の紫式部はその歌の読み手である登場人物になりきって『わざと下手に』読んだりする。使う言葉、選ぶ植物、掛詞、縁語。意匠を凝らす為に、様々なパーツを選ばないといけないけれど、そのパーツ選びが上手い。──この仕事をしていて、こんな身分で、こんな生活ならこの植物と馴染みが深いだろう。こんなことを考えるだろう。こんな言葉遣いをするだろう。──という、登場人物毎の『眼鏡』を沢山持っているのである。源氏物語を読んだ時、その素晴らしさに感動したけれど、それに似たものを『止まりだしたら走らない』から感じた。きっと人間観察が上手なんだろうなと思う。

お昼ご飯はピザトーストを食べた。セットのサラダとスープを先に食べていたら、トーストの上のとろけていたチーズが固まってしまって、いざ食べようと半分に切られたパンの片方を持ち上げたら、もう片方分のチーズがくっついてきてしまった。これじゃあただのトマトパンだ...。トーストは四つ切りだと嬉しいなの会、会長の家長むぎです。以後お見知り置きを。....それからアイスコーヒーを飲んだ。ミルクだけ付けて。最近、牛乳を取りすぎると肌がごわつくことに気付いて、なるべく取らないようにしているのでカフェオレからアイスコーヒーにシフトチェンジした。でもまだブラックだと苦くて、少しでもまろやかに...とミルクを頼む。『お待たせしました、アイスコーヒーです。』と運ばれてきたミルク入れを見ると、ハムスターのマグカップか?と思うくらいの小ささだった。(これで本当に足りるのかな....)と心配になりつつ、全部注いでみる。すると、すーっとミルクがグラスの底まで伝い、濃茶の液体は茶味がかったまろやかな白濁となった。味も───多分まろやかだ。なんていうか、視覚的にはカフェオレと何も変わらないから、味の差がわからない。普段喫茶店でバイトしている時にカフェオレを作るとき、ミルク8、コーヒー2くらいの割合を目安としているので、カフェオレとアイスコーヒーとミルクの味の違いは解っている。解っているのになあ.....。ずず、とストローが空気と氷の溶けた水を一緒に吸う。気づいたら飲み終わっていた。


今日はいい日だ。風があって、日もある。ほどほどに涼しく、人も少ない。帰って2冊目の本を読もう。

この記事が参加している募集

読書感想文