家長むぎ

いえながむぎです。

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    最近の記事

    2023/01/10 雑記

     母親の聞いていた曲の歌詞が、何と言っているのか分からなかった。当時乗っていた小さな白い車の中で延々と流れていたいくつかの音楽。メロディーと声は曖昧な感じにほどけ、ひとつの水の流れのようになって、私の記憶に染み込むように残っている。そう、歌詞が分からない。それに加えて、曲の名前すら知らない。当時の私は幼すぎてそれらに関心を向けていなかったのだ。聞きそびれてしまった。あの曲たちを、ただ流れ続ける母親の好きな音として、あるいは車内の酸素、それか車窓の向こうの景色と同じくらい、ある

      • 小説 『夜なく蝉たち』

        PDF版は電子書籍のような形で読めます。  指先の微熱、ほんの少し角張った第二関節。絡まっていた指がほどけたときの静かな寂しさと、またすぐに僕の指を手繰ろうとする触り。たとえ目を閉じていようとも、何の欠落もなく完璧に伝わってくる。それが不意であることは一度もない。僕は幸せだ。  何も間違っていない。僕は愛情で満たされた浴槽に浸かっている。いつか誰かにこの温かさを譲らなくてはならないときが、あるいはもう浸かり続けることに耐えられなくなってしまったときが訪れようとも、きっと正し

        • 2022/06/20 雑記 余映

           彼の愚かさは人よりも賢く、彼の弱さは人よりも強い。それを聞いて、全くその通りだと思い描く人がいるとき、その人のことを崇高なものだと過信している。  夜更けに一人で泣いていた。嗚咽して崩れ落ちているとき、私の思考は研ぎ澄まされている。えぐえぐと喘ぎ、粒のような涙が落ちていくことが鮮明に分かる。たとえ目を閉じていたとしても。泣き声が張り上がるほど理性的になって、感情に支配された自分を俯瞰するようになる。なぜ私は泣いているのかと、頭で何度も唱えながら飽きるまで泣く。泣き終わった

          • 2022/05/31 雑記 光芒

             何者にもなることができないのなら死ぬべきと、本当に思ってきた。どれほど美名を得ようとも、何者かになることだけが私を許すことのできる唯一の手段であると、酷く寂しく自分に言い聞かせてきた。私は「ここにいていいよ」と用意してくれた椅子に座っても、じっとしていることができない。不意に、その席を誰かに譲ってしまいたくなる。  私がここにいてもいいのだという確証は何処にもないので、せめて確信が欲しいと思った。その為には、自分の最も傍にいる他者である私が、私を許す必要があるとも。「ここに

            春に裏切られたかもしれない2022/04/21

            ぼんやりと胸がつっかえる、この春は嘘だったのか?私は春の暖かさと柔らかさを、他人の厚意よりもずっと簡単に信じ込んでしまう。 1ヶ月程前に桜を見てきた。ちょうど満開の週ですごく綺麗だった。そこそこ人がいて賑わっていたり、桜を一緒に見ようと連れて来られたわんちゃんねこちゃん(猫もいるなんて。「なんで僕ここにいるんですか?」みたいな感じで抱っこされていた。犬は人間が楽しそうで、なんだか楽しいね、みたいな感じだった。)も楽しそうだったりして、ほんのり幸せを感じた。私以外の人も、みん

            2022/02/13「ちょっと羨ましい。日常を送れることについて」

            たとえばみたいアニメが今期に7作あったとして、日曜日から土曜日まで1日も欠かさず7作のうちのどれかの最新話が放送されたとしたら。7日間の繰り返し、つまり毎日好きなものを楽しめるなあと当たり前のことを思った。毎日のご飯が幸せで、お弁当とか給食とか誰かと囲む暖かい食卓とかを愛おしく思えたら、1日に3回も好きで満たされるなとも考えた。自分が人間として、ここでは社会の一員としてうまく生活していくために必要な行為(仕事、仕事に反映させるための趣味、社会との関わりを保つ為の会食とか)では

            すごい日本語「まどろみ」を考える。2022/01/14

            微睡む(まどろむ)とは、眠気を催してちょっとの間浅く眠る、とろとろと眠る、うとうとする。ということを指す。微睡はビスイとも読むが、送りがなにむが付くと、「まどろむ」になる。この、まどろむという言葉が好き、ということを語らせて欲しい。 「まどろむ」という言葉は、読んでも書いても「まどろんでる」。言語化が難しいけれど、表音文字である平仮名が、この四つ(ま-ど-ろ-む)になることによって表意というか、まどろむという意味を持つのだけれど、この四つになると、ま-ど-ろ-むの単体に急に

            「あなたとの同化、視点以上でも以下でもなく。」2021/11/25

            家長むぎのふぁんくらぶにご加入くださるあなた、あるいはちょっと気になってみたので覗いてみたあなた。むぎの文章を読んでくださって、ありがとうございます。 「家長むぎのふぁんくらぶ」では、むぎが新しく取り込んだものの話をしたいです。今まで、様々なタイミングでお話ししてきたような過去ではなく、これからの話を。 人生を切り売りした文章の生々しさは、なにものにも変え難い魅力があるということは理解しています。実際、むぎが惹かれてきた文章もその類が多いです。なので、いつかむぎの眼の片方

            夏日 2021/10/04

            小さいとき、海の見える一軒家に住んでいた。江國香織の『すいかの匂い』に出てきそうな家。正方形の家を囲むように庭が有って、リビングとキッチンがあって、2階には和室と寝室が二つあった。2階のベランダは少し狭くて、室外機が置いてあった。夏はいつも、うるさく気怠く唸っていた室外機の横で、アイスを食べていた気がする。 家族で最後、家のテーブルでご飯を食べた日に『パパとママ、どっちについて行きたい?』と聞かれた。『ママ』と答えてみた。父と一緒に暮らすことになった。結局、父じゃなくておば

            『 家長むぎの錆び、グロテスク 』2021/08/17

            むぎが何になりたいか、考えたことあると思う ? 多分、無い。 完成形を目指すのでなく、目標を定めるので無く、ただただ『変わり続ける事』に執着してライバー生活を送ってきたと思う。変わり続けて、興味を持たせ続ける。それが、家長むぎだと思う。 Vtuber は、人生の切り売りこそがコンテンツの提供だと思う。切って提供したら無くなる。売り切れたら、お仕舞い。その為、色々な事に挑戦してきた。映像、執筆、歌、ダンス。切って、売る。───売る。売るという言い方よりも良いたとえ方、考え

            孤独、雑記 2021/07/11

            誰かが誰かを嫌いになる事で、救われる第三者がいるのだと知った。 ある有名人が色々あって、ネットではその人に『幻滅した』『やっぱり。嫌だったんだよね、前から』と冷ややかな、今までとは真逆の評価を施す声が見受けられた。そんな中で『その有名人がマジョリティに幻滅された事実がとても嬉しく、長年孤独にその有名人を嫌いだった自分が救われた感じがする。』という人がいた。 この人はどれくらいその有名人を嫌っていたんだろう。 嫌悪への同調が救済になるなんて、どれほどに、かなしいことなのだろ

            『本、本屋、読者との対面』2021/06/18

             私は必ず紙媒体で本を読む。電子書籍で本を読んだ事は人生で一度もない。本棚に置く本は必ず、自分で本屋に向かい、自分で買う。  紙媒体を好む理由は沢山有る。まず、本のデザインをじっくりと眺める事が出来る。特に、本の表紙を剥がす瞬間もとても好きだ。つるりと鮮やかなデザインの表紙でも、本の本体の表紙は地味だったりする。それから、綺麗な模様だったり、偶には漫画が書いてあったり..... 。綺麗な洋服を纏った人を、脱がせるような、官能的な魅力が有ると思う。脱線するが、私は本の帯を捨て

            日記2021/05/31

            お昼前に起きた。最近は二重カーテンの分厚い方を開けて、レースのカーテンだけにして眠る。朝、外が勝手に明るくなるので自然とアラームより早く目が覚める。 アラームの音って不快だ。『これなら良い目覚めになるかな』と選んで決めた音も、3日聴けば嫌になってしまう。この音を聞いたら、起きなきゃいけない、という仕組みが苦手で仕方がない。ロングスリーパーを自負する身ではあるが、アラームをセットしての長時間睡眠よりかは、アラーム無しで太陽に起こされる短時間(とはいえ7時間位は確保)睡眠の方が

            日記 2021/05/30

            今、怒涛の動画制作が終わってこれを書いている。(今日2021/05/30の22時から歌動画が投稿されるのでみんな聴いてください。)夜の23時位から作業を始めて、終わったのは深夜30時。いや、翌朝6時。半分開けていたカーテンから差し込む光は澄んだ青色で、まるで空が滑り込んできたみたいだった。 いつも、投稿予定の前日或いは当日までPC画面と睨めっこをしている。細かいところが気になって、中々作業が終わらないのである。ぐるぐる円を描く時計の針と、わたしの頭の中。『終わらない....

            日記 2021/05/03

            この3日間家に籠りっきりで、いよいよ耐えられなくなって家を出た。勿論県を跨がず、土日を避けて。ひとりで。長時間出かけずさっと帰ってきた。手洗いうがい消毒ばっちり。 今日は本屋さんがあって、綺麗なお庭があって、カフェもあるところに行った。高級車と小さい犬が我が物顔で佇む場所。人は少なくて、静かで過ごしやすい。本屋をうろうろして、相変わらず己の無知を省みて、そのあと完全食品のパンを買って食べた。ファミマ!!←(!!までが店名)にしか手軽にお店では買えない(通販が一般的らしい)パ

            2021/04/29 「ハピトリで歌動画を出したよのあれこれ」

            ハピトリで『アンノウン・マザーグース』を歌いました。 配信でもある程度語ったけれど、つらつら残しておきます。これは、ハピトリの総意ではなく、むぎ個人の、この動画を作る際に秘めていた想いです。大前提として、ハピトリで何か遺したい、と強く願っている自分がいます。 このカバー動画は、ファンメイドの人力動画を元に歌わせていただきました。配信から声の音素を取って、少しずつ声にしていくというもの....らしいです。 人力動画の投稿は2020年の6月。そこから大体一年弱経った今、ハピ