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大切になる人とsumikaを見に行った

大学1年の夏、初めて参加した2泊3日のサークル合宿。ある3年生の先輩が、風呂上がりらしくタオルを肩に掛け、4年生と話をしていた。

そのタオルはsumika5周年記念のものだった。

私は音楽を聴くことが好きだけど、音楽とは関係のない、写真とカメラのサークルに入った。
でも音楽好きらしい人がいる。
当然気になった。

1日目は近寄れないまま終了したが、2日目の夜、その先輩は他の1年と一緒に近くに来てくれた。

今しかない。
「昨日sumikaのタオルかけてました?」と聞く。

先輩は私と違って、sumikaの古参なようだった。しかしほかにも好きなアーティストが被り仲良くなれた。同輩でも音楽好きの友達ができて、合宿いちの収穫だ!と思った。

ありがたいことにその後、学園祭のライブチケットを取っておいてくれたり、フェスや遊びに誘ってもらえた。

3月頃、就活説明会後のその先輩に、sumikaのワンマンライブに誘ってもらった。

『Chime』 Release Tour
2019/05/31@NHKホール Day2

sumikaのライブ映像はYouTubeで観ていた。

楽しそうでしかたなくて、ずっとずっと行ってみたかった。チケット当たった!と連絡が来たときは、とてつもなく嬉しくなった。まだ配信されてない頃だったのでTSUTAYAに駆け込み、全力で曲を聴いて予習した。

当日、4限をサボってホールに向かう。

物販でタオルを買ったあとに、ガチャガチャをしてみた。キーカバーが当たった。
ナチュラルなデザインですごく可愛い。
家の鍵が裸のままだったのですぐに付けた。

開場後、席に着く。

貰った冊子にはアンケート用紙が入っていた。
先輩が説明してくれた。

意見を、感想を書いて、メンバーに読んでもらえることがあるのか?ファンに寄り添いすぎでは、、?初めて見て、とても驚いた。

しばらくしてホールが暗くなり、イヤホンからしか聴いたことのなかった「ピカソからの宅急便」が会場いっぱいに流れ出す。

そこら中が手拍子を始めた。

ここにいる全員がsumikaを好きなんだと思うとわくわくした。

メンバーが登場して、そのまま「10時の方角」のイントロが始まる。片岡さんが跳ねて、ほかのメンバーも皆楽しそうに演奏して。2階席でもあたたかくて楽しげな空気が伝わった。

はじまりはじまり、その言葉がまっすぐに心に入ってきて、気持ちが高まった。

続けて「1.2.3..4.5.6」「グライダースライダー」「ふっかつのじゅもん」「MAGIC」とMCを挟みつつも勢いをつけてライブは進む。

観客が皆曲に合わせて手を掲げる。
初参戦だったけど、私もノリで楽しんだ。

「1.2.3..4.5.6」の一本締めは逃してしまい、とても悔しかった。片岡さんの振りに大声で応えて始まる「ふっかつのじゅもん」。ライブ映像を見たことがあったので、ここぞとばかりにサビで腕を挙げた。

絶対また来ようとこの時点で決めるくらいにはその雰囲気に虜になった。

照明が少し落ち着いて、「Monday」「ファンファーレ」「ホワイトマーチ」が流れる。音楽に合わせ体を揺らし手拍子を入れる観客に暖かさを感じた。

ここで、隣に先輩がいたことを思い出した。2人で出かけるのはさすがに気まずくなると思ったが、ライブ中はひとり対バンド。sumikaはひとりひとりに向けて曲を届けてくれて、それどころではなかった。

「Strawberry Fields」はメンバーそれぞれアドリブパートがある。sumikaは顔だけじゃないと謎すぎる確信。格好良すぎる。でも笑いも生まれて、そうやって音で人の感情を動かせる人達なのだとさらに好きになった。
歌詞を噛み締めるように、丁寧に歌われた「リグレット」。その歌声や言葉は一句たりとも逃さず耳に入りストンと落ちていくように感じた。

ここでメンバーが、このあとは座って、落ち着いて聴いてください!と着席を促す。
ホールだからこその演出で、このバンドだからこそできることだと思った。

その後のMC、人の悪いところをわざわざ話したくないよね、疲れちゃうからね。落ち着いた声でそう話す言葉のひとつひとつが、そこそこに疲れていた私の気持ちを包んでくれて、目頭を熱くした。

暗い中で静かに始まった「ゴーストライター」と「秘密」。思わず目を瞑って聴き込んだ。
MCとも相まって、センチメンタルになった。

ひと息置いて、「Hummingbirds' Port」が流れだす。観客が立ち上がった。

ああ、もう終盤なんだな、早いなあ、そう思いながら私も立ち上がった。語彙力がなくなって、何を言えばいいのか分からなくて、隣にいる先輩とは何も話さなかった。

「Lovers」「Flower」「ペルソナ·プロムナード」、ライブ映えな勢いガンガンのセットリストにテンションが上がる。

そう、Flower聴くのすごく楽しみにしてたんだ。歩きながら聴いてずっと口ずさんでいた。
ついに聴けた。自分も跳ねた。
もう楽しくて仕方がなかった。

続いて流れる「伝言歌」。
サビを合唱するのも予習済みである。
しかし映像などで観たことはなかった。

会場がひとつになって、伴奏が静まった空間に歌声が響き渡る。あたたかくて、感極まった。

最後の曲、一緒に来た人が、このあともずっと続く仲に、大切な存在になってくれたらとか、巡り合わせとか。

そんなことを話してから始まった「Familia」。

ちらと先輩に見られた気がした。
気のせいかもしれない。
でもこの空間にいられたことが幸せで、先輩には感謝しかなかった。

アンコール何だろう、まだやってない曲、ソーダ?と考えながらメンバーの再登場を待つ。

会場セットのMCのあと、私の予想は綺麗に外れて「春夏秋冬」「マイリッチサマーブルース」「雨天決行」とライブが締めくくられた。

先輩に促されるままタオル買っておいて良かった。「chime」だけでなく、初期のEPも聴いておいて良かった。

最後まで大満足のライブで、幸せでいっぱいになった。

終演後に先輩と改めて顔を合わせる。
満面の笑顔をしていた。

私は思っている事をそのまま話した。

sumikaは幸の具現化みたいな人達だった。笑顔になれる。戻ってきたくなる。誘ってもらった感謝と楽しかったことを少ない語彙力でとりあえず話した。

先輩は「幸の具現化」が気に入ったらしい。あとで投稿を見たらハッシュタグが付いていた。 同じ気持ちだったのかな、と思って嬉しくなった。


私は、sumikaに感謝している。

sumikaは先輩と話すきっかけを作ってくれた。

sumikaはライブで、私達に幸せをくれて、また頑張ろうと思わせてくれた。ついでに先輩との仲を縮めてくれた。

縮んだ結果、先輩後輩じゃなくて、彼氏彼女の関係になった。
面白いこともあるものだ。

彼らには感謝しかない。

2020年春、sumikaはアリーナツアーを開催する。

私は行きたいと話したが、向こうが社会人になるため日程に目処がつかず、今のところ予定が立てられない。

もし行けたら、あのライブからちょうど1年くらいになる。『Chime』リリースツアー NHKホール公演は、数あるライブツアーのひとつに過ぎないかもしれないが、私にとっては大切で大きな思い出になった。

またあの住処に帰れたらいいな。
そう思いながら、これからも彼と楽しく毎日を頑張っていこうと思う。


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