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2020年4月の記事一覧
わたしに相応しい場所へ
わたしはここにいるべき人間じゃない、わたしは誰よりもここにいたいと思っていた人間だと思うけれど。わたしはそこにいる時いつもそう思っていた。
小さい頃から、わたしは必死で勉強した。だって、それが身をたてるための最良の方策だと教わったから。父はわたしにそう教えた。勉強こそが立身出世に最も大事なものであると。父が教えてくれたのはそれだけで、具体的に勉強を教えてもらったことはないけれど。
父は学
ありがとうって伝えたくて
歩いていると、見ず知らずの人に「ありがとう」と急に言われた。
「えっ?えっ?」とまごついているうちに、その人は微笑み、行ってしまった。「ちょっと、えっ?なんで?」あとに取り残された私。何も感謝されるようなことしてないのに。そしてもう一つ残されたもの、余分な『ありがとう』だ。
家に帰って改めて考えてみて、さらに頭をひねってみたが、どう考えても私には関係の無い『ありがとう』だ。これは困った。だ
心が止まってしまったような気分
「お腹が空いてるか一杯かわからないの」と妹が言った。「ねえ、どっちだと思う?」
ぼくは肩をすくめた。「わからない」血のつながった兄妹とはいえ、他人の腹具合がわかるはずがない。とにかく、何か食べさせてみようと思った。もし、お腹が空いているのなら、何か食べないと身体に毒だ。そこでぼくはコンソメスープを作ってやった。
「どう?」
「なんの味もしない」
「どれ?」コンソメスープはちゃんとコンソメ