見出し画像

【振り返り】自分の建築キャリアについて(産休前に)

4月に第二子出産を控えて、いよいよ産休に入った。
今の気持ちの変化、仕事の仕方の変化、自分ができること、能力の棚卸しを記載しておこうかと思う。

心境の変化

2013年に入社、2019年に一人目を産んで、2020に復帰、2024年から産休なので
設計部の経歴としてはおおよそ10年(産休、育休、現場監督を含まず)たった。
一般的な建設業界では10年経ったら一人前と言われる歳だ。
それに対して、自分の自己評価としては、1人目出産時とは比べてだいぶ自信はついて、ある程度網羅的に一人で仕事ができる状況ではあると思う。
(ある程度一人で任せてよし、いわゆるプロジェクトの頭である統括設計者を任せられる、
という基準で言うと)

これには、一人目を産んだ後に任せてもらった、とある商業施設の建物を尊敬する先輩とペアでできた経験が大きい。

その先輩(Oさん)は、自分とは違うバランス型。
どの知識も満遍なく知っていて、かつ勉強する姿勢を失わない。
自分が理解するまでとことん聞く、掘り下げる、
妥協しない、
とても細かいところまで気がつくし、記憶しているけど、キーッとなったりはしないし
精神的に安定している。
このコメントからしても私がとても尊敬してることが分かると思う。笑
凄まじく仕事ができるので、周りが気を抜いてしまうことが唯一の欠点かも。
まだ40代前半だけど、去年課長に大抜擢された。
(建設業は経験が重要な世界なので、若いうちに上に立つ人はなかなかいない)
この先輩と一緒に仕事をして、
先輩に仕事をさせないことを目標に2年間頑張ってきた。
バランス型になろうと努力をしてきた。
そのおかげで、大きく以下を学んだ。

◾️焦らないで総合的に判断する..
 全てを調べて全てを考慮した上で、いろんな人に相談して結論を求める。私はせっかちなので結論を早く求めがちだけど、一度立ち止まり、手戻りがないよう確実性を高めることを重視した。特にナイーブな内容、法的な内容は慎重になったほうが良い。

◾️技術的知識 特に現場に入ってからの鉄骨、構造、設備関係のこと、数えきれないことを教えてもらった。

この経験が設計者として必要な総合力はかなり上がったのではないかと自己評価している。
(ただ、この2年、やっている物件と仕事のやり方は苦しく、まさしく修行..ではあった)

Oさんを見習い、網羅的に仕事しようと心がけて自分一人で出来るように..と考えて頑張ってきて、その努力は無駄ではなかったけど、物件が竣工してふと気づいたことがある。

わたしはバランス型ではない。こと。
そして、Oさんになるのは無理だと言うこと。

まず、圧倒的に記憶力が足りない。(Oさんと比較)全てを網羅しようとしても、必ず漏れが出る。→これは誰かに覚えてもらうか、メモをフォルダに入れとくしかない。自分が記憶することを諦める

あと、誤字脱字とかの書類チェック能力が低い。細かいことが苦手。文字情報も苦手。

そして、何よりOさんがチェックしてくれてる..

わたしがそこに時間を割くの..勿体無くないか?(もちろん、努力はしますが、完璧は無理ということ)

私は、基本スペックが高くない。
昔からそうだ。
技術的なことに対する理解力も高くはない。
ただ、その裏返しで分かりにくいことが何かは分かる。
どうすれば分かりやすくなるかは分かる。
細かいことを言い過ぎても誰しも理解できない事は分かる。
なにが重要かは分かる。
あと、人とのコミュニケーション能力はおそらくだいぶ高い。(人を経由すると理解できたり気づくことがとても多い)

文字情報が苦手なのでビジュアライズすることも得意だったはず。

完璧すぎる人と仕事をして、自分もそれを目指していたけど、限界に気づく。

そのことに産休直前に気づき、網羅して完璧にすることはある種諦めよう、と思えたことでとても楽になった。

そんな視点で社内の人たちのことを考えてみる。
Kさんは猪突猛進型、Sさんは緻密型、みんなそれぞれ違って面白いな〜と。

会社って面白いな〜と。

今の会社が好きだなと。

産休前の心境としてはこういう心境に辿り着いた。
実は1.2年前までは本当に辞めようかと思っていたので、だいぶ大きな心境の変化ではある。

自分の能力の棚卸し、課題の再認識

設計の能力をいくつかに分解してみる。
改めて、自己評価してみる。
(10段階)

1.設計スキル...7
2.技術的知識...6
3.コミュニケーション能力...9
4.問題解決能力...9
5.プロジェクト推進力...10
6.プロジェクト管理能力...8
7.折衝力...6
8.創造力...8

(だいぶ甘いかも笑)

●得意なこと×好きなこと
・建築をやってる人ならみんながそうだと思いますが、建物の大前提のプランニングを考えたり、
どういう思想のもと建物をつくるか、
いわゆるコンセプトを考えたりすることは
得意であり、好きなことです。
できれば今後もここを強化していきたい。
10年建って経験がたまっている分早くなっていることもあるけど、
今一度新しい知識を入れたり事例を調べたりすることで強化していきたいポイントだ。

・分解して考えるのが好き

・絵を書くのが得意、好き
私が文字情報が苦手なこともあり、画像にしたり、図にしたり、絵で詳細を書いたりするのが好きです。
よく一緒に仕事をしている人から言われるのは、
すぐに絵にしてくれるから分かりやすい、というコメントで、
これは結構建築では重要だと思います。
絵にすると齟齬がなくなるし、自分の理解も早まる。特に手書きでさっと書く、ということに重要な意味があると思っていて
これは大切にしたい。
実は今の若手は、意外と手書きが苦手です。
その他のツールで代用可能なら全然okですが、
どうしても細かい納まりとか理解する上では
自分の身体を絡める、ことが重要なのでは?
と思っています。

●得意なこと×好きではないこと
・多種多様な人のコミュニケーション、調整
これはめちゃくちゃ嫌いですが、やらないと建築が納まらないので、やらざるを得ない。
私の能力的には、あれ、誰々に言ってないな等結構気づくことができるので(それがストレスになるんですが..)
得意なことではあります。
ただ、この仕事の分量が増えれば増えるほど荒みます。笑
でも、コミュニケーションはめちゃくちゃ大事。
それはわかっているんだけど、なるべく減らす(簡潔に話す、だらだら会議しない等)
ことが今後の課題かなと思います。

●不得意なこと
・人に任せること
これはめちゃくちゃ課題です。産休前、はじめて後輩ができましたが、任せるとストレスが溜まる。
今後、自分が何を任せることができて何を任せないか、その線引きを上手くしていくのが
重要なのかなと思ってますが
今までは手を動かしてなんぼで働いていたので
意識改革と、自分の思考をさらにクリアに人に話せる、表現できる、さらにやらせる、
力が必要なのかなと感じてます。

・チームとして人のやる気を出させる、相乗効果を生み出す

総括

総合して、建築は面白い。
そして、職場の人間関係がすごくいい。
正直、大きな物件をやることは自分には全く向いていないとは思っているので、
ゼネコンが果たして向いてるかはよく分かりません。
でも今は変革の時代で、良い会社に所属していて
良い人間関係がある。
そして中堅の立場であるので、会社自体を変えていけるのではないか、
そう考えないといけない立場なのかなとも思ってます。

そんな前向きなことを思った産休前の心境を
記録しておきます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?