#1018渋谷プロテストレイヴ #日本学術会議への人事介入に抗議する 上西充子スピーチ原稿 (2020年10月18日)

● 横川圭希 ライブ EngawaGGcas  25:30~34:36
https://twitcasting.tv/keiki22/movie/646674882
● 「権力の乱用繰り返されている」 学術会議任命拒否で学者・作家らが渋谷で抗議(毎日新聞映像グループ、2020年10月19日)
https://video.mainichi.jp/detail/videos/%E6%96%B0%E7%9D%80/video/6202157216001?autoStart=true 


法政大学の上西充子です。国会パブリックビューイングという活動を行っています。

いま、権力の濫用が、おおっぴらな形で展開されています。権力者が法に基づかずに、好き放題なふるまいを見せているのです。

先日、わたしのツイッターでのつぶやきが、「チャーハン論法」と名づけられて記者会見やニュースで取り上げられました。

日本学術会議について、1983年に中曽根総理大臣は国会で、首相による推薦者の任命は形式的任命であって学問の自由を侵すものではないと明言していました。しかし、今回、菅(すが)首相は、6名の学者の任命を拒否しました。それでいながら、加藤官房長官は、法の解釈変更をおこなったわけでないと主張しています。「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である」という憲法15条1項を持ち出して、もとから内閣総理大臣には裁量権があったかのように思わせようとしているのです。

この問題について、海老チャーハンを勝手に玉子チャーハンに変えたのに、おかしいと批判されたら、同じシェフが作っておりその点において何ら変わりはないと開き直っているのと同じだ、とたとえてみたわけです。

菅義偉(すが・よしひで)という人物は、法に基づいて内閣総理大臣の役割を務めているに過ぎません。法に反する恣意的な判断をおこなえる権限はありません。権限がないのに、自分が当然のことと考えることなら、やっていいと思っているようです。ならば、「そうではない」と、主権者である私たちが言わなければなりません。

おもてに出てこない、説明しない。そういう形で菅首相は、みずからのもつ権力の大きさを私たちに実感させようとしています。「国民のために働く。」というポスターでも、菅首相の目線は斜め上に向けられており、国民に向き合う姿勢を示していません。

そういう菅首相に対しては、ECDさんであれば、「言うこと聞かせる番だ、俺たちが」と言うでしょう。私は菅首相に対して、「勝手なことをするんじゃないよ」と、言っておくことにします。

 昨年、わたしは『呪いの言葉の解きかた』という本を書きました。相手の声を、一見もっともらしい言い方で封じる言葉、相手の思考の枠組みを縛ってしまう言葉。そういう「呪いの言葉」の支配を抜け出し、どうすれば私たちは、みずから考え、発言し、行動できるようになるだろうか、ということを、物語や事例をもとに考えた本です。

 その本をもとにした「呪いの言葉の解きかたゲーム」というワークショップを今、私は、このあとスピーチをおこなう飯田和敏さんや、あかたちかこさんらと、実施しています。先日、その場にどういう気持ちで参加してほしいかを、「はじめるぞ宣言」という形で一緒に文章化しました。

 世界人権宣言を踏まえて文章を作成したのは、あかたちかこさんです。ここでは、あたかちかこさんがオリジナル版をまず読み上げ、続いて、私がそれをアレンジしたものを読み上げたいと思います。私たちはもう黙らない、私たちには力がある、権力を持つ者に、黙って支配されるままにはならない、そういう思いを文章化したものです。

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はじめるぞ宣言 「あたしらは外に出る」(作・あかたちかこ)
リンク先参照)

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はじめるぞ宣言 「私たちは外に出る」(上西充子ヴァージョン)

「わたしは自由だったんだ」
心からそう言える日を見通しながら
私たちは外に出る

私たちはみな、もとから自由で、大事にされるべき存在
自分の考えをもっていいし、その考えを頭ごなしに否定される筋合いはない

私たちは、お互いのことを大事にしながら、助け合える
権力をふりかざす者の言いなりにはならない

この世にあふれる呪いの言葉は
知らず知らずのうちに私たちの心を押しつぶし
私たちの考え方を支配しようとする
私たちもまた、簡単に人をコントロールしようとする

けれどももう私たちは、呪いの言葉に縛られるのは、やめることにした

このゲームで私たちは、呪いの言葉から自由になる練習をする
相手を黙らせるために切り返しの言葉を考えるのではなく
呪いの言葉が支配する世界の外に出るために、一緒に考える

何が呪いの言葉なのか、それがどう人を支配するのか
それがわかれば、私たちは、時間はかかっても、その外に出ることができる

だから今日、みんなが安心してこの場にいられるように、5つの考え方を共有しよう

1.自分も人も採点しない
2.人の人生に探りを入れない
3.人の目を気にせず、自分のために語る
4.黙っていてもいい
5.ゆっくりでいい

さあ、歩き出そう

※ このあと、飯田和敏がみずからのヴァージョンの「はじめるぞ宣言」「オレらは外に出る」をアドリブを交えながら読み上げました。