2020年の川へ。
あと1週間ほどで、ここ南佐久・千曲川水系でも釣りシーズンが始まります。
いつもなら川辺に戻れる喜びで単純にワクワクしている時期。タックル・装備の準備も怠りなく。
ただ。
今年は何といっても昨年のあの台風(19号・ハギビス)の影響が顕著。至る所で災害復旧作業中・・・見た目も少し悲しい川の状態です。
大水がでて、水が引き一旦フラットになった川。
地形的にもまっ平らなところを水が流れている状態の場所が多い。
本当ならここから自然な増減水を繰り返し、河床が掘れて自然な形に戻っていくのがいいのですが、そんなのんびりしたことを言ってる場合じゃないのでしょう。
特に本当に川沿い・・・の場所で暮らす人たち、農地や施設を持つ人たちには切実な問題。一旦暴れだした川の怖さを知っていれば、尚更。
そしてこういう時の力は本当にすごいですね。至るところ、凄いスピードで復旧工事がなされている。本当に頭が下がる思いです。
ただ、ただですよ。
ただなんとなく、正体不明なモヤモヤしたものを感じるのもまた事実。
本当にそれでいいのかな?という思いがいつもどこかに引っかかってる。
釣り人というのはどうにもワガママだもので。
護岸・堰堤といったコンクリートの造形物に拒絶反応を示すことが多い。
ボクはそこまで極端な感じではないと思うのですが、それでもやはり川が”自然なもの”で埋め尽くされていたら最高にステキだなぁ・・・なんて思います。
そもそも川の状態に理想を描き始めたのは何でなのか?・・・ってそれはやはり自分が首都圏出身の川好きであることに尽きると思います。
少年期を長く過ごしたのは市の南北を川に挟まれた比較的川遊びには恵まれた土地。田んぼも用水も多く、遊ぶのに抵抗を感じない程度にキレイでもあった。ファミコンが発売されるまで、放課後の遊びと言えば川で魚・ザリガニ取り。小学校中学年あたりからは釣り、でしょうか。(自分はファミコン・ブームに取り残されたクチですけど。)
ちょうどカムバック・サーモン運動が広がってボクの地元では「多摩川サケの会」の活動が活発だったころ。
高度成長を経てボロボロになってしまった川を、ちょっと何とかしよう!っていう時代。
ボクの一番の教科書はコレでしたね。
1977年発売。久々に読み返しましたが未だ川の教科書・基本編としてわかりやすいいい本です。
やはり川には、健康であってほしい。
そこで本屋(かつ釣り人)としてはこんな本に慰めや希望を求めてみたりします。
2007年の発売ですが、今読んでみてもいい本です。
しかし、昨年の台風はどうもこのあたりの議論を越えている感じがする。しかも今後過剰なレベルの気象災害は増えていく気がする。(専門家ではないので、川好き・川沿いの住民としてなんとなく・・・ですけれど。)
そこでやはり本屋は本を探す。
いろんな本をチェックしてみると・・・。
やはり10年以上経っていると川のマネジメントに対する考えも大分変る。進歩(と単純に呼んでいいものかどうかはさておいて)している。
その中から選んだ一冊がコレ。
「異常気象はもはや異常ではない」
・・・の帯がやはり目を引きます。19号被災を受けての発売でもある。(後書では既に触れられています。)
そして読んでみて、驚きました。
人間が暮らす環境を(”便利”という方向に向けて)変え続けている以上当たり前なのですが、やはりそれに対応する新しい方策が必要で。
それはもはや森がどうとかダムがどうとかいう話ではなくもっとトータルなマネジメントが必要ということなんですね。そして、対策にはどんなものにも限界がある・・・。
それにしても本当に「いい川」作りって、大変です。
この本ではダムと森林、両方の視点を併せて解決策を考えた稀有な本ですがもっともっとタッグを組むべき分野がたくさん、たくさんある。ただ単に「土建屋はどうしろ」「行政はこうあれ」という話では全く済まされない。さらに周辺住民・漁協、等々・・・。
考えただけで気が重くなるほど課題は多い。
ただ、諦めてしまってはなんにもならない。少なくとも本屋として問いかけは、忘れないように。
やはり本屋は単に”販売窓口”でなく、問いかける存在でありたいと思っています。
そして悲しい状態の川ではありますが、足を運ぶのを止めることはしないつもりです。
もちろん復旧作業のお邪魔にならない程度に極力川を見て歩き、その再生の過程をしっかり見ておきたい。(これも無茶苦茶な話ですが復興工事は3年以内でと決まっているようです。)積極的に記録・公開していくつもりです。
もちろん、再生前提での話。
決してあきらめず、自分の選んだ川の行く末を。
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