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アラスカ・長野・森の生活。

雨の土曜は何とか工夫して、できる範囲で増築作業を。

しかし大雪の日曜は、さすがに何もできず。

雪かきと読書と・・・なんて一日。

山の中でそんな時間を過ごしていると、自然と思い出される一冊。

や、もちろんそれはそんな時間を指向させたきっかけ、ルーツのひとつである一冊でもあり。

久々に引っ張り出してみました。

現在は残念ながら在庫切れ。新品で入手することは難しそうです。

アラスカ。

アウトドア寄りの旅好きとしては一度は行かねばならない場所ですね。

映画「イントゥ・ザ・ワイルド」に日本からはやはり星野道夫、デナリと植村直己の関係も外せません。知識としては決して縁遠くない国。

これは、アラスカの名もない湖畔で可能な限り手作りの生活を目指す男の2年弱の試みの記録。

・・・というと相当コアな話のように思えますが、実際は少しユルい。その辺りのバランスが絶妙で、ボクのような人間の心にも響いたのではないでしょうか。(と言っても舞台が舞台、相当にタフな状況ではあるのですが。)

小屋づくりの技術、アウトドアでの行動技術に知識等・・・相当高いレベルにあることを感じさせられます。
特にこじんまりとキレイな小屋の顔である玄関、上下2段開きのダッチ・ドアには憧れた。(表紙で著者が顔を出しているヤツです。)

が、やはり少しユルい。
小屋づくりが落ち着くまでは近くの友人の小屋に滞在。ウィルダネスなのに近所に友人の小屋・・・。

また必要な物資は友人のブッシュ・パイロットが時々運んできてくれます。(食料込み・文明社会との唯一の窓口たる郵便もブッシュ・パイロット氏が担います。)

主食であるビスケットもまた、友人の作ってくれたジャーに入ったビスケット種に必要な分、粉等を毎日足していくだけ。

この辺りをツッコミどころとするか、魅力とするか。

これがガチガチの、コアな自給自足的生活寄りであったなら少なくとも自分の場合”寒村暮らしを指向するきっかけのひとつ”にはならなかったのかな、と思います。

読み物としてはその方が面白かったのかもしれませんがその辺りのバランスが本書を唯一無二なものとしている気がしますね。もちろんボクにとってはいい意味で。

とにかく山での暮らしにどこかで憧れていた過去の自分にとって、大きな一冊となりました。

もう一つ。この本が忘れられない存在になった理由。

それが。

・・・「盗まれた」から、なのです。

しかもタダ置き引きにあったとかそんな感じでなく。

先輩の車に荷物を置いて食事中、車のリアガラスをカチ割られてその他もろもろ含め荷物ごと盗まれた・・・というまぁなんとも派手な盗まれ方!

印象に残らないはずがありません。

しかも、内容は手放しがたいほどに面白い。当然書店にてもう一冊探し出して・・・となるわけですが。

今度は・・・。

・・・覚えてない。

創元ライブラリという決してメジャーではないシリーズ。

輪をかけてメジャーでないリチャード・プローンネクという著者名。

ビミョーに覚え辛い本のタイトル。

苦戦しました。数年かかったのではなかったか?

しかしこの本との再会に至るまでにたくさんの好著に出逢えた。(行く先々の書店でありとあらゆる文庫の棚に目を通すわけですから。イヤでも詳しくなるし、いい本も見つかります。)

ようやく再会を果たしたのは今は無き四谷の「文鳥堂書店」だったか。この店のブック・カバーが好きでした。武者小路実篤ですね。

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お気に入りの書店でしたが今は閉店、縁あって店主さんと後に知り合うことになる「かもめブックス」に。

いろんな思い出が付随してきます。

そうそう。

この本で扱われているのはあくまで、試みの最初の2年弱。

しかし物語には続きがあるんです。

最初の試みが終わるきっかけとなった案件解決後、彼はアラスカに戻ります。

そして30年の長きにわたって森の生活を続けるのです。

なんと、貴重な映像まで。

30年という期間には一切、ユルさなど存在するわけもなく。

結局自分が選んだ好著はユルいだなんてとんでもない、本物であったというオマケまでつく最高の出逢い、一冊だったと。

確実に忘れられない、大事な本になりました。


http://www.coldmountainstudy.com/
coldmountainstudy@gmail.com 

coldmountainstudy  店主:鳥越将路 

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