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「プラハ巡覧記」

前川健一 「プラハ巡覧記」 (産業編集センター)

たとえ小さくても、やはり書棚に並んだ本を眺めるため本屋さんに出かけるのはとても大事。

探しているもの以外がみつかるからだ。

これを見つけたのは佐久市のいわゆる”町の本屋さん”。

自分の職場から最寄りの書店、ということで時々寄ります。

ここで旅の本のコーナー・・・じゃないところ、エッセイの棚だったかな?でみつけたのがこの前川健一の一冊。

産業編集センターのシリーズ「わたしの旅ブックス」。

如何にもオマエが好きそうじゃんよ?と言われそうですがこれがナカナカ難しい。

微妙にストライクゾーンを外してくる感じで、グッと来ないんですね。
(森まゆみさんの何冊かは読んでみたいかな。)

しかし。

書き手が前川健一とあれば話は別。

前川健一。

自分の知る限り、アジアのスペシャリストであったはずである。しかも東南アジア。

自分、基本的に東南アジア興味はあれど腰の引ける地域。

そう。

湿気に弱いから。だから今信州に暮らしてる・・・ってくらい蒸し暑いのが苦手で。

でも食いものとか、好きなんです。日本の湿気・蒸し暑さでもあの辺は十分に美味い。

それでは・・・ってぇんで何冊か読んでみましたがその中でバツグンに面白かったと記憶しているのがこの前川健一の講談社文庫の数冊。

いずれも、面白かったですねぇ。もちろんまだ持ってますのでライブラリーには並んでいます。

何が面白いか?

それは旅のスタイルに関係しているんだと思います。

前川のそれは典型的”定点観測型”。鳥か虫か…って視点で言うと圧倒的に”虫”。

これが、自分にフィットするんですね。

自分も”定点観測”・・・ってほど長い旅は難しいというのが現状ですが・・・バタバタ、アチコチ手を伸ばしてあれも、これもというタイプではない。

出来ればせっかく訪れた街と仲良くすべくしつこく歩き回りたい・・・という感じ。んで名所とかじゃない、ちょっと面白い何かを見つける。あそこのタバコ屋のおばちゃんがキャラ立ってて面白い・・・みたいなこと。

リピートも大歓迎。やはり何回か行って初めてわかる街の良さとか多いです。

前川のタイの観察日記はそこら辺のレベルを大きく超えた、ガイドブック・・・も大きく超えた参考書になりそうな勢いです。

そんな彼が今回描くのが、プラハ。

プラハ。

プラハ。

・・・想像がつかない。

アジアからアフリカ、もしくはヨーロッパでもちょっと雑(失礼)な感じのスペイン・ポルトガル(それはそれでもちろん読みたい)辺りならまぁ、なんとなく。

それが。

プラハ。

ヨーロッパの中でも洗練された芸術の・・・という雰囲気。

もちろん自分としても興味がないわけじゃあない。でもちょっとハードルの高さを感じる(国内で言う京都、的な)。

それが、前川流レンズを通してみると・・・。

面白い。

あっという間に行ってみたい街、に変身だ。

今回の”題材”・・・プラハ滞在は1か月。

前川本人も言う通り最低単位だろう。定点観察の。

ああ、そんな旅がしたいね。

そして前川のようなタイプの事、滞在は長ければ長いほど面白い旅行記ならぬ観察記が書けるのではないか。

そう思うとまた、ああ・・・。

自分の旅行はそれでもしばらくは、我慢できる。

代わりに前川よ。

自分に妄想で構わないからステキな街のお話を聞かせてはくれぬか・・・。



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coldmountainstudy  店主:鳥越将路


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