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ニュー新橋ビルで学ぶママの心得

今月もPORTOの一日店長が終わりました。

コロナだし祝日だし、そんなに人も来ないだろうとタカを括って開店前から飲んで仕上がっていたら、予想外にたくさんの友達や同僚の方にも来てもらえてとてもうれしかったです。

来てくれた皆さまありがとうございました。

今月のゲストはマーケティング関連の勉強会(デジマ女子部)で出会い、飲酒スタイルで意気投合したなおちゃんななちゃんでした。来月は4月10日(金)、ゲストは学生時代の友人・明るい商社マンのつばさくんです。

こんな形で曲がりなりにもスナックを営業して1年が経つわけですが、この前出会ったお店に大変学ばされたものがあったので今日はその話をします。

ギラギラは人の目を惹きつける。

水曜日の21時ごろ。ご飯を食べ、帰る前に一杯だけ飲もうかと同僚とニュー新橋ビルへ。地下に降り、どの店にしようか悩みながら歩いていると、ふと場違いにギラギラしたマダムに目を奪われる。美ら海水族館を泳ぐお魚もびっくりのギラギラマダムは流しの演歌歌手か何かかと思いきや店の女将で、目を奪われている一瞬の隙に我々は店内に引きずり込まれた。それはもうシームレスに引きずり込まれた。

同じく呼び込みをかけてきていた向かいのおっちゃんから「その店高いよ」と言われてひるむも、「いいからいいから」と女将の押しに負けて着席する。

座るやいなや、同僚(男)が首を触られヒィィとなる。何かと思えば首元のほくろを指差し、「あんたこれ襟ぼくろっていうのよ。着るものに困らないのよ。私もあるわ、ほらここに」と教えてくれた。店内を見回すと女将のものと思われるお召し物があちらこちらに置かれており、たしかな説得力がある。

POINT 1:
まずはギラギラでアイキャッチ。

主導権は店にある。

店内はいい具合にお客さんが入っていて、女将の他にもマダムが2人、チャキチャキとテーブルを回っている。食事をしてきたと言うも、うちの名物だからと鹿の刺身1500円を半ば無理やり注文させられる。

鹿の刺身が出てくると、「冷凍だから溶けると血まみれになるわよ。早く食べてね」と言われ、冷凍に見えなかったので同僚が「へ〜冷凍なんですね!」と言うと、「そんなこと大きい声で言うんじゃない!」とたしなめられる。他にも何かでびっくりした私がうっかり大声をあげてしまうと「大きい声出すんじゃない!あんただけじゃないんだから」と叱られる。素直にごめんなさい。びびった我々は粛々と鹿の刺身を食べる。

初めての鹿の刺身は馬刺しとの違いが全くわからず、馬鹿ってこういうことかという発見を得ながらつついていると、「食べ方が全然違う」とまた怒られる。見かねたマダムがべっちゃべっちゃのぐっちゃぐっちゃにタレや薬味を混ぜて馴染ませてくれた鹿刺しはたしかにおいしかった。飲み込むまで見守られ、感想を伝えると「それでよし」といった様子で戻っていく。お店の空気を守るため、お客さんに一定の満足度で体験を提供するため、半ば強引に客を店のルールに従わせることも時には必要なのだ。

POINT 2:
お客様 is not 神様。

押しつけるようで押し付けない。

その後も交互にテーブルを覗きに来るマダムたち。なぜか飲み物より食べ物を勧めてくる。とにかく何かしてあげたいという様子で3回に1回は箸置きの向きだけ変えて帰っていく。

せっかくなのでマダムのありがたいお言葉でも頂戴しようと、テーブルにやってきたタイミングでその前の会話の流れから、彼女募集中の同僚に「どんな人がいいんでしょうね」と話を振って返されたのは、「そんなの縁よ縁」という言葉。

これはとても意外だった。てっきり長年の人生経験で培われた人を見る目から、何かしら決めつけてこういう人がいいだの、こうしなきゃダメだの言われるかと思いきや、なるようになるし、なったときは抗っちゃだめよ、相手にも親がいるのよ、とただそれだけである。

これはとても耳の痛い話であるが、人の恋愛相談に乗るのは気持ちがいいものだ。誰もがそれなりに経験があって、それなりに成功体験があることについて、自分の考えを請われてベラベラ話せるのである。もちろん相談される方は良かれと思って話しているのだが、いつの間にか恋愛相談だったものが、登場人物が世間からことごとくダメ出しテラスハウスがごとく単なる話のネタにされてしまうことも少なくない。エゴや傲慢な押し付けを引き出しやすい話題であると思う。

一方のマダムは、そりゃそうだよなということしか言わないのだが、押しつけや否定をされない安心感と、それを真剣な目で言ってくれる愛情深さに、また会いに来たくなってしまった。

POINT 3:
店のルールには従わせても、エゴは押し付けない。

プラスアルファ、プラスアルファ。

その後もマダムは繰り返しテーブルにやってくる。時にはみかんを2粒ずつ分けに来てくれたり、帰るときにしていきなさいと、どこで手に入れたかわからないスッケスケのマスクをくれたり、お会計のときには「何かに使ってね」と空の領収書を渡された。(いらない)

お会計はビール2杯ずつと鹿の刺身で6000円近く。たしかに最初におっちゃんに忠告された通り、頼んだもので考えると安くはないのだが、なんだか常にギブ&ギブのオンパレードなので全然快く払える金額になっていた。

POINT 4:
人とサービスに気持ちよくお金を出してもらえるようになってからがスナック本番。

営業も忘れない。

お会計を終えて店を出て、女将が店の外まで見送りに来てくれた思うとしっかり名刺を握らされ、「団体の宴会はお酒の持ち込み無料だから。今度はみんなで来なさいね?」としっかり営業をかけられる。

無理やり店に引きずり込んでいながら最後まで押しの弱まらない営業をできるところにサービスへの自信を感じ、とことんしびれて帰りましたとさ。

POINT 5:
自信を持って売れるサービスを提供する。

私のスナック営業も来月からなんと2年目。
いつかは私もギラギラに。精進して参ります!

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