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F1の世界におけるカーボンニュートラルのご紹介

この記事は、Mobility Technologies Advent Calendar 15日目の記事です。

こんにちは。
Mobility Technologies(以下、MoTと呼びます) でデザイナーをやっています mt_takao です。

早速ですが、みなさんは、「カーボンニュートラル」「脱炭素社会」といったキーワードを見たり聞いたりしたことはあるでしょうか?

脱炭素社会とは
地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)をはじめとした温室効果ガスの排出量を実質ゼロ(=カーボンニュートラル)となった社会のこと

カーボンニュートラルとは
温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させることを意味します

「排出を全体としてゼロ」というのは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの「排出量」※ から、植林、森林管理などによる「吸収量」※ を差し引いて、合計を実質的にゼロにすることを意味しています。
※人為的なもの

カーボンニュートラルとは - 脱炭素ポータル|環境省

日本においては、2020年10月、政府が2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指すことを宣言しました。
世界においても、カーボンニュートラル達成のためにさまざまな取り組みが行われています。

この記事では、モータースポーツ の Formula 1 (F1) の世界におけるカーボンニュートラルの取り組みをご紹介させていただきます。


Formula 1 (F1) とは

Formua 1 (F1) は、モータースポーツのカテゴリの1つで、四輪レースの最高峰とされています。

今年のF1日本グランプリ@鈴鹿サーキットの様子

F1のレースは、世界中で行われており、2022年は開幕戦のバーレーンGPから始まり、最後はアブダビGP(アラブ首長国連邦)までの合計22戦が開催されました。

現在、日本人で唯一参戦している角田裕毅選手のパネル前で記念撮影

ちなみに、日本でのF1開催は、コロナウイルスの影響もあり、2019年以来3年ぶりの開催となり、自分もお休みをいただき、現地でフル参戦させていただきました(笑)


F1におけるカーボンニュートラルの取り組み

F1は、2019年11月12日、サステナビリティ(持続可能性)についての発表を行いました。

この発表は、二酸化炭素(CO2)の排出量を減らしていき、2030年までにカーボンニュートラルを達成する計画という内容というものでした。
この発表から、F1の世界における環境問題への取り組みが本格的に始まっていったと思います。


F1マシンのエンジンと“100%”持続可能な燃料

F1の世界におけるカーボンニュートラル達成のための取り組みは多岐に渡りますが、この記事では、F1マシンのエンジンとそのエンジンで使う燃料にフォーカスしたいと思います。

F1マシンのエンジンの歴史

F1マシンのエンジンは、レギュレーションの変更に伴い、いろんなスペックのエンジンが開発・投入されてきました。

引用:F1エンジンの歴史 - 馬力・気筒数・排気量の推移を振り返る | Formula1-Data

各エンジンメーカーが、F1で勝利するためのエンジン作りにしのぎを削っていましたが、スピードが速すぎて時には排気量が制限されることもありました。(1995年あたりの話)

そんなエンジン開発で、大きく流れが変わったタイミングがありました。
それが2014年に導入された新しいエンジン規約です。


新たな動力源「パワーユニット」の誕生

2014年のレギュレーション変更に伴い、それまで使われていたICE(内燃機関)のみを主導力とするエンジンから、ICEにエネルギー回生システム(ERS)を加えた、新しい動力源システム「パワーユニット(Power Unit = PU)」が導入されました。

エネルギー回生システム(ERS)の他にもさまざまなシステムが導入されており、単純にエンジンと呼ぶのも少し違うということで、エンジンではなくパワーユニット(Power Unit)と呼ばれるようになりました。

エネルギー回生システム(ERS)は、以下の2つの回生システムで構成されています。

引用:Honda | F1 | 革新技術への挑戦「F1パワーユニットを知る」
  • 運動エネルギー回生システム「MGU-K

    • Motor Generator Unit - Kinetic の略

    • Kinetic は「運動」という意味

    • 「MGU-K」は市販のハイブリッド車にも使われている技術

  • 熱エネルギー回生システム「MGU-H

    • Motor Generator Unit - Heat の略

    • Heat は「熱」という意味

    • 「MGU-H」は、F1で培われた最新技術

特に注目すべきなのが「MGU-H」の方で、この技術を使うことで、F1マシンから排出される排気熱を再利用し、エネルギーに変換し、動力に変えることができます。
通常、大気中に放出される排気ガスを活用するので、まさにカーボンニュートラル実現のための技術と言えるかと思います。


「E10燃料」の導入

前述したエンジン・パワーユニットのアップデートに関連して、燃料についてもカーボンニュートラル達成のための取り組みが行われています。
それが「E10燃料」の導入です。

E10燃料」とは、バイオエタノール10%を混ぜたガソリンのことで、F1では2022年の今シーズンから全てのマシンで使われるようになりました。

バイオエタノールとは
植物などの生物資源(バイオマス)を原料にして作られる再生可能燃料のこと。
化石燃料と比べて、二酸化炭素(CO2)の排出量が少ないことから注目されている燃料です。

また、2022年6月27日に、2026年に“100%”持続可能な燃料をF1で導入すると発表もされました。

「走る実験室」と言われているF1レースの世界で先行導入し、そこで得られた知見を実用化に向けて活用していくという、とても重要な役割をF1が担っていると思います。


MoTにおけるカーボンニュートラルの取り組み

ここまで、F1の世界におけるカーボンニュートラル達成のための取り組みを簡単にご紹介させていただきました。

実は、つい最近、MoTにおけるカーボンニュートラルの取り組みについて発表させていただきました。

詳しくは上記のプレスリリースをご覧いただければと思いますが、

  • エネルギーマネジメントシステムの構築

  • タクシー事業者へのEV車両のリース提供と充電機器の提供

を行うことで、CO2排出量削減と社会のカーボンニュートラルへの意識向上を目指していきます。


まとめ

今回はF1の世界におけるカーボンニュートラルのご紹介をさせていただきました。

地球温暖化をはじめとした環境問題に対しては、日本を含め世界中の関心事だと思います。
既に、欧州などでは、購買活動における意思決定基準に、企業が環境問題に取り組んでいるかどうかが重要になっていると聞いたりもします。

MoTにおける環境問題・カーボンニュートラルへの取り組みは今まさに始まったばかりですが、個人的には強い関心・興味がある分野ですので、いろいろとチャレンジしていきたいと考えています。

最後にちょっとだけ宣伝です。
MoTでは一緒にチャレンジしていってくれる仲間を絶賛募集中です!
タクシーアプリ『GO』や、GXプロジェクトに興味があるという方、ぜひカジュアルにお話もできますので、宜しければ採用情報等、ご覧いただければと思います。




おまけ

F1の2022年シーズンのワールドチャンピオンに輝いたマックス・フェルスタッペン選手が乗っていたマシンに搭載されていたのが、実はホンダのパワーユニットだったりします。

諸事情あって、今年から「HONDA」ロゴがマシンにつかなくなりました。
でも、また諸事情で、シーズン途中(鈴鹿日本GP)からロゴが復活しました。

そんなホンダF1チームの元マネージングディレクターだった山本雅史さんの書籍「勝利の流れをつかむ思考法 F1の世界でいかに崖っぷちから頂点を極めたか」が10月に発売されました。

自分も読みましたが、F1ファンの方ももちろんのこと、ビジネスパーソンにもオススメの内容となっていると思いますので、ご興味ありましたら、ぜひご一読ください。

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