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(21)落とし穴を叩いて渡る

東京では桜の開花宣言。高い山はまだ雪に覆われていますが、それでも山の季節は「春山」に突入したといっていいと思います。天気も安定してきて、太陽の暖かさに上着を脱いで歩く残雪の山、ああ、早く行きたい。

春。冬山のようなヒリヒリした緊張感が緩むのはいいですが、雪も緩みます。緩んだ雪は歩きにくいのですが、それがまたじれったくて楽しかったりします。そして隠れている落とし穴を踏み抜くのも春の風物詩といえるのではないでしょうか。

落とし穴、もしくはスノーブリッジは部分的に雪融けが早いところにできます。大半は水の作用によるものです。落とし穴に落ちるとだいだい下には水が流れています。膝下が落ちるくらいならいいですが、それが腿、股、腰となれば危険ですし、体ヘのダメージも大きいです。ホラ、階段を下り終わったと思ったらもう一段あることありません?あれドキッとしますよね。そして意外と腰とかにくる。それのスゴイやつです。

今回の「お山のマナーブック令和版」は、「その落とし穴に落ちないほうがいい」ということではなく(もちろん落ちないでくださいね)、メイン・トレース上に落とし穴を見つけたときのマナーです。小屋番の春の仕事のひとつでもあります。

この連載は、当たり前のことから山ならではのことまで色々ある登山マナーを再考していきます。そもそもよく理解していなかったり、昔から語り継がれてきたなかには、時代とともに解釈が変わってきた、あるいは不要なのもあろうかと思っています。
そこで、昭和の登山ブーム世代を先輩に持ち、平成の山ガールブーム世代を後輩に持つ私が、これまでの経験と体感から今の時代にフィットした解釈をしてみようと!
あくまでも個人の解釈ですから、ここに書いたことを山で守っていない人を見かけてもその人が間違っていると思いこまないようにしてくださいね。

週1回更新(目標)、全50回(予定)でお送りします。自主出版化を目指します(野望)。ご支援よろしくお願いします。

第一回より抜粋

雪がしっかり分厚く積もっている冬は自分が見定めたルートで、極端にいうとどこを歩いてもいいのですが、春からはベンガラ等で「ここを歩いてください」という案内が付くようになります。なぜかというと、

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