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頭使わない多数決とか、もう終わりにしない?

ミーティングで出た意見を、
そのまんま多数決して一つに決める。

そんな話し合いしてませんか?


多数決している間に新たな論点が生まれてなかなか決まらないとか。

ひとつに決まったけど納得感が薄いとか。

それは頭使ってないからです。

頭使ってない多数決をしてる人が多すぎる。

今回は、ミーティングの「意見集約」、つまりたくさんでた意見から結論を絞る方法を紹介していきます。



意見集約のポイント

まずはじめに、「良い」意見集約とは何でしょうか。

私は、「妥当性」「信用性」「再現性」の3つが満たされたものを良い意見集約と考えています。

▶︎妥当性
決定に根拠があり、その場にいない人でも理解できる決定であること。

▶︎信用性
判断、決定に用いた基準や、判断した人々に信用があること。例えば、判断に用いた情報のリソースが信用に値しないものであったり、判断をした人たちに決定権がない場合は、良い意見集約とは言えない。

▶︎再現性
同じ議論を同じ条件下で行ったときに、同じ結論が出ること。例えば、その場のノリやくじ引きなどで決めた場合は、良い意見集約とは言えない。(担当やペアを決めるときなど、ランダム性を求める場合はいいけどね)



意見集約の手順

ここでは、意見集約の手順を説明します。

▶︎独立した選択肢を用意
これができない人が多すぎる。
まず、選択肢がそれぞれ独立していなければ、多数決どころか意見の比較さえできません。

選択肢が独立しているとは、それぞれの意見に被りっている部分がないということです。

ファシリテーターは、各メンバーの意見に対し、似たものをひとつにしたり、重複する部分と異なる部分に分けたりして、意見をあらかじめ独立した形にまとめておく必要があります。

また、レイヤーが揃っていることも重要です。
つまり選択肢の大きさ、詳しさを揃えるということです。

例えば、「リンゴ」と「和食」は、抽象度が違いますから、比べるのが難しくなります。また、「リンゴとみかんとぶどうのフルーツ盛り合わせ」と「お菓子詰め合わせ」は、中身の詳しさが異なりますから、同等に見比べることができません。


▶︎選択の方法、基準の共有
適切な意見集約方法を選び、全員に共有します。

意見集約方法の例は、次の章から書いていくので参考にしてください。

また、判断基準を統一することはとくに大事です。
なぜなら、デザートに「リンゴ」と「ケーキ」のどちらを食べるか決めるとき、メンバーにダイエット重視の人と、満足感重視の人が混在していては、ひとつの結論を導きだせません。その場合は、リンゴとケーキのどちらにするかを選ぶ前に、ダイエットと満足感のどちらを重視するか、全員で共通認識をとる必要があります。

ここまできたら、意見集約ができます。


▶︎少数意見を懸念点として組み込む
みんなで結論を出したら、少数意見、採用されなかった意見を、できるだけ懸念点として組み込むようにしましょう。



意見集約の方法

では、ここからは私がよく使っている意見集約の方法、種類を紹介していきます。

意見集約の方法には、「定量的評価方法」と「多数決方法」の2種類があります。

定量化評価方法とは、各選択肢を多数決以外の数字で評価し、点数をつけることで、案をひとつに絞る方法です。

多数決方法とは、ただ多数決をするのではなく、より「良い」多数決をするための方法です。


①マトリックス

種類:定量化評価方法
メリット:広く様々な場合に使用できます。複数の判断基準を同時に考慮できます。
デメリット:選択肢が多いと、ちょっと大変。

▼このような表をつかいます。

①判断基準を決める
a,b,c…に当てはまる判断基準を決めていきます。議題に応じて、大切にしたい点、懸念すべき点を判断基準にすると良いでしょう。
値段(費用)、新規性(珍しさ)、かかる労力、などを使うことが多いかと思います。

②ひとつひとつを評価する
各選択肢A,B,Cについて、それぞれの判断基準を見ていきます。
例えば、Aの値段は?味は?個数は?珍しさは?安全性は?というように。
そして、それを「○△×」「12345」などで評価していきます。

③合計点を出す
A,B,Cそれぞれの合計点を出していきましょう。○△×の場合は、○の個数を計算するか、○2点、△1点、×0点などの点数に換算してみましょう。

④結論を出す
各選択肢の点数を比べて、結論を出します。



②損得算出

種類:定量化評価方法
メリット:メリットデメリットが予測できるものに適しています。選択肢が多くても使いやすいのがいいところ。
デメリット:各選択肢の小さな特徴などが見逃されてしまう可能性があります。

▼このような表を使います。

①メリットデメリットを書き出す

まず、選択肢A,B,Cそれぞれのメリットとデメリットで、一番重要だと思われるものをひとつずつ書いていきます。


②順位をつける

メリットデメリットそれぞれの重大さで、優先順位をつけていきます。


③点数化をつける

優先順位が高い順に、点数をつけていきます。


④合計点を出して結論を出す

各選択肢の合計点を出し、結論を出します。



比較多数決(メリット重視)

種類:多数決方法
メリット:選択肢が少ない場合に適しています。各選択肢の特徴を吟味した上で選べます。挑戦的な議題を取り扱う場合におすすめ。
デメリット:安全志向の場合には適さない可能性があります。

▼こんな表をつかいます。

①メリットデメリットを考える
思いつく限りのメリットとデメリットを書き出します。あるひとつの物事に対して「する/しない」の選択肢を比較する場合は、AのメリットとBのデメリットが一致する場合もあります。

②メリットの大きさで多数決
AのメリットとBのメリットのどちらが、議題の「目的」に対して大きな効果を持つかを考え、多数決をします。


ただ多数決をするのではなく、より具体的な要素について多数決を取ることで、判断基準のズレや認識のズレを小さくすることができます。

また、メリットを比べて結論を出すことによって、より目的を重視した、チャレンジ的な施策を行うことができます。

リスクを恐れず、新しいことをしたい場合には最適でしょう。


比較多数決(デメリット重視)

種類:多数決方法
メリット:選択肢が少ない場合に適しています。各選択肢の特徴を吟味した上で選べます。保守的な議題を取り扱う場合におすすめ。
デメリット:チャレンジをしたい場合には適さない可能性があります。

▼こんな表をつかいます。

①メリットデメリットを考える
比較多数決(メリット重視)と同じ

②デメリットの大きさで多数決
AのデメリットとBのデメリットのどちらが、チームや組織への悪影響が大きいかを考え、多数決をします。

デメリットを比べて結論を出すことによって、より安全志向な判断を行うことができます。

変革よりも安全を求める議論の場合には最適でしょう。



まとめ

いかがだったでしょうか?

なんでもかんでも「多数決しよう」と考えてしまっていた人は、少し視野を広げることができましたか?

今回紹介した方法で全てではありませんので、どうやったらより「良い」意見集約ができるのか、ぜひ考えてミーティングやGDに取り入れてみてくださいね。