物語は永遠だが、言葉は不変じゃない

Amazonのミステリー・サスペンス・ハードボイルドのカテゴリーでロアルド・ダールの『あなたに似た人』の新訳が一位となっている。
この田口俊樹 訳は2013年に出たものだが、光文社の古典新訳文庫を始め、つい6月にはガストン・ルルー『黄色い部屋の謎』の新訳も創元推理文庫から出たりと海外文学の新訳は常に熱い。
ダールの『あなたに似た人』で言うなら田口訳の前には名訳名高い1976年の田村隆一訳があり、やはり時代に則した言葉を求めると古さもそろそろ否めず、新訳の登場は待たれたところだったと思う。
新訳は訳者の違いを読み比べたり、時代の中での言葉の進化を間違いなく我々に感じさせるところでもあれば、新訳によって再び名作に脚光を浴びせて次世代に読み継がせるチャンスとしても有効だ。
近い将来、源氏物語のように日本人が書いたものを日本人が訳すということが近代文学に対しても行われるかもしれないが、よくよく考えると既に漫画化という形がそれに当たっているのかもしれない。


光文社古典新訳文庫
https://www.kotensinyaku.jp/

ロアルド・ダール『あなたに似た人』新訳版
ハヤカワ・ミステリ文庫
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