書籍「宗教とデザイン」読んだ感想
宗教とデザイン
2023年10月出版
松田行正
何と著者の松田行正さんは「本のデザインを中心としたグラフィック・デザイナー。」との事。
これを知ったのは全部読み終えてからの奥付け作者紹介でした。何か教授や歴史研究者だとばかり思っていました。
可愛い系のイラストを描く上で何度も足を止めることになる色々なモチーフ。
クリスマス・そしてハヌカ(ユダヤ教の行事)の表現
ステンドグラス(バラ窓)やアラベスク
十字架、そして六芒星
渦巻きの成り立ち
占星術記号
「黄色」に対する西洋と東洋
なんだかちょっと知っておきたい、そんな気持ちにちょうど良く答えてくれる読み物でした。
宗教というと何だか重々しいですが、要は歴史や権力構造と、その文化を形成した社会的状況などの関連を紐解くような内容です。
何と厚さ4cm、持った感じコロコロコミックみたいな印象ですが、文字や字間が程よく大きくページがぐんぐん進む感じも中々楽しい本書。
私は毎日猫ちゃんのご飯をあげる時間だけ隣でちょっとずつ読み進めて、結局3ヶ月くらいで読んだと思います。
思いがけない収穫だったのが、ひらがなと漢字の成り立ち。
ひらがなは女性がコミュニケーション用に製作した文字。
漢字は神にお伺いを立てる為に製作した文字。
実は漢字の女文字版を中国女性が製作していたのですが、(中国、湖南省の女書/にょしょ)男性優位な儒教に対する抗議に秘密裏に使われていたので、使用者の女性が亡くなると書物も一緒に埋葬されており、絶滅した文字との事。何とも切ない話です。
ちなみにひらがなは余白も巻き込んでゆったり自由に書き、内容も恋愛事情や日記などが多く、ふにゃふにゃしていたので生き残ったそうです。
何だか日本らしい気がします。
他にもカニバリズムと内臓から連想される渦巻き模様など、中々にインスピレーションを掻き立てる内容が沢山、参考画像とともに記載されています。
優しい書き口で、自分の製作にすぐさま直結するかはわからないですが、読んで良かったと思える一冊でした。
歴史を紐解きやすいと言う理由で仏教の情報が深く、ちょっと他の宗教とは心の距離が遠い気もしますが、広く知識を得ることはできます。
様々な地域や時代を軽やかに行き来しながら、深く広く豊かな文化についてじっくり考えられるおすすめの本です。
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