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消費増税の愚策

 経団連の十倉会長が、少子化対策の財源として、消費税を引き上げるべきという提言を行ないました。

とんでもない愚策です。

こんな提言が通れば、百年以内に日本人は地球から消滅するのではないか?
と言いたくなるぐらい無茶苦茶なお話です。

現時点で、国民負担率は五公五民。

そしてすでに、六公四民となるための増税政策が着々と進んでいます。
そこに消費増税となれば・・・
七公三民とか八公二民という酷税国家になるでしょう。

そもそも通貨発行権益を有する政府・日銀は、税金を一円も取らなくても破綻することが無いのです。

江戸幕府が財政難で苦しんだのは、通貨発行権を厳密には所有していなかったからです。

江戸幕府は、金の保有量によって通貨を発行する金本位制もどきの貨幣制度で運用されていました。
金には保有限界があります。
その一方、戦争のない平和な時代が続くと、人口が増え、国全体の経済規模が拡大するようになります。
市場への通貨供給量を増やさないといけないのですが、金山の枯渇等で、金算出の伸びが市場の規模拡大に追い付かない。
その結果として、デフレ(米価安)に喘ぐことになったのです。

当時の武士の収入源は米価依存でしたから、武士が困窮する時代になるのは当然のお話なのです。

そこで、金の含有率を下げた小判を発行するようになったのですが、悪貨は良貨を駆逐し、経済に混乱が生じました。
また、薄めたとはいっても、通貨発行に金を費消する構図は変わっていませんでしたので、家康時代に蓄えた金を失い続けました。

その結果、江戸幕府は財政難に陥り、質素倹約を旨とせざるを得なかったのです。

江戸幕府と異なり、政府・日銀は、円が暴落するまでは無制限に通貨を発行できます。(極端に言えば、暴落しても無制限に通貨は発行できます。)

つまり、税金を取らなくても、毎年100兆円の赤字国債を発行し、日銀に引き受けさせ、予算を費消しても構わないのです。
※)円が暴落さえしなければ、世界から非難はされません。

日本国民が大減税で 個人消費を拡大し、それにつられて企業が設備投資を行なえば・・・景気は一気に回復します。

バブルを超える好景気になればどうなるか?

海外からもモノを買うようになるので、円高に振れていくことになります。
政府・日銀がバンバンお金を発行し、お金を使えば、円安に振れていくことになります。
円高と円安が綱引きしあうようにすることが、今の日本には必要なことなのです。

そのためには、大減税・公共投資拡大の一択しかないのです。

そもそも、通貨を自前で発行できる場合、財源なんて不要なのですが
なぜ、税金を取るのでしょうか?

表立ってのキレイゴトでは、

社会の皆が助け合うための財源とするため

となっております。
が・・・本来、税金とは、

市場の中で強者に対し、ハンディキャップを付与するためです。

あるいは、

意図的に伸ばしたい分野に肩入れするためです。

日本の場合、ほぼ後者でしか税金制度が運用されていません。

本来なら強者からハンデとして税金を取り立て、その税金で弱者の保証に充てる。そのためにだけ、税金がかけられれば良いのです。
それを行なうのが、累進課税であり、高率の法人税でした。

今の日本は、累進率が弱まっていますし、法人税も税率が下がっています。
その代償として、消費税が増税基調にあるわけで・・・

こんなことが続けば、日本人は干上がってしまいます。

財務省の官僚は、”新たな税項目を設定” したり ”税率を引き上げる” ことが出来ると、 ”出世” できます。
だから、政治家に対し、雨あられと日本財政危機論をぶつけ、数字を見せつけ、増税路線・緊縮財政を押し付けます。
個人レベルでは、通貨発行経験がない人しかいないので、収入と支出という家計簿的なお話に簡単に乗せられてしまう政治家が後を絶ちません。
結果、緊縮路線は ”正しいこと” と錯覚させられるわけです。

もし、財務省の出世要綱に、 ”人口増加” と ”GDP増大” を最上位項目として設定できれば、 多分、 政策は180度転換されることになるでしょう。
政治家が行なうべきは、官僚の人事考課制度を抜本的に改変することです。

まあ、そんな政治家はいないでしょうけれども・・・

さて・・・
経団連は消費増税を躍起になって推奨し続けるのでしょうか?

でも触れられていますが・・・

法人税を引き下げるよう提言するためです。

ヘンテコリンなお話なのです。
経団連は、”広く国民全体で負担を”と言っているのに、自分たちは減税を、と主張しているのです。

これまでも、消費増税分と法人減税分で相殺され続けたため、国家財政は改善されずにここまできました。

そして、この路線でどのような悲劇が起こったか?

すでに、皆さん経験済みです。

就職氷河期世代を生み出し、非婚化からの少子化を生み出してしまいました。

少子化の元凶を増強して、少子化対策を行なう財源に充てる。

これを愚の骨頂と呼ばずして、何と呼ぶのでしょう?

しかしながら、日本の政治家は経団連からの支持を欲しがります。
豊かな財源もありますし・・・長い物には巻かれよとも言いますし。

これを変えるとすれば、日本国民一人一人の一票しかないわけですが・・・
さて? 消費減税の声を糾合出来るだけの政治家・政党は現れるのでしょうか?

鼓腹撃壌

というお話がありますが、庶民が願うのは、そういう社会・国なんでしょうねえ。。。

しがないオッサンにサポートが頂けるとは、思ってはおりませんが、万が一、サポートして頂くようなことがあれば、研究用書籍の購入費に充当させて頂きます。