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マネジメントサービスセンター(MSC)社-ヒューマンアセスメント(HA)の由来

第1話ーダグラス・ブレイ博士と出会った幸運 (1970年代)

MSCの主力商品「ヒューマンアセスメント」 (HA) は、 1971年に米国企業訪問ツアーに 出かけ、 AT&T社でダグラス・ブレイ博士と出会ったのがきっかけで誕生しました。博士が語る人材 の能力発見と開発を目的とするアセスメント技法に梅島は興奮し感激して「日本に来てその話を」と依頼しました。

翌1972年の夏、ダグラス・ブレイ博士とバイアム博士は来日して、MSCのセミナーで、参加者にアセスメント技法の講義と演習の実際を示して、聴衆に強い印象を与えました。 1973年には、 MSCは両博士が経営するDDI社と技術提携し、この技法を日本の各社に広めることになりました。それからが大変です。 とにかくこの商品は売れません。

DDIから大量の資料が送られてきて、翻訳に大苦労です。 内容の理解を図るために、 幹部は何回も訪米しDDI社で研修を受けました。 両博士は毎年、1~2回は来日して、全国を回って講演し、梅島は案内役を務めました。ある時、 ダグラス・ブレイ博士はNHKの番組で、「この技法をもっと良く知りたい人はMSCに連絡を」 と、MSCの電話番号を言って、隣で慌てる梅島をニヤリと見ました。プレイ博士は公共放送では宣伝がいけないことは先刻ご承知だったようです。

その後も7~8年間は、「ヒューマンアセスメント」は全く売れませんでした。日本では、 年功序列、終身雇用の概念が人事評価の根底にあり、能力開発や人的資源の評価は差別とまで言われました。 首藤※1社長が「こんなに金がかかる売れない商品はやめろ」と言い出しまし たが、梅島は必死で抵抗しました。 何とか売れ始めたのは、1970年代も終わりのころからです。10年間の我慢でした。

(梅島みよ)

第2話ーアセスメント技法は軍事活用から産業界へ

軍事活用のアセスメントは、第1次世界大戦でドイツのスパイ選抜、英軍の将校選抜。ロンドン警察の警官の評価に使われ、第2次世界大戦になると、米軍の将校選抜や海外諜報戦略計画の担当者の採用などに使われました。

本技法は、 その後、ハーバード・クリニックで研究が続けられ、その研究内容は 「人間の評価」というタイトルで出版されました。当時、 プリンストン大学やコロンビア大学で、 「人間の能力」を研究中のダグラス・ブレイ博士は、この書籍の内容に興味を持ちました。

そしてダグラス・ブレイ博士はAT&T社の経営室長から「管理者選抜」の担当として招聘され、 AT&T社に移りました。同社で博士は「管理者候補として入社した若者は職業生活を通じてどのように能力が成長していくか」を調べる 「管理者成長研究, MPS・20」 の企画を立てました。

入社後4~5年を経平均26歳の若者を対象にアセスメントによる調査を実施し、 この研究を20年連続しました。 調査は、初年度の評価、毎年面接、8年目の再アセスメンド、20年目の再アセスメント、そして、 さらに15年も研究を継続しました。

「MPS・20」 スタートの翌年、ダグラス・ブレイ博士は、この技法を適用として試み, AT&T の子会社、ベル・テレホン社でライン管理者や管理者候補に実施しました。 その情報を産業心理学会の非公式な会合で1957年に話し、 また、1964年に「変化する時代の職務 (The Personal Job in the Chungzing World)」という書籍で技法の内容と結果を発表して、産業界の関心を呼び、多くの米国企業がこの技法を活用するようになりました。

(梅島みよ)

第3話 ー「助っ人先生」 や、 米国の差別撤廃の動きがアセスメント技法展開の力になった

アセスメント導入の初期から10年以上も続して、大学の先生や、そのほか多くの社外の学識者の方から、ご指導やご協力をいただき、アセスメント技法は成長しました。 慶應義塾大学の関本昌秀先生、佐野勝治先生、 東京国際商科大学の豊原恒男先生、 産業能率大学の小林薫先生、人事院安定局の田代空先生など多士済々です。 またDDIからはプレイ・バイアム両博士だけでなく、そこに働く多くの心理学博士たち、さらにAT&T社の方、 米政府のスタッフなどの協力があって、アセスメントの理解が進みました。

米国で本技法に出会った時は、ちょうど米国では、差別撤廃法が成立し、男女の雇用差別撤廃の実施が強調され、それを遵守しなければ連邦政府との契約を解除するということになっていました。 AT&T社もこの点を重視していました。 AT&T社は管理者候補を男女同数で採用したので、ダグラス・ブレイ博士がその後のその人たちの昇進率を調べたところ、 男性の昇進率は約70%ですが、女性の昇進率は30%ほどと低いのです。 そこで、まだ管理者ポストに就いていない女性、2,000名ほどについて、果たして管理能力がないのかどうかを調べるため、プレイ博士はアセスメント・センターをロサンゼルス、 シカゴ、ニューヨークの近郊に設けて調査を実施しました。

その調査で、 管理能力ありと評価された管理者候補の女性は、空席があれば昇進させ、空席がなければポストが空くまで待機しているが、男女差別の理由で昇進できなかった期間の給与損失は、遡って補填するということまで決めたようです。梅島は「凄い!」と感激し、この話を日本の企業の人事部の人たちにダグラス・ブレイ博士から話してもらおうと決めたのです。

会社名:株式会社マネジメントサービスセンター
創業:1966(昭和41)年9月
資本金:1億円 (令和 2年12月31日)
事業内容:人材開発コンサルティング・人材アセスメント
HP:https://www.msc-net.co.jp/


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