読書記:「デフレの正体」 (藻谷浩介著、角川書店) (日経産業新聞寄稿)

本書では「生産年齢人口が景気変動の主たる要因である」というユニークではあるが、読んで、みると納得のいく説が唱えられている。
著者の論からすると、消費をもっともしてくれそうな人たちである若者や女性に所得が回るようにすれば、景気がよくなるということである。逆に消費をしてくれない人たちは、多くの財産を有しながら消費に貢献しない。「高齢富裕層」であり、それを放置すると景気は低迷するというロジックとなっている。
少子化についても若者や女性の所得と関連しており、所得が十分でなければ出産・子育てをしようと思わないのであり、これは女性の就労率が高い地域ほど出生率が高いという統計数値からも裏打ちされる。親の所得の差によって、能力(受験力ではなく社会に貢献することができる力)を有した人間の代わりに「それほどの能力がないのに地位を得る人間の増えること」は社会に害悪をなすとの危惧も論じられている。
戦略や施策を考えるにあたり、新たな視点を開かせてくれた。

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