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リモート進化をチャンスに変える!”女性の持続可能=サステナブルな働き方”HRのプロ達と考えた

Ms.Engineer SUMMITは女性のためのプログラミングブートキャンプMs.Engineer(ミズエンジニア)が主催する、IT業界やエンジニアという仕事について、また新時代の働き方について、ゲストの皆さんとトークしていくイベントです。

4回目となる今回は、

上原 達也さん(XTalent株式会社 代表取締役)
中澤 理香(りっちゃ)さん(株式会社10X 取締役CCO)
石黒 卓弥さん(株式会社LayerX 執行役員)

をゲストにお迎えし、女性の「持続可能=サステナブル」な働き方をテーマに開催しました。

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■ゲストのご紹介

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やまざき:皆さん、朝早い時間からご視聴いただきありがとうございます。まずは、上原さんから自己紹介をお願いいたします。

上原:はい、 XTalent株式会社の代表をしています上原と申します。

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経歴についてはこちらに書いてある通りで、 IT ベンチャー2社で事業開発などの仕事をして、2019年7月にこの会社を立ち上げました。withworkというワーキングペアレンツに特化した転職サービスの運営をしております。ご登録頂く方はお子様がいらっしゃる女性が特に多いのですが、柔軟な働き方や今回のトークテーマであるサステナブルなキャリアの作り方という点にも、会員の皆さんはすごく関心や悩みをもっています。私も子どもが二人いて共働きですので、日々色々な課題に直面しているので、たくさんの方に柔軟な働き方やチャレンジする機会をご提供したいという思いで、事業を運営しています。今日はよろしくお願いします!

やまざき:よろしくお願いします。上原さんとはzoomでお茶をして、共働きの方や女性の働き方について悩んでいる人が多いとか課題が多いという話に共感したことが、今回の企画の発端でした。こういった課題に対してどうしてアプローチできるのか色々お話をお伺いできればと思います。はい、ではりっちゃさん、お願いします。

中澤:おはようございます。中澤理香です。 Twitterにはりっちゃって書いてるので最近はりっちゃの方が定番化してきました。私は今は株式会社10Xという30人強ぐらいのスタートアップでHRと広報を担当してます。(※イベント実施後、同社取締役CCOに就任されています。)

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新卒で働いたのかがmixi で、そこからYelp、メルカリ、今4社目でずっとスタートアップです。規模は数十人から数百人、一千人以上まで経験していきました。ウーマンエンパワーだったりとかダイバーシティ推進ということにも個人的テーマとして昔から興味があって、取り組んでいたりします。10Xでは、ネットスーパーやオンラインのドラッグストアといった、小売りのデジタル化を推進する事業を展開しているのですが、共働きの方はネットスーパーをよく活用されているので、最終的には共働き家庭を助けることができるサービスというところに共感を感じています。

自社で定めているダイバーシティポリシーについても、人事や広報として手探りで推進していっているところです。今日は、すごく楽しみにしていたのでよろしくお願いします。

やまざき:錚々たる、みんなが知ってる会社のPRをされてきてますよね。元々りっちゃさんはダイバーシティに関してやいやいラジオとかでも発信されていて、ご自身のPRのコンセプトとしてダイバーシティの観点をもたれているのでとても先進的だし素敵だと思っていて。はい、よろしくお願いいたします。では石黒さん、お願いします。

石黒:今、株式会社LayerXというテックの会社で人事をしております。7年前に育休をとった時、当時だと男性で育休とることはまだ珍しかったんですが、人事職で育休取得経験があると、女性からも男性からもキャリアの相談を受ける機会が増えました。そういった中で、よりD&Iとかの意識を持つようになり、最近は特に自分自身の変化も実感しています。

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新卒で入社したNTT ドコモは比較的しっかりした会社で、女性の社会進出を考えたりする機会は当時はあまりなかったのですが、時代の変化に合わせて学ぶことが多くて、特にメルカリに入ってからはD&Iというところはさらに身近になりましたね。

メルカリは社員が育休をよくとる会社で、私が5年半在籍した間にですね、数えたんですよ産休や育休に送り出したチームメンバーは8人ぐらいいるんですよね。それだけ多くのメンバーが取得してくれると、報告のタイミングとかも含め実践的な良い学びができたなと。そういうことに、働く上で懸念を持っている人を応援していきたいなといつも思って仕事をしています。よろしくお願いします!

やまざき:石黒さんといえば、LayerXもデジタル庁にも参画されていらっししゃいますし、メルカリさんにいらっしゃった当時の話もお聞きしたいなと思っています。共働きやダイバーシティの観点でメルカリさんってすごいですよね。すごくかゆいところまで手が届いてるなと思っていて。色々なお話聞ければと思います。

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と言うことで本日はこのメンバーでお送りいたします!

■子どもがいる女性もフルタイムで働くことが当たり前の社会へ

本日のテーマは、女性の持続可能=サステナブルな働き方ですが、ゲストのみなさんにお話しを伺いたい第1問目の質問はこちらです。

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やまざき:これはですね、皆さんすごく新しい価値観をもった組織にいらっしゃるのと、採用に関わられている中で、最前線で働く皆さんが、最近の女性の働き方やキャリアを見ていて感じる「変化」はどういったことがあるかということをお伺いしたいです。

上原さんいかがでしょうか。

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上原:そうですね、自分はお子様がいる方の転職支援をしているので、いかに育児や家庭のこととキャリアを両立させていくかっていうテーマで色々な会社の働き方を見させてもらっているんですね。この話は実は今まで公にはしたことないのですが、今のwithworkというサービスを思い浮かんだきっかけは、僕はずっとITベンチャーで働いてきた中でメルカリさんの働き方や制度がすごいって思っていて自分に与えた影響が大きいんですよね。昔はすごくハードワークをしていたんですけど側でメルカリさん見て、こんなすごい柔軟な働き方ができるんだなーと思って。やっぱりそういう会社には優秀な人材が集まるんだなと思いますし。そういった柔軟な働き方や制度を打ち立てている会社を、転職という形で支援する事業をやりたいなと思って始めたんですよね。

それで事業を始めて数年は、働き方への柔軟性は緩やかに良くなっていたんですが、このコロナ禍で急激に変化が起きたなと感じています。リモートワークの取り入れ方やリモートワークに合わせて勤務時間もフレキシブルにしていくとか副業もOK にしているとかそういう変化が起きてきています。コロナが流行る以前だと、子育てしている女性は時短勤務を希望する方が大半だったんですけど、柔軟にできるんだったらフルタイムで働きたいですっていう方が増えてきたんです。

石黒:はいはいはいわかります、面白いですね。

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上原:これはすごい変化なんですよね。逆に個人の事情によって、例えば育児と介護のダブルケアがあるからリモートワークで時短勤務をしたいっていうことももちろんありますが、自分のキャリアや年収を上げていきたいからとフルタイムを希望される方はすごく増えている気がします。実際に転職して半年、1年ぐらい経ってお子さんがいる女性でマネージャーに昇格しましたっていうお知らせをいただくことが最近立て続けに2,3件あって、この仕事をする上での醍醐味だなと思いますね。

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やまざき:なるほど、女性が就労にかけられる時間にはどれぐらい影響が出ていると思いますか?例えば、一日の中で通勤時間がなくなるだけで自由な時間が1,2時間増える方もいるじゃないですか。リモートになることでどれくらいの方が余裕が捻出されたのかなと。

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上原:人によるとは思いますが、通勤時間ってすごい大きいですよね。都心に住んで通勤は数十分ですっていう形であれば良いんですけど、やっぱりお子さんがいて広い家に住みたいと思うと郊外の方に行って、そうすると通勤には1時間ぐらいかかる方にとっては、往復2時間以上の時間を喪失するので生活に影響は大きいですよね。と同時にそういう方のためにも、フレックス取り入れる会社もすごく増えていて、どういう変化かって言うと、出社している時間=勤務時間じゃなくなってくるんですよね。例えば出社の前に朝ちょっと早めに起きて溜まってるタスクを消化するとか、そういう仕事の仕方でも仕事をしているというカウントがされるようになってきて、時間のコントロールが効くようになった。この時間捻出はかなり人によって大きんじゃないかなって思います。

あともうひとつ副次的な変化としては、男性の働き方も変わってきたんですよ。

■社会の当たり前は、変えられる

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上原:リモートワークでお子さんがいると、家族で食事ができて子どもとお風呂に入れるとか、今まで出社してた男性も自然に育児に参加する形になってくるので、全体の変化が起きてきて、ワーキングマザーの働き方が特例的なものじゃなくなってくるんですよね。これは、すごくフェアな状況に近づいてるなと思っています。

やまざき:フェアって、なんかいいキーワードですね。石黒さんはいかがでしょうか。

石黒:その短時間じゃなくてフルタイムを希望する人が増えている話、言われてみると確かに変わってきていると思いますね。候補者の方に、ご家庭で配慮すべきことはありますかみたいなこと聞いたりって今まではよくあったと思うんですが、パートナーは仕事に理解ありますか?みたいなことを聞くと、それに関しては全然大丈夫ですとお答えになる方が増えているなと感じます。あとは、ライフイベントとキャリアを諦めずどうやって両立するか考える、人事としてどうやって支援するかということに対する事例がどんどん増えていっていると感じますね。

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例えば妊娠しているもしくは、子どもが欲しいんだけど今転職活動していいのかって相談にこられたりする方いるんですよね。でも子どもはいつ授かるか授からないかは分からないし、ずっとそのことで思い悩んでいてもなかなか進まないと思うんですよね。お話しいただくことは勇気がいることだし、人事としては受け止めて一緒に考えていくことを、小さなことかもしれないけど大切にしています。

実際に、ご入社するタイミングで妊娠されている方もいたりして、少し前だと会社によってはあまり見ない事例かもしれないのですが、それが最近は変わってきているなと。そういった社会の当たり前を変えられるポジションだったり会社にいることを誇らしく思うし、自分たちが起こしたアクションが制度になって社会に出て、世の中を変えていくって本当に嬉しいですね。候補者の方も「会社の制度は変わらない」とは思わないで欲しいなと思いますね。入社して、従業員発信で中から変えていくってことを考えている候補者の方も増えているので、声をあげるって大事だってことをたくさんの方に意識してもらいたいですね。

やまざき:Ms.Engineerでも、妊娠中の方からも受講に関する問い合わせは多いですね。0期のスターターコースにも2名ほどいらっしゃいましたし、本当は復帰後にフルタイムで働きたいとか妊娠中でもキャリアップ考えたいっていう声が表面化してきたって、すごくいい流れですよね。子どもがいる人は時短勤務したいんじゃないかって、今までは多分組織側がそう思っていたところがあると思うんですけど、本当は、そうではなくフルタイムで働きたいという意思を持っている人もいますということを、これからはもっと訴えていきたいと思ってます。

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中澤:とは言え、入社1年間は産休取れないみたいな会社も多いじゃないですか。特に少し前は、それが当たり前で。

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私も最近それについて本当に産休取れるのかというような不安の話を伺って、自分で検索してみたら「入社してすぐ産休育休なんて言語道断ですね」と書かれているのを見て、あ、これは転職考えている方は怖いだろうなと思いましたね。スタートアップは柔軟に変化してきていますが、この問題に関するギャップはまだまだ大きいなと思いますね。

やまざき:妊娠中こそ将来のこと考えたりするんですよね。以外と頭の中で考える時間はあったりするので、出産した後のことどうしようか考えるんですよね、みなさん。

中澤:私は、10年前ぐらいに新卒でmixiに入社して、ベンチャーなので比較的柔軟だったと思うんですが、それでも当時ってお子さん産んで復帰する方は半分ぐらいで、後の半分は退職してしまったり転職したりで、復帰しても時短で16時ぐらいには帰ってしかも両立すごい大変そうで辛そうというイメージが強かったんですよね。それに比べると今は自分の周りだと、育休で離職するっていうことはほとんどなくなったかなと思います。転職はありますけど、基本的には女性も出産しても働き続けるということが当たり前になっているのは感じますね。

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ただ一方で、女性の候補者の方とお話しさせていただいたりする時に、子どもがいるのに働かせてもらえてありがたいと言うような思いを持っている方が多くて、こちらからしたら、働いてもらうのは全然当たり前だし、むしろリーダーなりマネージャーを目指していけるポテンシャルがあるような方には目指してもらいたいと思っていて。子どもがいても働くことは当たり前なんだというような意識を誰もがもてる社会になるといいなと思います。

やまざき:ありがとうございます。今のりっちゃさんのお話しも絡めながら、次のテーマにいきたいと思います。

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やまざき:妊娠出産で仕事辞めるという選択肢は少なくなってきていて、私はこれからは共働き前提社会になっていくという風に考えているんですね。

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ただ、それが前提になっても介護や色々なライフイベント、女性も男性もですけど働きざかりの年代は色々なライフイベントが重なってくるのは社会構造上の課題だという風に言われていて、その中でも持続可能な働き方はどういう風に実現していくといいのかなというヒントをいただければと思います。

■資格よりも売り手市場で勝負できるかどうか

中澤:色々あるのですが、まず一つには、自分自身が需要がある売り手になるってことかなと。戦略的にキャリアを考えるとかはよく言いますけど、学生時代はキャリアのことを考えたら手に職とか資格が大事というようなことを言われがちだと思うんですね。でも社会に出てみて思うのは、資格よりもどのマーケットにいるかこそが大事で、そのマーケット中でその職種とか働き手が売り手になっているかということ、しかも今だけじゃなく5年後にもっと売り手市場になってるかどうかみたいなところが非常に大事かなと。それで考えると、ITが絡む市場については、社会がどんどんIT化されていって、IT企業も増えて、大企業もIT人材を求めていてという流れの中で、エンジニアもそうですが、エンジニアに限らずともIT人材ってお得な市場なんじゃないかと思います。

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やまざき:確かに、その売り手市場に行く価値を見逃している人は意外と多いなと思いますね。やりたい仕事や興味がある分野ばかりを見がちですが、売り手市場だということは、仕事がたくさんあるということなので、つまり人が足りないということなので、そういう必要とされている市場にいくっていうのは実は働く上でやりがいにもつながるんですよね。

中澤:さらにさっきの話に少し絡めると、例えば会社のルールで定時は○時だけど、でも自分はどうしてもそれより前に抜けなきゃいけないというような場合も、必要とされる職場であれば交渉可能だと思うんですね。応募条件があるとハードルに感じる方もいると思うんですけど、それって交渉可能なものだと思うし、じゃあどうやってその条件を崩していけるかって言ったら、まずは売り手市場であることだと思うんですよね。キャリアの途中で離れたりとかブランクがあったりしても仕事をし続けるには結構マーケット感覚と言うか売り手市場ってどこだろうって考えるのが結局一番大事なのかもなぁと思ってます。

■パートナーシップでフェアにしていく

上原:売り手市場にって言うのは本当におっしゃる通りで、需要があるスキルで自分の経験値をいかに増やしていくかっていうのは非常に大きなポイントだなと思っています。あともう一つ別の観点で考えると、パートナーシップ、つまり夫婦間での関係性やあり方を考えるというのも、すごく大事かなと思っています。それが見直されてきているので、最近ですと残業できますよっていう女性の方も増えてきてるんですよね。

石黒:わかります。パートナーと週2と週3で分けてる方とかいますね。

上原:そうですそうです。私の夫は在宅でエンジニアやってるので私は全然出社で働けます!みたいな方とかもいて、そういう新しい流れができるのは良いと思うんですよね。一方で、家庭内でそういった分担の話をしたことがない人とか自分がやらなきゃって思っている女性ってまだすごく多いと思うんですね。そこはもっとフェアにしていく余地があると思います。

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夫婦間もそうだし、そもそも家事をアウトソーシングするっていうのも一つの手だと思うので。我が家は僕が料理当番なんですけど最近「つくりおき. jp」っていう毎週作り置きのお惣菜が届くサービスを使い初めて、僕が料理から解放されて仕事する時間が増えたという変化があったり、積極的に家庭で色々試せるといいですね。

やまざき:私、ワンオペが限界って言われてるけどツーオペも限界なんじゃないかっていう内容のnoteを書いたことがあって、だいぶ前なんですけど、いまだに読まれてるんですよね。そう思っている人は多いはずなので、やっぱりもっとアウトソーシングできる所はしたらいいと思っています。上原さんのご家庭では、どうやって分担の基準を決められてるんですか?

上原:うちは丁寧に話し合ったタイプではないんですよ。友人のご夫婦ですとスプレッドシートに夫婦のポイントを振り分けていかにフェアになるかっていうのを作りましたという話もあるんですけど、我が家は自分から得意なものは積極的に仕事を取りに行って苦手なものは相手にお願いするというような形ですね。例えば子どもに宿題教えるのは私はすごく苦手なので、妻にお願いしてますね。この間長女にがんばって宿題を教えようとしたらお父さんの教え方意味わからないからお母さんに変わって欲しいと言われて、すごい落ち込みました(笑)。やっぱり日々アップデートしていくべきだと思ってるので、ちょっとごめん勉強教えるのは苦手だわって妻に相談して、常に新しい状態にしています。

■受け入れることで変える一歩を

やまざき:なんかいいですね、お互いに得意なところをばっちりすりあわせていく方法。石黒さんは、二つ目の質問、女性がサステナブルに働くにはどうしたらいいか、いかがでしょうか。

石黒さん:中澤さんの話も上原さんの話も両方すごく共感できますね。あと僕は、これは男性側がポイントだなと思っていて、さっきのつくりおき.jp使うみたいな話とか、上原さんのご家庭では男性側から使おうってなってますが、例えばね奥様側がアウトソース使いたいとなった時に、旦那さんの方がそれはちょっと...みたいになったらそれで止まっちゃうじゃないですか。そうじゃなくて、いいんじゃない〜使ってみたら〜とか、うん、やってみようよ〜みたいなまずは受け入れる雰囲気をいかに作れるかなんじゃないかなと思っています。家庭内もそうだし、会社も然りですね。

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例えば、チームメンバーから働き方について相談を受けた時に、いいよじゃあうちのチームはMTGの時間変えようかとか、柔軟にできたらいいですよね。ずっと日本古来の働き方を考えている管理職の方だと相談自体が突然だなと思われるかもしれないですが、まずは提案を受け入れてみる気持ちや雰囲気作りは、会社で意思決定をする層がすぐにできることで、変えていく一歩目になるんじゃないかと思います。

あと、書く力は大事かなと。さっきやまざきさんのnoteの話が出ましたけど、ちゃんと書いておくと、自分がこういう人でこういう考え方をしているというのをしっかり外に伝えられるので、サステナブルに働いていく助けになるんじゃないかなと思います。

やまざき:発信って大事ですよね。対立構造を作るのではなく、自分のスタンスをまず表明しておくという意味で。

■男性の意識改革も大変…コツはある!?

やまざき:これは、皆さんに伺いたいんですが、こういう女性の働き方の話をすると男性側の意識も変えるべきだみたいな話が絶対に出てくるんですけれども。世の中の人みんながみんな上原さんや石黒さんみたいな考え方じゃないと思うんですね。私も若い時と比べて今求められるジェンダーロールって変化しているなと実感していますし、男性側も意識改革が結構大変なんじゃないかなと思います。お父さんみたいになりたかったのにどうやらなれないぞ今の時代、とか。男性側の意識改革のコツみたいなことは何かありますか?

石黒:これは難しい質問ですね。私は新卒で入った会社では女性の管理職の方とか見たことなくて、1万人規模の会社でもみたことないそういう時代でそういう世界を経験してきたんですね。

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でも転職して、たまたまメルカリとかLayerXとかのIT業界に身を置くことになって、逆にそういう理解がない男性はダサいみたいになったんですよ。それはよかったなと思うし、この感覚はこの先どこにいってもずっと持ち続けないと、と思ってますね。ダサいことしないようにしようと意識しつつ、できているかきちんとフィードバックをくれる人と付き合うことを心がけてますね。

サイバーエージェントさんのエフ休とかmacalonとか、当時はなんだ?なんだ?おしゃれな言い方するなって思ったんですよ。

中澤:当時は画期的でしたよね。生理休暇をエフ休と言おうとか。

石黒:そうなんですよ。でもふーんで終わらないで、なんでこんなことが始まるんだろうとか、これがこの後どうなるのかなって頭の中でシミュレーションするというか、うちの会社だとどうなるかなって身近に置き換えて考えていくことって大事だなと思いますね。

■女性が働きやすい社会は「みんな」にとっても働きやすい社会であるはず

中澤:ダイバーシティを考えているといつも思うことがあって、女性が働きやすい社会にしたい、と訴えていると、女性だけを優遇するのはなぜ?と言われることもあります。だけど、女性が働きやすい社会は男性にとっても働きやすい社会であるはずだし、男女関係なくみんなが働きやすい社会であるはずなんですよ。にも関わらず、女性ばかり優遇されてるように見えてしまうっていうのはすごく問題だと思うし、逆のパターンもあるんじゃないかなと。例えば男性からキャリア相談を受けていると、ベンチャーに転職しようとしたら妻の親からそんないい企業にいるのになんで辞めるんだって許してもらえなくて、めちゃめちゃ大変だったという話があったり。それは男性ジェンダーロールだなと思いますし、収入高くなきゃいけないとか、簡単に仕事辞められないとか、男性は男性でハードルがあるんだなって思いますね。

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なので、人事側(企業側)としてメッセージをつくる時に、女性だけが働きやすいのではなく、全ての人に働きやすい会社にするためにとか、多様な事情がある人に対応できるようにしましょうというメッセージになるようにしています。

やまざき:そうですよね、女性だけの問題じゃないですもんね。みんなにいいことがあるんだよってもっと伝えていくっていうのは確かに大事ですね。10Xさんって10Xベネフィットってやってらっしゃいますよね?冒頭に30人ぐらいの会社っておっしゃてましたけど、その規模の企業でライフイベントとともに働けるように寄り添っていてすごいなと。こういう取り組みが組織にとってはリスクとして考えられることもあるんじゃないかなと思うのですが、その辺りは(組織の)中の方はどう考えてらっしゃるんですか?

■意思決定層や男性の育休でもたらされること

中澤:社内的には、社長の矢本自身も育休を2回とったり、ものすごい家庭にコミットしてるタイプなので、社内で議論して作ったというよりは、もともとそれぞれが持っていた考えを明文化した感じですね。

休みやすい環境を作るリスクについての考え方って、会社がリターンを得る時間軸をどれくらいで考えるかということだと思っています。例えば、短期で考えると、3ヶ月休むメンバーがいたらその間一時的にはそのチームは大変になりますけど、もっと長期で2年とか10年とかの単位でそのメンバーがもたらす価値を最大化したいと考えると、3ヶ月いないことって関係ないんですよね。長期でそのメンバーの価値や成果の最大化ができていれば。むしろ休暇を取れないから才能のある人が入社できない方が、よっぽど会社にとってリスクだと思って社内では入社してすぐ育休とっても全然いいよねというスタンスですし、制度もそう設計されています。

やまざき:経営陣に共働きの方がいるかっていうのは、社員の働きやすさに直結するなって思いますね。

石黒:男性の意識改革について今の会社で思うのは、男性で育休をとる社員が過半数以上になると、もう意識がガラッと変わる感じがしますね。

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上原:弊社のクライアントでは男性の育休取得100%の企業もあって、そういう会社には、本当に色々な人材が集まっていてすごいなって感じますね。企業にとっても採用競争力を上げる面でも、そういう制度を整えたり色々な事例を生み出していくっていうのがすごく効いてくる時代になってますよね。

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やまざき:そういう柔軟な対応やダイバーシティを進めたことで、より会社にいいことがあったなどの変化を数値化した、みんなが納得する客観的なデータがそろそろ出てきそうですよね。

石黒:LayerX代表の福島も9月に育休1回目をとって復帰した時に絶対みんなもとった方がいいよって言ってたんですが、中でも従業員の反応が興味深くて、Twitterが柔らかくなりましたねって言われていて。プライベートに関してランとかジムのワードに”ミルクタイム”とかが入ってきて、すごい!って話になっていて影響力を感じましたね。

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中澤:確かに、弊社も、採用候補者の方に育児しやすそうな会社ですねって共感してもらえることが多いですね。

上原:男性の採用候補者の方にも、そういうニーズはあるかもしれないですね。男性こそ、こういった話って相談しづらかったり聞きしづらいですよね。僕いつも思うのは皆、自分の性別に対して強いアンコンシャス・バイアス持っているんですよね。女性なのに家事してないとか、男なのに育休とるとか、男なのにこんな話していいのとか、みんな思っちゃってるんですよね。だからそれを逆に経営側が革新的なアクションをとっていくことで、ここならそういう話できるんだって心理的安全性を抱くことができるんだろうなぁって思いますね。

やまざき:ありがとうございます。では、最後のテーマです。

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やまざき:私は、女性がエンジニアになるというのは、やはりリモートワークが凄く浸透している仕事だということと、あとは本当に売り手市場であるっていう事がこの先も確定しているっていう点でおすすめだなと思っています。しかもIT業界の人材不足が叫ばれているにも関わらず、女性は非正規雇用が多くてすごい雇用環境が悪くなっているということは、人材流動のねじれだと思ってるんですね。これからどんどんここに女性の人材を送り込むことで、社会全体にめちゃくちゃいいことが起こると思うんです。デジタル社会、IT業界はますます伸びていく業界なので、女性の働きやすさっていう点でもエンジニアの育成にもっと貢献するべきじゃないかなと思ってるんですね。

■学びは何歳からでも大切、だからこそ改革も

石黒:そうですね、社会的にどんどん、どんどん、増やさなきゃならないですよね。って言ってもイメージ湧きにくいかもしれないのですが、メルカリの山田進太郎さんが作っている山田進太郎D&I財団、すごくいいなと思っていて、中学、高校、大学から仕組みを変えなきゃならないなと思っているんですね。私もメルカリに勤めていた時代に新卒採用やっていて、大学のコンピュータサイエンスの男女比率がアンバランスなのは知っていたので、そうところから変わるといいなと思ってますね。

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女性エンジニアが増えたらなんでいいかって、時間とか場所を問わずに働ける職種だからっていうのは一つそうだと思いますし、あともう一つは、中澤さんがおっしゃてた売り手市場だって話ですよね。これからどんどん一般的な職種になっていってチームを作るだとか、マネジメントをするといった中で、心理的安全性が高いチームにするにはジェンダーの多様性はあったほうが絶対いいなと思います。

あとはキャリアの話を別のセッションで聞いた時に、リスキリングというワードを聞いて、そういう観点で言ってもこれから70歳まで働くような時代になるなら、社会において新しい仕事をできるようになるために、学びはいつから初めても遅くないですし、女性エンジニアに転身した方を大いに歓迎したいなと思っています。

■女性は下駄をはかされている??

やまざき:りっちゃさん、いかがですか?

中澤:私、今回、女性がエンジニアになることについての良い点を三つ考えたんですが、まず一つ目は先ほども言った通り、とにかく売り手市場ということ。あと二つ目に、営業職など顧客のペースにあわせる必要がある仕事にくらべて、自分のペースで仕事をしやすいという良さはあげられるんじゃないかと思いました。この二つはこれまでにお話が出たので三つ目について話すと、今、女性がエンジニアになる事へのサポートを行う会社や制度ってかなり増えてきているんですね。このやまざきさんが立ち上げられたMs.Engineerもそうですし、先ほど話に出た山田進太郎さんの財団の奨学金だったり、他にも女性のエンジニアを採用したいという声はよく聞きますし、色々な面で優遇されていくと思います。

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こういうことを言うと、もしかしたらポジティブに思わない方もいるかもしれないんですが、私個人的には、優遇されていたり社会に求められていることはどんどん使った方がいいと思ってます。

私の体験談をご紹介すると、最初の会社を辞めてYelpに入る前の25歳ぐらいの時に3ヶ月ほどサンフランシスコでぶらぶらしてたことがあるんですね。次の仕事は何しようかなって、サンフランシスコでシェアハウスに滞在しながら考えていて。サンフランシスコにはプログラミングスクールとか色々あって、もしもこの次の会社が決まらなかったらプログラミングの勉強しようかなとも思ったんですよね。現地のプログラミングスクールって女性だと学費が無料とか半分とかで通えるところが多かったんです。入学しませんか?みたいなメールもバンバンくるし、向こうの企業はダイバーシティを進めたくても、マーケットの中で女性のエンジニアが少ないからダイバーシティが進まない、だから費用とかも支援して女性エンジニアを増やしたいという状況にあるからなんですよね。サンフランシスコはテックとそれ以外のお給料の格差が激しいので、カフェでバイトしてるスタッフの中でも、今のプログラミングの勉強してるんだよねという人も多くて、女性も当たり前に勉強して転職したりしてたんですよ。なので、そうやって使えるものは使った方がいいなと思います。

やまざき:そうですよね、マイノリティだからこそ回ってくるチャンスって意外とあったり、チャンスを生かすというかね。

中澤:よく「女性に下駄を履かせるのか」と言ったりしますが、むしろ男性が自然に下駄を履いている環境の中、女性は裸足だったんだよと。そんな中、多少下駄を履くぐらい、全く気にしなくていいし、チャンスはどんどん使って前進する方が社会にとっていいと思ってるんです。

下駄を履かせるっていうと、よくあるのが、背が低い人に踏み台をあげましょうみたい例があると思うのですが、私は、環境が違うところに置かれた植物で考えるんです。一つはすごい陽のあたる環境で栄養もらってすくすく育ってきた、もう一つは日陰でたまにしか水ももらえなくて、たまに踏み潰されたりしてそれでもなんか頑張ってきたという感覚で考えていて、だったら後者は優遇されて栄養もらっても全然いいんじゃないかと思って。

女性エンジニアを採用したいと思ってる会社っていっぱいあるので、なんか女性だからって悪いかなとか思うかもしれないんですけど、まずはそういうところからチャンスを掴んで頑張ると、次のキャリアも拓けていくんじゃないかなと思っています。

■エンジニアリングの応用力で人生を切り拓く

上原:私も、男性がこれまで下駄を履いてきたと言う気持ちですね。先日、石黒さん、中澤さんもよく知ってるメルカリHRの岩田さんとお話しして、今の社会は男性を前提とした働き方とか制度が多いので、その状況に女性が合わせると言うよりは、その環境自体をフェアにしていかないといけないですねという話になったんですよね。女性が下駄を履くと言うより、男性が下駄を脱ぐと言う感覚でいると良いのかなと思います。

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と言うのと、女性がエンジニアを目指すと言う点は、お二人もおっしゃていたようにすごく良いと思っています。エンジニアリングのスキルは非常に応用が効くと思うんですよね。例えば、営業の方がプログラミングのスキルを身につけることによって、今までとは違った角度から提案ができるようになるんですよね。

実際、最近しばらく正社員から離れていてお子さんがいる女性の方が転職したいということで支援をしていてたのですが、その方は1社目でエンジニアだったんですが、採用業務のオペレーションを効率化していくところでエンジニアとしてのスキルを生かされて正社員でご入社することが決まりました。応用を効かせることができると可能性が広がるというところも、プログラミングを学ぶメリットだなと思います。

■リモート、リファラル、そして怖がらなければ大丈夫

やまざき:はい、ありがとうございます。残り時間がわずかなので、最後に視聴者の方から頂いたこちらの質問にお答えいただきたいと思います。


質問:どうしても仕事を中断しなければならない場合は、キャリアはどのように考えればいいですか?


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上原:離職期間が生まれるということですよね。そうですね、やはりパートナーの転勤で仕事を離れなければならないという方はすごく多いので、それが将来的に起きることを予測できる場合は、フルリモートでも価値を出しやすいスキルを身につけるとか、業務委託でリモートで仕事をしながらスキルを増やしていくといった、人生の波を、先を見越して準備していくのが一つの手かなと思いますね。

中澤:履歴書で判断されると、今の日本だと離職してしまうとやはりハードルが高いので、昔の職場のリファラルが効いてくるんじゃないかと思います。パートナーの駐在で離職して帰国して、昔一緒に働いていた人の元でアシスタントとして採用されて、すごく活躍して正社員登用されて働くというようなことは、知り合いでもありましたね。

売り手市場ということに加えて、人的ネットワークを作っておくとキャリアが持続して守られる可能性が高いかなと。最近だとYOUTRUSTとかで、副業とか、リモートで週○時間〜みたいなお仕事も見つけやすくなってきているなと思うので、それで頑張って活躍できれば正社員転換も拓けるんじゃないかなと。

石黒さん:全然別観点なんですけど、僕、そんなに気にする必要ないんじゃないかなと思うんですよね。育休とか介護とか、男性でも起こりうることなんですよ。男性でも、女性でも、社長でも、人生何が起こるか分からないから離職を怖がることはないかなと。その時がきたら他の人より先に向き合ったと思えば良いんです。そうすれば気が楽になるかなと。

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やまざき:なるほど。色々な捉え方があって、すごく面白いですね。まだまだ、お話をお伺いしたいのですが、あっという間でしたがそろそろお時間となってしまいました。

上原さん、石黒さん、りっちゃさん、本日は朝からありがとうございました!

やまざき・上原・石黒・中澤:みなさん、行ってらっしゃーい!

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あえて女性のみの学習環境であることで、女性ならではのライフスタイルに寄り添った学びやすさやサポート体制を提供します。

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仕事や学校を続けながら受けられる4週間の初心者コースを、女性だけのクラス、全てオンラインの授業で受けることができます。

ご興味ある方、または受講ご検討の方には、無料カウンセリングを承っています。お気軽にHPからお申し込みください。↓


この記事は、2021年10月12日(火)に実施したオンラインイベント
Ms.Engineer SUMMIT#4 の内容をもとに編集しました。
ゲスト:上原 達也さん(XTalent株式会社 代表取締役)、中澤 理香(りっちゃ)さん(株式会社10X 取締役CCO)、石黒 卓弥さん(株式会社LayerX 執行役員)
モデレーター:Ms.Engineer代表 やまざきひとみ
記事編集:yuri yamagishi