ホームポジションはフロア後方

アイドルオタクになりたての数年前、お台場のガンダム前広場でとあるグループのリリイベに参加したとき知り合いのオタクからこんな話をされた。「整番が中途半端な番号なら後ろの方で遊んでた方が楽しいよ。」

なんてことの無い一言である。その言葉にならって僕は後方のゾーンで参加することにした。コロナなんてない時代、整番のいいものから順番に前が密になっていく。前方半分くらいはそれなりに密になっているが後方は個人個人にかなり広々としたスペースが与えられるくらいには空いていた。

イベントが始まると後方のオタク達は好き勝手に推しジャンしたり振りコピしたりサークル作ってMIX打ったりしていた。なるほど確かに自由に遊べて楽しいなと思った。当時見に行っていたそのグループは指定席のホールのライブが多くなってきており自由に遊べるライブハウスでのイベントが少なくなってきたこともありそういう後方で遊ぶ傾向が強くなったのかもしれないと今になって思う。

その後、いわゆる地下アイドルと呼ばれるライブハウスがメインのイベントスペースであるアイドルのオタクになったのだが、自由に遊ぶならフロア後方でというのがマナーみたいなグループにいくつか出会ったのでアイドルオタクの共通の文化みたいなもんかなと思っていた。

しかし、ある頃から前方で好き勝手やるのオタク散見される現場にも出会う様になった。だいたいは最前管理が大量にいる様な現場だったから(あっ、察し…)となるんだけど、そうじゃない場合もある。コロナの影響で現場の遊び方が変わってしまって今まで現場にも来なかったタイプの人が逆に来やすくなってしまった場合や、対バンしなかったとこと組み合わされたりした等のときにも有り得るっぽい。異文化の流入なのだろうか。

ピンチケ行為って、言葉の意味からするに「マナーや文脈が分からないで来てしまった若者による厄介行為」らしいから「知らないのは悪」と糾弾することはさすがにいかがなものかと思うけど、「空気読めよ」「察しろよ」みたいなのも難しいし、「わかった上でやってる(それがカッコイイ行為だと思ってる?)」場合も有るだろうからツッコミづらいしレギュレーションとして明確に禁止されてない行為(例えば、最前でのクソダサい柵ジャン)は尚更だ。

個人的にはライブ中の他のオタクの存在って飲み会にいる他の酔っ払いと同じだと思ってる。自分が酔うよりも先にもっと酔っ払ってる人を見ると酔いが醒めるみたいな感じで、自分が酔っ払ってしまえば他の酔っ払いの事など気にならないしむしろ酔っ払って笑えてくるし、俺もやるか!みたいに思えてくるので不思議である。

対バンはイベントによってはオタクのノリが合わなくて居酒屋でたまたま居合わせた別の席の酔い方が気に食わないとかの感じに近い気がするけど入ってしまったら仕方ないとなるけど、あまりにも酷いとあの店の客は暴れるから行くのやめよみたいな感じで他のグループ居るから行かないとなるのでほんとに残念である。

コロナ禍になってから人が通常より密な環境にストレスを感じるようになってしまって(元より感じてたかもしれないが、それよりも楽しいが勝ってた可能性も有る)、後方の広々した空間がホームポジションとなってしまったので再び後方でピンチケ行為に勤しむようになって(←勤しむな)、自由に踊れるし、飛べるし、サイリウム振り回しても人に当たらないしあらためてフロア後方が楽しいと認識した。そのせいではないけど、撮ってるライブ写真まで引きでグループ全体が映る写真が多くなったし、下がれるだけ下がって撮ってることもある。

まぁ、結局後方じゃなくても人が少ないスペース有ると楽しいという話に落ち着くかもなんですが人に迷惑かけないで、かつ他人を気にせず遊べる方が楽しいよねという話。

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