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レッドカードが日本を救ったコロンビア戦1

スペインのMarca紙では、コロンビアが日本の前で切腹と書かれたこの試合。
試合時間3分、コロンビアのカルロス・サンチェスが1発レッドカードで退場。決定的なチャンスをハンドで阻止したことで、レッドカードで退場となり、日本は香川がPKを決めて先制した。
香川がPKを決められた一つの大きな要因は、助走をペナルティーエリアのライン付近まで取っていたこと。絶対とは言わないが、キックに合わせて反応するGKが相手の場合、助走の距離が短ければ短いほど、GKはシュートに反応できる。そして多くのPK失敗が、この助走の距離と関係しているので、ワールドカップでPKの助走に注目するのも面白いかもしれない。

日本は香川がPKを決めたため、先制点を決めただけでなく、一人多いという大きなアドバンテージを得た。
しかし日本はこの早い時間帯で相手が退場し、先制するということを想定していなかったと思う。全ての状況を想定し、時間帯、スコア、人数などによるゲームプランを持っているのは、世界のフットボールにおいて常識だ。そしてそれは育成年代から行われていることでもある。私の住むスペインでは、退場者が出た場合における準備は当たり前のことであり、そこに試合の時間帯、スコアが要素としてプラスされる。練習の試合で、敢えて対戦相手の人数を多くするなど、当たり前の準備である。

日本は先制点を決めた後、やってはいけないフットボールの試合展開を見せてしまう。一人少ない相手に対し、リードしているにも関わらず、人数を掛けて攻撃を仕掛けていたのだ。攻撃においてGKとDFを使って相手を走らせようとせず、SBは高い位置へ行くことで、守備ブロックを固めた相手に対して、カウンターの餌食となるボールロストを繰り返した。コロンビアが熱くなり、冷静さを欠いていたため、ゴールこそ奪われなかったが、相手の体力がある時間帯、相手が日本ゴールを見た状態でボールロストを繰り返すのは、まさに腹切り状態だった。DFラインでボールを繋ぎ、相手陣地になど入る必要はなかった。ファルカオを走らせなかったことにより、何度も彼のプレーで苦しめられたが、日本が修正するには多くの時間が必要とされた。

そしてコロンビアの同点ゴールもセットプレーから生まれたが、それはFKだった。長谷部がファルカオにファールをしたようには見えなかったが、そのファールとなる状況を引き出したのが、長友と他の選手たちのコミュニケーション不足によるミスであり、その流れでハイボールの競り合いが生じた。小学生並みのミスと言えるかもしれないが、試合の流れを変えるミスは、そういう小さなミスと思えるようなものであり、それが大きな影響を与える。このFKにおいて左効きのキンテーロが、一人キッカーとして立つ。まずは直接シュートを考えるだろうが、日本は壁の下をシュートが通過することを考えていなかった。だから川島の反応は遅れており、日本の壁はジャンプしている。ジャンプすること自体が悪いことではない。だが、直接ゴールが狙える距離なら、下を通過することも考え、壁の後ろに一人選手を配置し、グラウンダーのボールに対応させるべきだった。一人多い状況も含め、できない選択肢ではなく、選択肢として考えられていなかった。さらに前半終了前にゴールを決められたのは、日本にしてみれば最悪な前半の終え方となった。

後半、日本はゴールを奪いに行ったが、前半との違いとして、少しはDFラインでボールを持つような意識があり、相手の中盤ラインの前で時間を使うこともあった。とにかくじっくり攻撃を繰り返すしかなかったが、もっともっとボールを左右に動かしてから、縦にボールを入れるべきだ。それぐらいのしつこさがないと、コロンビアのDFは縦に入ったときに激しいプレスをかけることができた。そして日本が継続して抱えた問題は、相手が日本のゴールを向いてボール奪取するという状況だった。スペインのリーグ戦の試合などでは、相手のDFラインにボールが出るが、味方が追いつかなかったり、サイドで強引に縦突破する場面が良く見られるが、そうすることで相手のDFラインが次に下がる可能性があり、それからの展開に繋がる、そして何よりカウンターを避けることができるのだ。そして何よりシュートを打てなかったのは、一人多い状態での大きな問題だ。決める、決めないではなく、ゴール正面、エリアすぐ外の場面でも、シュートを打てなかった。コロンビアが最も怖いのはシュートを打たれることだった。精神的プレッシャーをかける意味でも、よりシュートを打つべきだった。

そんな日本の追加点は、70分に香川と本田が交代し、その後73分に訪れた。本田が左サイドからCKを蹴ったが、そのボールは鋭く、GKがボールに届かない形で大迫へ、大迫がそれをしっかりと決めた。

再びリードした日本だったが、日本は試合の終え方を知らないため、そこからさらに苦しんだ。SBは上がり、ダブルボランチの山口も攻撃に参加する場面があった。攻撃は大迫(岡崎)、本田、原口、乾に任せておくべきで、他の選手たちはスペースを与えるべきではなかった。さらにボールロストの方法も改善されず、相手に前を向かれてボールを奪われていた。ボールを後方で回すべきだったし、いきなり自陣の半分までボールを進めるべきではなかった。コロンビアは後半、ハメス・ロドリゲスとバッカの攻撃力のあるトップレベルの選手たちを投入した。確かに前向きにプレスのできる選手たちだが、彼らを走らせ、相手の陣形を分離しながら、時間を使うべきだった。陣形後方でボールを回し、パスコースがなくなるまで続ける。パスコースがなくなれば、相手のサイド深く、コーナーフラッグめがけてボールを蹴り、ラインを上げる。そうして時間を使い、岡崎、もしくは本田、そして乾、原口のどちらかサイドにいる方がプレスに行き、他の選手たちはカウンター、セカンドボールに備えるべきだった。
試合の終え方をミスして、同点に追いつかれるケースはいくらでもあるが、日本はこのミスを繰り返してはいけない。

この試合、全てのゴールがセットプレーから生まれているが、やはり現代フットボールにおいてセットプレーは試合の結果を左右するものとなっている。

試合前の1−1という予想は外れたか。

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