古典の文法の話5 頻出事項は概ねこれでおしまいです。
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こんばんは、しめじです。
さて、1か月半ほどかけて、古典文法の話をしてきました。
動詞の活用の話からはじまり、形容詞、形容動詞、そして定番の助動詞。
助動詞自体はまだまだありますが、どんな文章にも最低一回は出てくるような、そういう定番はこれで全部です。
というわけで、ここまでの学習が済むと、どれくらい文法的に理解しながら読めるのか、についてお話していこうと思います。
三週間ほど前、用言の活用の話がすべて終わったところで出した練習問題の記事です。
「枕草子」や「徒然草」から出題したんですが、ちょっと改めて見てみましょう。
人に遅れて、四十九日の仏事に、ある聖(ひじり=僧侶)を請じはべりしに、説法いみじくして、皆人涙を流しけり。
(人に先立たれてしまい、その四十九日の法事のため、ある僧を招きましたところ、その僧の説法が大変すばらしいもので、参席した人皆、涙を流した)
(徒然草 百二十五段)
人は、己をつづまやかにし、おごりを退けて、財(たから)を持たず、世をむさぼらざらんぞ、いみじかるべき。昔より、賢き人の富めるは稀なり。
(人は、質素簡潔にして、おごりたかぶる気持ちを退けて、財産を持たず、世間での評判や名声をむやみに欲しがらないようにすることが、すばらしいことである。昔から、賢明な人が裕福であるということは稀(まれ)である。)
(徒然草 十八段)
三月三日は、うらうらとのどかに照りたる。桃の花の今咲きはじむる。柳などをかしきこそさらなれ、それもまだまゆにこもりたるはをかし。ひろごりたるはうたてぞ見ゆる。
(三月三日は、うらうらとのどかな日差しである。桃の花がちょうど咲きはじめるのが趣深くて良い。柳などが風情があるのは言うまでもないが、それがまだ繭(まゆ)にこもっているようなのも風情があってよい。広がってしまったものは鬱陶しく見えて好ましくない)
(枕草子 四段)
の三つでした。
以前、用言の活用の練習問題の時は、この中のいくつかの用言を太字にして出題したのですが、今回は、今までにお話ししてきた助動詞をすべて太字にしてみようと思います。
人に遅れて、四十九日の仏事に、ある聖(ひじり=僧侶)を請じはべりしに、説法いみじくして、皆人涙を流しけり。(徒然草 百二十五段)
人は、己をつづまやかにし、おごりを退けて、財(たから)を持たず、世をむさぼらざらんぞ、いみじかるべき。昔より、賢き人の富めるは稀なり。(徒然草 十八段)
三月三日は、うらうらとのどかに照りたる。桃の花の今咲きはじむる。柳などをかしきこそさらなれ、それもまだまゆにこもりたるはをかし。ひろごりたるはうたてぞ見ゆる。(枕草子 四段)
という感じです。
ちなみに、この三つには、私がまだ話していない助動詞は出てきていません。
確かにある程度は分かっていて抜き出してきてはいますが、大げさでもなんでもなく、ここまで話してきた以外の助動詞は出現頻度が一気に下がります。
したがって、「基本的な文全体の内容を理解する」ということにおいては、最低限これくらいまでの知識を身に着けておけば文法面については事足りるということです。
ちなみに、用言なども含めて、ここまでに記事にしてきたものをすべて太字にすると、
人に遅れて、四十九日の仏事に、ある聖(ひじり=僧侶)を請じはべりしに、説法いみじくして、皆人涙を流しけり。(徒然草 百二十五段)
人は、己をつづまやかにし、おごりを退けて、財(たから)を持たず、世をむさぼらざらんぞ、いみじかるべき。昔より、賢き人の富めるは稀なり。(徒然草 十八段)
三月三日は、うらうらとのどかに照りたる。桃の花の今咲きはじむる。柳などをかしきこそさらなれ、それもまだまゆにこもりたるはをかし。ひろごりたるはうたてぞ見ゆる。(枕草子 四段)
となります。
あとは殆ど名詞と助詞(「てにをは」など)、ちょこっと副詞となります。
ちなみに、高校一年生の授業だと大体用言+定番の助動詞を一学期中に学習しきるくらいのペースが多いかなと思います。
二学期以降は助詞や敬語、識別が入ってくるので、その前に頻出事項を終わらせるような順序ですね。
ですから、あとはトレーニングあるのみです。
活用表や接続などを思い出しながら、意味が分からない単語は辞書や注釈を見ながら、読んで、問題を解いてを繰り返してください。
あと、特に高校生の方に一つ補足することがあるのですが、確かにここまでにお話ししてきた内容が頻出事項、定番の内容です。それ以外の助動詞は、登場回数があまり多くありません。
ただ、登場回数が多くない=重要ではない、おぼえなくても問題ない、ではありません。
むしろ、登場回数の多くない、つまりは比較的特殊な意味や訳を持つ助動詞ほど、問題では狙われます。過去の「けり」を「た」と訳せるかどうかなんて、わざわざそれを狙って問題にしたりしません。
ですので、残りの助動詞も、ぜひお手持ちの参考書などを見て勉強していってくださいね。
では、今夜はこの辺で。
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