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ホップ、ステエエエエエエエエエエエエエップ、ジャーンプ。

こんばんは、しめじです。

共通テストまでいよいよ一ヶ月ほどとなって来て、流石になかなか勉強に気乗りしていなかった生徒も、周りに流されて勉強するようになってきました。

秋からペースを作ってきた子たちは、いい意味で淡々と、昨日も今日も(多分明日も)同じスケジュールで過ごしています。
職員室前の自習用長机も、誰がどこに座るのか、ほとんど固定化されてきていたり、誰がどこの教室にいるのかほとんど把握できるくらいになってきました。

今日、私のクラスの生徒の面接練習を受け持ってくれている先生から、「大溝さん、〇〇ってまだ学校にいる?」と聞かれたので、「多分5組の教室にいます」と返したら、やっぱり「ちゃんと」5組の教室にいたそうです。

さて、という感じでいよいよ大詰めという空気ですが、一方で増える相談があります。

「最近点数が上がらなくなってきたんです」

この相談が、結構多い。
演習が本格的になってきて、ほぼ毎日のように繰り返す中で、「頑張って毎日復習しているんだけど、それが点数に結びついている気がしない」ということなのだそうです。

それについて、ちょっと私が思うところを話しておこうと思います。
もしも、同じように悩んでいたり、焦っていたりする人の助けになれば幸いです。

基礎が身についたら、いったん上昇は止まる。

このケースが一番多いように思います。

以前も書いた気がしますが、大学入試って要は高1、2で習ったことがもう一回出るんです。
理科や社会の一部の科目は、3年生の秋の終わりのギリギリまで教科書を進めることもあるかと思いますが、英、数、国はほぼ復習になっていたと思います。

でも、高校1、2年生のときにならったことって、全部覚えていますか?

覚えていないですよね。
覚えていたら多分東大楽勝です。

だから、3年生の秋になって、本格的に受験勉強を開始すると、割とぐんぐん結果が出るんです。
一度は定期試験のために勉強したけど、その後忘れてしまったことを思い出して定着させていくので、それがそのまま点数に出ます。

でも、ある程度身につけ直すと、そこで上昇はストップです。
そこから、やや難しい問題に応用できるようになるまでは、またちょっと練習の期間が必要です。

例えばスポーツで考えてみます。

高校で、バスケットボール部に入ったとします。
中学までは別の部活をやっていたので、いわゆる「初心者スタート」です。
1年生の初め、いろんな練習をします。

パス、ドリブル、シュート、リバウンド、ガード、いろんな動きを覚えていきます。
どんどん、できることが増えていって、多分すごく楽しい時期です。
練習が終わるたびに、今日一日で明らかに「今日はこれができるようになった」というものがありますからね。

一通りの動きが身につきました。
頭であれこれ忙しく考えなくても、概ねバスケットボールっぽい動きが取れるようになってきました。

さて、この時点で、「地域の強豪校」相手の試合にレギュラーで出て、勝てますか?
勝てませんよね。

勝とうと思ったら、例えば筋力をさらにつけるべく筋トレに励んだり、持久力をつけるために自主的にランニングを増やしたり、戦術指南の本を読んで勉強したり、より精度を高めるためにひたすら反復練習に打ち込んだり、練習試合に参加して場数を踏んだり。そういった努力を重ねて、初めて勝てるようになります。

ですが、この間、多分「新しく〇〇ができるようになった実感」は乏しい。
一日ランニングをしただけで、「お、スタミナついたぞ」とか思わないわけです。
一回練習試合に参加したくらいで、「臨機応変さがましたぞ」とはならないわけです。
ドラクエやポケモンみたいに、ディジタルに数値化された能力はわれわれには本来ありません。(試験の点数も、表面的なものを便宜的に区切っただけ)
ほとんどが、隠れステータスです。

話を戻すと、勉強も一緒だと思います。
基本的なことができるようになってから、入試みたいな強敵に立ち向かうには、多少の「距離」が存在します。

自分は今、そこにいるんだ。
伸びなくなったということは、基礎が身についてきたんだ、と思うことにしてみてはどうでしょうか。

残念ながら、そこから抜け出すのが入試本番に間に合うのか間に合わないのかは人それぞれですし、そして誰にも(本人にすら)わかりません。

ただ、間違いなく、だからといって止めたら絶対抜け出せません。
地道に、淡々と、やっていきましょう。

点数化されない変化もあるかもよ。

最近、そういう相談に来てくれた生徒の中に、頻繁に私に現代文の質問をしにきてくれる子がいます。

最近伸び悩んでいるらしいですが、質問のレベルは上がってきています。
「解説読んでもなぜ③が正解なのかわからない」みたいな漠然とした「わからない」質問が多かったんですが、最近は「④のこの記述が本文に無い、って解説に書いてあるんですが、本文のこの記述とは意味が違うんですか?」という具合に、かなり理解している質問がほとんどになってきました。

点にはつながっていないかもしれませんが、間違いなく読解力は上がってきています。
多分、そういうことって多くて、正解はしなかったけど、理解は深まっている。正解はしなかったけど、以前よりも計算を先に進めることができている。正解はしなかったけど、前よりも読んでわかる単語が増えている。正解はしなかったけど、「これは絶対違う」という選択肢を除外する精度と速さは上がっている。そういう、「点数につながらない進歩」って、あることが多いと思うんです。

でも、そういうのってすっごくアナログだし、本人では気づけないことがほとんど。
でも、伸び悩んでいる時こそ、そういう「自分のポジティブな変化」にアンテナを高くしたいですよね。

もっと言えば、勉強って受験のためじゃないですから。
もっともっとその先のため。
さらに言えば、自分のためではなく、将来自分が手を差し伸べるであろう誰かのためです。
例えば一生懸命勉強して弁護士になったら、その勉強は自分のためだった以上に、法律的な助けを求める誰かのためです。教師になったら、その勉強は授業を受けてあたらしい知識と見識を得る子どもたちのためだったわけです。看護師になったなら、その勉強はその人が救う命と心のためのものだったわけです。
(本人が「役に立たないじゃん」と言っても、それでも関係なく学校の勉強が続くのは、本質的に「社会」が作った学校というシステムの中で行われる勉強は個人のためである以上に社会のためだからですものね。あなたの役には立たなかったとしても、それを知っているあなたが誰かの役に立つかもしれない)

というふうに、少し目先を遠くに向けてもいいかもしれないですね。
受験がある以上、点数はとりたいけれど、それは目標であって目的ではありませんから。

いずれにせよ、何か視点を変えることで、自分をポジティブに保つのも、大事な戦術です。言っても、共通テストでさえまだ一ヶ月も先のこと。国公立後期や、私立の最後まで粘ろうと思うなら、あと三ヶ月。

長いですから。
周りの大人が急かすほど、一息で走りきれる時間じゃないので。
「折れない」で居ることが最終的に一番強いと思いますよ。

では、今夜はこの辺で。

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