令和いらねえ吊り輪ホットケーキ/2020年3月26日

 2日くらい前、アメリカのサブスクで、多くのジャンルの再生数が落ちてるのに、クラシック、フォーク、チルドレンズ・ミュージックの再生数が伸びているという内容のツイートを見た。

 それはすごく興味深いことなので、ぼくもリツイートした。

 結論というほどではないけど、そのツイート主は、通勤やワークアウトの「ながら聴き(元ツイートでは、聞き)」が、いかにサブスクを支えてきたか、音楽産業もいかにそこに頼ってきたかということを書いていた。

 それはつまり、もっと聴く側が向かい合える音楽を作っていくべきではないかという主張にもつながっていく把握の仕方でもある。数値で差別化することに違和感はあるけど、確かにそういう面もあるのかもしれない、と思ってた。

 でも、いまは違うふうに考えている。

 今夜、ぼくはなんだか寝付けなかった。眠りが浅くて、2時間ほどしたら目が覚めてしまった。

 いつもならふとんに入って5秒で爆睡。そのまま朝までトイレに起きることもない性質なのに。

 やっぱりこの底知れない不安は、ひたひたと確実に日常に忍び寄っているんだな。今月、特に大胆な使いかたをしていたつもりもないのに、いつもより早くスマホの速度制限の報せが届いたのも、いかにニュース(とか、ニュースらしきもの)に翻弄されているかの証拠だろう。

 こんな眠れない夜に、どうしたらいい?

 そう考えたときに、ハッと思い当たった。クラシック、フォーク、チルドレンズ・ミュージック……。

 あのツイートでは、「ながら聴き」とは対照的な聴取のためにある「誠実に聴かれている」音楽というようなニュアンスを感じてしまっていたけど、それらの再生が伸びている理由はそこじゃないのかも知れない。

 眠れない夜、不安で仕方ない時間に、そこで鳴っていてくれる子守唄みたいな響きを持つ音楽。そういうものを「眠り、ながら聴き」するために、人々は再生してるんじゃないのか。

 単純に「癒される」とかじゃなくて、もっと強力な眠り薬になってくれるような音楽が、昨日の晩はただただ鳴っていて欲しかった。

 結局、夜更けにはしっかり眠りこけていたけどね。朝起きて、いま書いてる原稿にとりかかる前に、リツイートは取り消した。

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