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【値千金の名倉弾】第35節 ジェフユナイテッド千葉戦【雑感】

苦しすぎたアウェイ千葉戦。苦しんだ理由を中心にレビュー書きました。相変わらず半分くらい妄想が入ってる気が…今年初めての現地観戦だったので、生の情報もほんの少しだけ混ぜてみました。

①スタメン

前節琉球戦で痛恨の敗北を喫した長崎、中5日で迎えた千葉戦はスタメンを2人入れ替えて徳重と大竹が先発した。徳重は第23節徳島戦以来、約2か月ぶりの先発出場となった。

「前節、ホームで土をつけられた。決して、高木和の責任ではないが、監督として何かを変えて挑みたいアウェー戦だった。前回の千葉戦はホームで締まったゲームをやれた印象があり、GKは徳重だった」。そして、ここまではビルドアップの部分で「高木和に頼ってきた」ものの、この日対戦する千葉は「ブロックを組む相手」であり、「GKがビルドアップに参加することは少ない」と考えて徳重が起用された
(手倉森監督)

要するにハイプレスを掛けてこない千葉相手ならGKのビルドアップ関与はそこまで重要ではなく、セービングの安定感を買って徳重を先発起用したという事らしい。フクアリの芝は一見綺麗に生えそろって見えるが現地で見た感じゴール前は荒れている部分があり、その辺のリスクマネジメントも兼ねていたのかもしれない(妄想)

対する千葉は前節から1人変更、高橋壱晟に代わって熊谷アンドリューがスタメン入りした。シーズン序盤は過密日程に対してスタメン全員を入れ替えるなど大胆なターンオーバーを敢行していた千葉だが、最近は落ち着いたようで長崎戦の11人がほぼベストメンバーという感じだろう。

田口泰士や川又堅碁など有力選手を含む大型補強、Jリーグで実績のある尹晶煥監督の招聘…エスナイデル時代との決別を選んだ千葉だが順風満帆なシーズンとはいかなかった。予算規模を考えれば16位というのは到底受け入れ難い成績だろうが、まだ土台の部分を構築している段階なのかもしれない。直近の松本戦、新潟戦と連勝しており、今季2度目の3連勝を目指す試合になった。

前回対戦は約3ヶ月前の第13節、ホームで迎え撃ったときは大竹と畑の得点で勝利。前線からのプレスがハマり千葉にほとんど隙を見せず、GK新井のファインセーブがなければ3点差4点差になっても不思議ではなかった。今シーズンベストと言える試合の一つだった。

②千葉の強固なブロック守備

立ち上がりからボールを握って攻め込んだようにみえた長崎だったが、どうやらそうではない事が前半10分過ぎから露呈し始める。エスナイデル千葉の代名詞だったハイプレス・ハイライン、つまり前からガンガンに圧力を掛けてくる守備スタイルとはすっかりお別れしたようで、4-4-2で凸型ブロックを敷いて隙を見せないスタイルが板についていた千葉。さすが尹晶煥監督らしいチームというか、規律と均整の取れた守備陣形を展開しており、魚群のようにスライドする勤勉なブロックは訓練されている証だった。

千葉の2トップはカイオへのパスコースを背中で消し、後ろの4-4ブロックはそれぞれが近い位置に立つことで狭いブロックを形成した。長崎としてはライン間を上手く使って相手を押し込みたいところだが、名倉や大竹にパスを通した刹那、2~3人から同時に圧力を受けて前を向くこともままならない。千葉のブロックは横幅がかなり狭く設定されているため大外を捨てる格好になっており、長崎のパスは自然と江川・鹿山に辿り着く事が増える。ここでまた本職サイドバック不在問題が露見することになり、本職センターバックの江川と鹿山はボールを受けても縦に勝負する事ができない。結果的に千葉ブロックの外周をボールが回るだけになり、ボールを持っているようで持たされている形になった

--失点の場面を振り返って。
長崎さんにボールは持たれていましたが、千葉からすると「ボールを持たせている」という感覚でゲームを進められていました。
(船山貴之)
ボールは持たれていましたが、組織的に守備ができていました。決定的なピンチもありませんでしたし、ボランチの選手が(相手の)クサビのパスを取ったり、前線から守備でハメたり、ショートカウンターも出せていたと思います。
(新井一耀)

千葉の選手も守備がハマっていた実感があったようで、手応えはインタビューからも垣間見える。

③中・外がダメなら裏を狙う作戦

ライン間にボールを入れる事ができない、大外を突破する事もできない…次の長崎の狙いは高めに設定された千葉のディフェンスラインの裏だった。3バック化する長崎に対してサイドハーフ、サイドバックが縦にスライドして上手く対応していた千葉だったが、ゲリアが江川に喰いついて3バック化する瞬間を狙ってロングボールを何度か入れていた。エジガルが抜け出す事もあったが、この裏狙いも千葉にとっては想定内で新井・鳥海に上手く対応されてチャンスに繋げることはできなかった。

ブロックの中に上手く入れない展開に焦れたか、前半の飲水タイム前後は単純に裏に放り込むだけの攻撃になっており、千葉のディフェンス陣にとってはなおさら守りやすかっただろう。

長崎としてはボールを保持して相手を動かしながら主導権を握りたい試合だったが開始15分で当てが外れた展開となり、ロングボールに活路を見出そうとするも簡単に対応され、結局前半は千葉が守備から流れを掴むことになった。千葉が8本シュートを放ったのに対して、長崎はわずか2本に抑え込まれたスタッツがそれを物語っている。

④サイドチェンジのボールを蹴らない理由

圧縮されたブロックを攻略するなら、ピッチを横断する長いパスでサイドを変えるのが最も効果的な攻め筋の一つだろう。大外でボールを回しながら千葉のブロックを右に寄せて、角田が対角線のパス一発で逆サイドのサイドバック江川に渡す。パスが通れば大外の深い位置で一対一の状況を作れる可能性があるし、何度も長いパスを出すうちにブロックが緩くなって中央にパスを通せる扉が開く可能性もある。しかしこの試合ではサイドを変える大きなパスは(たぶん)一度もトライされなかった

理由を推察するなら思い当たる節は2つ。1つは当日は非常に風が強く、ロングボールは影響を受けやすかったという事。特に前半は相当風が吹いており、スタンドで見ていても相当肌寒さを感じた。サイドを変える長いパスは成功すればチャンスに繋げられるが、カットされれば状況を一気にひっくり返される諸刃の剣でもある。可能性とリスクを天秤に掛ければ、リスクの方が少し上回った気がする。

もう1つ、サイドチェンジのパスを出さなかった理由があるとすれば、両サイドバックが本職ではないという事も考えられる。そもそもピッチを横断する長いパスはこの数試合ほとんど出されておらず、亀川・米田・毎熊が離脱したタイミングと被っている。対角線の大きなパスが通った先には相手サイドバックを一対一に晒すことが出来るが、縦への突破がない江川・鹿山に渡ったところであまり意味はないという事なのだろうか?この辺の事情は半分妄想だが、まったく無関係ではない気がする。

⑤繰り返されなかった悪癖

ともあれ、長崎は試合を通して再現性のある攻撃からシュートという場面をほとんど作れなかった。だからこそ51分に氣田がドリブルで持ち込み名倉が決めたシュートはまさに値千金だった。footballlabが算出するゴール期待値は千葉1.69に対して長崎0.38、もしサッカーが採点競技なら長崎は完敗だった。徳重の先発起用も当たったと言えるだろう。

先制に成功してからは無理をせずゲームコントロールに入った手倉森監督。途中交代で入った富樫・加藤大の番犬2トップで前線から追いまわし、最後は磯村が右サイドバックに入る5バックで守備固め。かなり苦しい試合展開だっただけに玉田・イバルボを入れて追加点を狙うかと思いきや最後まで温存、わざわざ千葉まで連れてきた実力者を試合に使わないというのは意外と難しい気がするが結果的には逃げ切りに成功。散々課題にしてきて、高い授業料を何度も払ってきた「リードしたアウェイでの振る舞い」だが、いよいよ単位を履修したと言えるのかもしれない。教訓が活きた勝点3と言えるだろう。

先制してからのゲームコントロールというのは、本当にここから負けられないというチームの姿勢を示したゲームだったんじゃないかなと思います。こういうゲームはここからも続くと思いますが、今日の勝ち方は昇格へのメークドラマの原点になってくるなと思います。
(手倉森監督)

⑥おわりに

大宮戦で負傷した亀川が離脱して万事休すかと思ったが、これで水戸戦から数えて5勝1敗。左翼に続いて右翼も失い、チームとしての推進力は確実に低下していて苦しいゲームが続いているが、それでも勝点を積み重ねている。この粘り強い姿勢は、もしかしたら新潟戦から続いた8戦未勝利、魔の9月を経験したからこそなのかもしれない。これも妄想だけど。

今節は徳島が京都に敗れ、福岡が山形と引き分けたため、千葉で苦しみながら得た勝点3は本当に大きな意味を持つことになった。次節はホームで松本戦、アウェイで対戦した時は2点リードしながら追いつかれるという最悪な展開だった。あの時とは違う、進化した姿を期待したい。

Twitterの方でも宣伝したんですが…

なかなか遠征に行きづらいご時世なので、フクアリまで観に行った観戦Vlogなんぞを作ってみました。まだ見てないかたは是非見ていってください…動画素材は60分くらいあったのに、編集したらたった5分にしかならなくて世の中のYouTuberはスゲーなと思った次第です。

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