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ADHDの子どもにどう接すれば良いですか へのギモン

こんにちは。特別支援学級教員13年目のMr.チキンです。
特別支援学級の教員をしていると、「ADHDの子どもにどう接すれば良いですか?」と通常学級の教員から聞かれることが多いです。
今日はその質問に対する疑問と、考え方についてお話をします。

ADHDとは?

この記事を読まれている方はもうご存じかもしれませんが、簡単に説明させていただきます。
ADHDとは

  1. 多動性:じっとしていられない

  2. 衝動性:思いついたことをよく考えずに即座に行動に移してしまう

  3. 不注意:集中力が続かない

のいずれか、もしくはその複数の症状が出ることにより、日常生活に支障が出ている状態のことを言います。
本人に自覚症状があり「私は失敗ばかりする」と自己肯定感が低くなっていく子もいますが、逆に自覚症状が無く、周りの子が不利益を被るというケースもあり、多様です。
脳機能、特に前頭葉における器質的な障害なのではないかと言われていますが、全容は解明されていません
基本的に前頭葉の成長によって症状は改善していくと言われていますが、すべてでは無く、大人になり、社会人としての複雑な状況に対応することが難しい所謂「大人のADHD」という症状に悩む方も大勢います。
「コンサータ」「インチュニブ」「ストラテラ」といった処方薬もあり、その効能によって使い分けられていますが、あくまでも対処療法であり、明確な治療方法は確立されていません

通常学級での困り

4月の後半から5月にかけて、通常学級の教員から

チキン先生、ちょっとあの子見てみてくれるかな?

という話が来ます。
この時期に通常学級の教員が気になる子どもというのは、

  • 離席もしくは教室から出て行ってしまう

  • 友達に対して衝動的に手を出してしまう

  • 答えが分かったらすぐに言ってしまうため、友達とのトラブルが絶えない子

など、「ADHD様の動きをする子」が多いです。
もちろん、私は医師ではないので診断はできません。ただ、頭の片隅ではそのような分析はしています。
そして、子どもの実態が分かってくると、「じゃぁ、ADHD傾向のある子に何をすれば良いでしょうか?」という話が通常学級の教員から出てきます。

ADHDの子へのマニュアルは無い

おそらく、「この子を教室の中で静かに生活させるにはどうすれば良いだろうか?」という責任感からくる質問なのだと思います。
一方で、どんな子にとってもそうなのですが、マニュアルというものはありません
だから、「ADHDの子に何をすれば良いの?」という質問はとても困ってしまいます

上の記事でも書きましたが、ADHD傾向のあるお子さんは、報酬系という脳の部位が活性しにくいことが多いです。つまり、褒められたことについて”褒められた”と感じにくくなっています。また、その特性から叱られる経験も多く、自己肯定感はかなり低くなっています。

できるだけ褒められるようなシステムを作りましょう。
すぐ褒める・強く褒めるは鉄則です。

というのは私の立場からの思いですが、正論だけでは現場は回らないのも実情です。

褒めるところが見つからないんです。

40名近くを見ている教員が、一人の子に対しておっしゃるのもすごくわかるのです。

前後を記録化する

もしも、その子に対して支援員・サポーターのような人員がつくのであれば、その子の安全確保だけではなく、記録をお願いすることにしています。
ただ、支援員の方も多用な中でスケジュールをやりくりしています。
ですので、ピンポイントの情報をすくいあげられるように伝えています。要点は以下の3点です。

  1. 問題となる行動が起きる前の状態(教員の発言、活動内容、本人の表情、友達の発言等)

  2. 問題となる行動が起きてから教室に戻るまでの時間

  3. 問題となる行動が起きていない状態(教員の発言、活動内容、本人の表情、友達の発言等)

これ以上の情報は過多になるかなと考えています。

記録を生かす

それぞれ、記録してもらったものを、以下の観点で生かします。
1.問題となる行動が起きる前の状態
を分析することによって、子どもの行動を予防することができるようになります。叱られる回数が減り、自己肯定感の低下を防ぎます。
2.問題となる行動が起きてから教室に戻るまでの時間
はとても大事な情報です。特別なクールダウンが必要かどうか。
子どもの気持ちを切り替えるスキルが高まっているのかが分かります。
3.問題となる行動が起きていない状態
が一番大切かもしれません。対象となる子は一日中問題を起こしているわけではありません。上手くいっている時も、もちろんあるでしょう。給食、トイレ、チャイムが鳴ってグラウンドから帰ってくる・・・等々。当該学年なら当たり前にできるだろうというフィルターを取って記録してもらいます。担任からは見えないところもあるかもしれません。そこが褒めどころなのです。

ADHDの子への唯一の対応策

以上のことから、ADHDの子への唯一の対応策を考えます。
結局は、子どもを見るということが何よりも大事なのです。
ただ、子どもを見るというのにもコツや要所があります
今回の記事に書いたことが答えになるとは限りません。
その子の支援に必要なポイントはどこなのか、その子のニーズに応えるためには、どこを見ると良いのか、ケースごとに特別支援教育コーディネータとともに考えていく必要があるかもしれません。
では、またね~!!

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