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金魚飼育のえとせとら…カルキ抜きのお話。

金魚を飼う時に水道の水には塩素が入っているから『カルキ抜き』をしなければいけない…ってのはなんとなくわかってる。。で、お店にいくと『すごい〇〇』とか、『金魚がよろこぶ』とか『ビタミン入り』『ミネラル入り』『濁りを抑える』『〇〇土入り』とかとかとか…いろんなカルキ抜きの薬が売っててどれを使っていいのかわかんない!
そもそも、カルキって何?「カルキ抜きなんてやったことがない!」って人もいるけど、ホントにカルキ抜きは必要なの???…ってお話です。。。

※ここでは、ばっ気法や汲み置き法ではなく、中和剤を使用したカルキ抜きに関して書いていきます。

『カルキ』とは?

そもそも『カルキ』とはなんぞや?
Wikipediaによると『次亜塩素酸カルシウム - 水道水やプールの消毒に用いられる薬品。』と書いてあります。
次亜塩素酸カルシウムに含まれる塩素が水に溶けて殺菌効果を発揮するという事になります。
で、浄水場でカルキを投入した水が水道管を通って家の水道の蛇口から出てくるんですが、その時点で含まれている塩素が『残留塩素』という事になり、各水道局で若干の基準の違いがありますが、例えば東京都水道局では0.1㎎/ℓ以上、1㎎/ℓ以下になるように設定されています。
ちなみにWHOの飲料水ガイドラインでは塩素のガイドライン値は5㎎/ℓで、これは生涯にわたり水を飲んでも人の健康に影響を与えない濃度という事になってます。
その残留塩素を中和して無害化する行為を『カルキ抜き』と言い、カルキ抜き用にお店で売ってる薬剤が『カルキ抜き剤』となります。

カルキ抜き剤はどれを買えばいいの?

カルキ抜き剤(塩素中和剤)の主成分はチオ硫酸ナトリウムでそれを使いやすいように結晶化させたものがハイポ(結晶チオ硫酸ソーダ)です。


結晶の状態でも販売されていて、使用方法としては『バケツ1杯の水に1粒溶かしてください』などと簡単に書かれています。
そこで疑問がわくんですが、粒に大小がありどれをもってして『1粒』なのか??
実は、バケツ1杯の水道水の塩素を中和するためには、ハイポはゴマ粒大1個もあれば十分なんです。
まぁ、ゴマ粒大に砕くのも大変ですし、チオ硫酸ナトリウムは多めに入っても問題ないっちゃぁ問題ないんですが、毎回水換えの度に必要量の何十倍の濃度の薬品を使用しているってのもあまり気持ちの良いものではありませんし、後述しますが、そんなに中和剤を使わなくても良い理由もあります。
ですので、私は適量が計量しやすい液体のカルキ抜き剤の使用をお勧めしています。

液体カルキ抜き剤…単純にチオ硫酸ナトリウムの水溶液です。

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写真は某有名100円ショップオリジナルの液体カルキ抜き剤のラベルに表示してある成分です。
『チオ硫酸ナトリウム 食用色素』以上。。
食用色素は他の液体との混同を防止するために薄い青色がつけてあります。実際の使用レベルに希釈すれば『無色』になると言っていいレベルです。
実は、アクアリウム関係の商品では、ここまではっきりと成分表示がしてある商品って少ないんですよ。まぁ、成分表示が義務付けられていないからなんですけどね。。このことからも上記の商品が良心的な商品であることがわかります。

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このように単純な商品なのであまりお高いお値段も設定しずらいし他社との差別化もできずらい、しかし、水換えの度に必要だしリピーター率の高い商品である。。だからこそ『すごい〇〇』やら『ビタミン・ミネラル』やら粘膜保護やら水質調整やらの付加価値をつけて他商品との差別化や販売単価のUPを狙った結果、売り場がカルキ抜き剤で溢れかえるようになってしまったんです。

私は『水槽の中はできるだけシンプルに』をモットーとしています。

実際、カルキ抜きした水道水だけで金魚の飼育は十分にできますし、他にいろいろ薬品を添加しなければいけない状態=水槽のバランスが崩れている状態…と考えています。

常日頃から水質調整剤やら粘膜保護剤、ビタミン・ミネラル等を実際必要であるかどうかも関係なく常時投入していたら、一旦水槽のバランスが崩れた時にいったい何が原因だったのかわからなくなります。

日本の厳しい規格で管理されている水道水を使用していれば(特殊な魚を除き)わざわざ水質調整する必要はないし、粘膜保護剤が必要な状態=バランスが崩れ魚の粘膜に異常がでているという状態だし、ビタミン・ミネラルにいたってはわざわざ水に溶かさなくても必要分は餌に入っています。
バクテリアだってその水槽に合った最強・最良のバクテリアがタダで自然に沸いてくるし、ましてや海底の土なんて…そうそう『濁りを抑える』てのもありましたが、添加剤で濁りを抑えたとしても濁りの根源を絶たない限り濁りは消えません。。。。

まぁ、添加剤を全否定するつもりはありませんが(笑)、必要なものは必要に応じて必要なぶんだけ添加する…ってのが私の考え方で、添加剤が必要な時=水槽がヤバい状態になった時→そうならないように日頃の管理をしなければいけない…と思います。

話は長くなりましたが、要は商品の棚を眺めて『一番安いもの』(=一番シンプルなもの)を選べばOKって事です。
ちょっと気にかけたいのがどんだけの濃度かって事。
例えば、水10ℓに対して2㎖が規定量の商品と5㎖が規定量の商品であれば同量・同価格であれば2㎖の方が『お安い』という事になります。
使い勝手も併せて選んでみてください。

カルキ抜き剤の計量にはこんなのが便利です。



カルキ抜きは本当に必要なの?

はい。必要です。

ぶっちゃけ…カルキ抜きした水道水をそのまま水槽に流し込んだとしても金魚は死にません。
もちろん、魚体の小さな魚(メダカとか)やエビなんかは金魚よりは遥かに弱いので気を付けたほうがいいですし、長時間塩素が入った水につかっているとエラなどに炎症をおこす可能性があります。
でもまぁ、1回の水換えでカルキ抜きを忘れたからいって慌てることはないし、次からは気を付けよう…でいいです。

ですが、上にも書いたように塩素は『水道水の消毒』のために使われています。
『消毒』とは『病原菌』を殺すこと。
水槽の中には菌=バクテリアが発生・定着していて、その中にはいわゆる『病原菌』もいますが、多くは『善玉菌』です。
その善玉菌は何をしているかというと魚が排出する毒素を分解・浄化して水槽の中のバランスをとっているんです。
もし、その善玉菌が消毒されてしまったとすると、水槽内のバランスが崩れ水質が悪化→水質悪化により金魚の抵抗力が奪われ病気に感染→発病→死に至るという事になります。

ですから、水槽内のバランスを保つために『カルキ抜きは必要』なわけです。

でも、『カルキ抜きは必要ない』とか『カルキ抜きなんてやったことがない』と豪語する人がいるのはなぜでしょう?

ちょっと理由を挙げてみましょう。

①そもそもカルキ抜き剤が水槽の中に入っている
 塩素を中和するチオ硫酸ナトリウムは蒸発しません。また、水道水の塩素濃度は地域や季節、天候の状況によって変わりますからカルキ抜き剤はあらかじめ『濃いめ』に作られています、ですから通常使用であれば中和しきれなかったチオ硫酸ナトリウムが『余った』状態になり水の蒸発分と合わせて長期的には徐々に水槽内のチオ硫酸ナトリウム濃度は上昇傾向にある…という事になります。
まぁ、それが『どんだけ』って事なんですが、前にも書いたようにチオ硫酸ナトリウムは魚には無害と言われていますし、たまにカルキ抜き剤入れ忘れてチャラ!的に考えておけばいいと思います。

②そもそもバクテリアをあてにしていない
 頻繁に換水を行いバクテリアによる水の浄化の必要がなければ水道水の塩素によって水槽のバランスが崩れることはありません。→水道水の塩素濃度やエアレーションの設備がないなどの問題で塩素が抜けずらい状況であれば魚がダメージを負う可能性があります。

③そもそも水道水を使ってない
 井戸水には基本的には塩素が含まれていませんからカルキ抜きする必要はありません。しかし、なんですが、水質が管理された水道水に対して井戸水は水質管理はされていません。定期的に水質の調査を行い継続して『飲用』可能なものであれば良いのですが、そうでないものもあります。金魚にとって危険な井戸水もあります。

まとめ

飼育書などに必ず書いてある『カルキ抜き』の必要性、おわかり頂けたでしょうか?
もろもろのファクターはありますが、ここは極々シンプルに考えて、『付加価値のできるだけ少ないシンプルな液体カルキ抜き剤を規定通りに使用する』という事で良いと思います。

一旦水槽のバランスが崩れたり飼育が上手くいかなくなったりするとあれもこれもとどんどん添加剤が多くなってしまいがちです。
ですが、カルキ抜き剤(チオ硫酸ナトリウム)以外の添加剤は基本的に必要ありません。
薬品に頼らずにシンプルに『水槽を育てる』ことが金魚飼育にとって最良であると私は考えます。

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