金魚飼育のえとせとら…水換えのお話し。

金魚を飼いたいな…とは思うけど、水換えって大変なのかな?どうやって水換えすればいいんだろう?どのくらいのペースで水替えすればいいんだろう??…という疑問が当然わいてくると思います。

そんな疑問が解消できるように、水換えの実際を書いてみようと思います。

なぜ水換えが必要なの?

ちょっと汚い話になりますが…私たち人間やすべての動物は体の中に溜まった毒素をうんちやおしっことして体の外に排出しています。

そのうんちやおしっこはトイレに流され浄化設備(がない場合もありますが)で浄化され川から海へと流れていきます。

でも、海がうんちやおしっこで満タンになることはなくて自然の力で無害な物質に変えられています。(浄化設備の中も、実は『自然の力』を利用して『ある程度の無害化』が行われています。)

実は、この自然の力による有害物質の浄化は水槽の中でも普通に行われているんですが、地球全体の自然かたみるとほんのミクロの空間の自然なんで、大自然と同様の浄化ができるわけではありません。

そこで、水槽の中の『小さな自然』で補えなかった分を人間が水換えで補わなければいけないんです。

そう、水槽の中は上に書いた『浄化設備』(家の浄化槽とか公共の汚水処理施設など)が自然にできあがるんですね。ただ完璧でないので人間の手が必要。また、新しい水槽にはまだその浄化ができる環境ができあがっていないので環境ができあがるまでは一生懸命水換えを行っていかなければならないって事になります。

水換えは何日おきにやるの?

『水換えは1週間に1回』とよく言われますが…これは『都市伝説』です。でもまぁ、大体の人は生活のパターンが1週間ごとの区切りになっているので理想論としては水換えをルーティンワークとする場合、1週間に1回ってのは人間にとって都合の良い状況ではあります。

ですから、『1週間に1回の水換えで維持できるように水槽を作る』と、何かと便利ってことなんです。水槽の作り方によっては金魚の負担にならずに10日に1回や2週間に1回…もっと間隔を開けての水換えでも大丈夫な水槽を作ることも可能です。

ですが、上にも書いたように水槽の中に環境ができあがっていない新しい水槽(新しくはないけど、いままで金魚を飼っていなかった水槽も含む)の場合は有害物質がどんどん水槽の中に溜まってしまいますから、もっと頻繁な水換えが必要になります。

それってどんだけ?…って話になるんですが、これは水槽の状態や中の金魚の状態によってさまざまなので一概に言うことはできません。…って、それじゃぁわかんないじゃん!って事になるので、『一例』を紹介します。あくまでも『一例』ですので例外は多くあります。

とりあえずの前提として…金魚1匹10リットルと言われますが、私の経験上、一般的に1匹数百円程度で売ってる小さな金魚1匹に対して水が10リットルあれば1週間に1回の水換えで維持できる水槽は作れますし、『多少』金魚が成長したとしてもしばらくは飼育することが可能です。ですので『金魚1匹10リットル』を基準に考えてみます。

上のリンクのSサイズが12リットルの水槽。まぁ、すりきり一杯に水を入れることはないので約10リットルの水槽という事になります。

さて、この水槽で掟破りの2匹の金魚を入れて水槽を立ち上げた経験があります。(新しい水槽の中に浄化の環境を作ることを『水槽の立ち上げ』と言います。

[30cm水槽に金魚2匹入れてみた。。]


ここで、ざっと水槽内の有害物質が浄化される過程を説明しておきます。

まず、水槽内の金魚は自らの体内に溜まった毒素「アンモニア」をエラから対外に排出します。また糞などの有機物が水槽内で酸化する際にもアンモニアが作られます。

そうするとそのアンモニアを分解するバクテリア(仮にバクテリアAとします)が自然発生しアンモニアの分解を始めます。バクテリアAはアンモニアを分解し亜硝酸塩を作ります。この亜硝酸塩は実はアンモニアよりやっかいな物質だったりするんですが、これもしばらくすると亜硝酸塩を分解するバクテリア(仮にバクテリアB)が発生してきて硝酸塩に変化させます。

水槽の状態からみると、最初は真水に金魚が入った状態から徐々に水中のアンモニア濃度が高くなってくる→この時点ではアンモニア濃度が安全な範囲に収まるように水替え。次にバクテリアAが発生しアンモニア濃度が徐々に下がり代わりに亜硝酸塩濃度が徐々に上がってくる→この時点では亜硝酸塩濃度が安全な範囲に収まるように水換え。さらにバクテリアBが発生し亜硝酸塩濃度が徐々に下がり硝酸塩濃度が徐々に上がってくる。…最終的にアンモニア、亜硝酸塩の濃度は『0』になり時間が経過するにつれ硝酸塩濃度が上がり硝酸塩濃度が安全な範囲内に収まるように水換え。。ここまで約1か月の時間がかかりこの最終的な水換え作業が1週間に1回以上の間隔でできるようになれば『良し』という事です。

で、10リットルに2匹入れた金魚なんですが、2~3日は問題なく経過しましたが、4日後あたりから水槽内のアンモニア濃度が上がり始めて半分程度の水換えを2日に1回~毎日行ってなんとか維持。…半分ではなく全部水を換えたら?とお思いかもしれませんが、それですと水槽内のアンモニアも0になってしまいいつまでたってもバクテリアが発生しない=水槽が立ち上がらないという事になってしまいますから、全量の水替えはNGです。

さて、アンモニアなんですが、一説によると『猛毒』あるいは『強毒』と表現されていますが、実際水槽の中にはアンモニアとアンモニウムイオンという形で存在し、有毒なのはアンモニアの方でアンモニウムイオンはほぼ無毒です。
市販のアンモニア試薬の値はそのアンモニアとアンモニアイオン両方の総量(総アンモニア量)を表示します。では、アンモニアとアンモニアイオンの割合はどのくらいなのかというと、水槽の条件(pHとか水温とかもろもろ)によって違ってきますから、一概に『どんだけ』とは言えません。
よって、最悪を想定しアンモニア試薬で表示された値(総アンモニア量)=100%アンモニアと仮定して水換えを行いますが、実際はそれほどでもない…という事になります。
しかし、次はほんとの『地獄』が待ち構えています。
大体10日後くらいから亜硝酸が検出されるようになります。
亜硝酸の値がどんどん上がってくるにつれアンモニアの値が下がってきます。
今度は亜硝酸濃度を薄めるための水換えになるんですが、アンモニア値が下がり『0』になったあたりが亜硝酸のピークになります。
水換えの量もどんどん多くなり、毎日8割以上の水換えを行っても翌日には亜硝酸が危険レベルになってしまっていました。
亜硝酸はアンモニアと違い、表示された値が100%『毒』です。アクアリウムヲタクの間ではこの状態を『亜硝酸地獄』と言います。
この亜硝酸地獄が概ね水槽に金魚を入れてから10日~27日の間です。
その後は亜硝酸の値が徐々に減り、硝酸塩が増えだします。
水換えの量も毎日8割→毎日1/2→1日おき、2日おき…と減っていき、最終的にはアンモニア値、亜硝酸値ともに『0』、硝酸塩の値のみが徐々に増えその値が『危険レベルになる前』に水換えというルーティンワークが組めるようになります。

まぁ、今回の実験は『絶対に殺さない!』『絶対に病気にさせない!』という信念の基に行った実験ですので、かなり神経質に数値を認識し、安全第一で水換えを行いました。(殺してもいい、病気になってもいい…なんて思う人はいないと思いますが…。)
そのため、換水量が多くなり通常の立ち上げより時間がかかってしまう結果となりました。
通常は立ち上げに必要な期間は1か月程度です。

この実験は『水10ℓに対して(小さな)金魚2匹』でしたが、もっと金魚1匹に対しての水の量が多ければこれほどの地獄にはならないわけで、逆に金魚1匹に対しての水の量が少なければもっと悲惨な地獄絵図になってしまいます。
実際、金魚は丈夫な魚ですから、ここまで気を使わなくとも『頑張り通して』しまう場合も多々あります。
逆に、「金魚は何回飼っても1週間で死んでしまう」という人も多々いるわけで、その理由もこの実験でわかって頂けたかと思います。

また、自分の水槽の状態を知る=水換えのタイミングを知るためには『水質の検査』を行うとわかりやすくなります。
最初はアンモニア試薬。
その後は総合試験紙が便利です。
これはあくまでも簡易的な検査であり、値の正確性を云々するものではありません。
しかしながら、継続して検査することにより『有るか・無いか』『増えたか・減ったか』の判断材料・目安にはなります。
ホムセンやペットショップのアクアリウムコーナーに行くと『金魚が喜ぶ』とか『濁り解消!』とか『有害物質を除去』なぁ~んて殺し文句の商品がたくさん売っていますが、ぶっちゃけ水槽に添加するのはカルキ抜き剤だけでOKなんです。
ですから、そんな殺し文句商品を買う余裕があるのであれば、水質検査キットを買った方が良いと、私は思います。

でも、まぁ、最終的に重要なのは『日頃の観察』なんですよね。
これだけは覚えておいてください。

 『あれ?いつもと違うぞ?』…と思ったら、躊躇なく水換え!…です。

さて、長くなりました。
次の記事では『水換えの実際』を書いてみようと思います。

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