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パリとロンドンのフローリストが見た「コロナ後」の世界 ~ポストコロナの花き業界~

日本では、ワクチン接種が進み、いよいよ「コロナ後」の世界が見えはじめています。私たち、花き業界は、コロナ禍を通じて何を学び、そして今後どんな世界が待ち構えているのでしょうか?

そこで、ワクチン接種が大幅に進み、コロナ感染者数の減少が先行するパリとロンドンのフローリストたちがロックダウンでの体験と、平時に向かいつつある日常と、その中でも変化についてオンラインで繋いで現地からお話をお聞きする機会を設けました。

お話をいただいたのは、業界でも知る人ぞ知る青山フラワーマーケットのパリ店の伯野氏とロンドン店の宮崎氏の2大スター。どうやら、それぞれの都市でも様子は違うよう。花き業界必見の注目会です。

【開催概要】
開催日時:2021年7月9日(金)16:00~17:30
特別ゲスト:青山フラワーマーケット パリ店 伯野智司 氏
      青山フラワーマーケット ロンドン店 宮崎大作 氏
ファシリテーター:株式会社ミヨシ 海外販売部 松本 庸 氏


青山フラワーマーケット・パリ店について

 パリ店の伯野さんは、2000年にパークコーポレーションに入社、その後チーフデザインオフィサーとして、生花店のイノベーションと称されるライフスタイルブーケなどの商品開発や生産地の開拓に取り組み、現在の青山フラワーマーケットの礎を築かれました。2015年9月に海外1号店となるパリ店の店長として着任されています。

 (伯野氏@パリ)今年の秋の9月で、オープンしてちょうど6年目になります。パリ店は7区というというところにあり、老舗の百貨店「ボンマルシェ」から歩いて5分くらいの立地にあります。

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近くにはフランスのお菓子のメーカーが多く、非常に賑わいがあり、マンションの価格でいうと2億円くらいの所得層でいうとかなり高い方が住んでいらっしゃいます。住民はパリの方が多いものの、アメリカ、ヨーロッパ、ブラジルの方も多いです(コロナ禍でブラジルの方が今は少なくなっている)。

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隣接しているカフェのテラス席は、元は路上の駐車場でしたが、コロナ禍のパリの施策で申請を出すことで路上にカフェのテラス席が作ってもよいということに。(花屋店舗のほうもテラス席がすぐ真横にあることで)囲まられているという感じが出て、賑わいがでて良い感じになっています。

下画像にあるのは、ライフスタイルブーケで看板商品です。売上で15%超えてくるという商品。小さいブーケだけで。青フラがオープン当初から売りにしていきたことが定着してきて、手ごたえを感じているところです。

下画像の右側のボックスは、日本で販売されているか分かりませんが、中身がパリの街並みの塗り絵になっていて、うちのお店も絵になっています。

青山フラワーマーケット ロンドン店について

 続いてお二方目ゲストをご紹介します。次のゲストは宮崎大作さんです。青山フラワーマーケットブランドマネージャーを経て、4年前の青山フラワーマーケットロンドン店の出店にともない、店長として着任されました。


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なぜロンドン・セルフリッジズに出店したのか?

(宮崎氏@ロンドン)なぜ、ロンドンセリフリッジズという百貨店に出店したのかをよく聞かれます。この経緯は、実は伯野のパリ店を、セルフリッジの役員の方が見て非常に気に入っていただき、そこからお声をいただいたという話です。実は僕もうちの代表もそれまで、セルフリッジという百貨店を知らなかった。実際に行ってみたら、凄いところだなと。ここは間違いなく、チャレンジすべき場所ではないかなと思ったところです。

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セルフリッジズ ロンドン店
https://www.selfridges.com/GB/en/features/info/stores/london/


一方で、ここは世界の百貨店のコンペ(グローバル・デパートメント・ストア・サミット:GLOBAL DEPARTMENT STORE SUMMIT)で、何回も世界一の百貨店になっているようなところです。(10年、12年、14年、18年の4回受賞している)。そのため、世界中のテナントさんがここに入りたいと言っていて、ずっとウェイティングリストが尽きないような大人気のところ。ここに入れたのはとてもラッキーなことです。

世界都市総合ランキング1位のロンドンでのチャレンジ

さらに、当社は日本でも都市生活者に花や緑を届けて心豊かになっていただくというのをモットーにやっておきます。それは国内に限ったことではない。ロンドンでいうと、世界の都市ランキングで何年も1位になっている都市(世界都市総合ランキング(森記念財団都市戦略研究所)で2020年まで9年連続で1位)で、その大都市のなかで花や緑を広めていくというのは、私たちにとっても大きなチャレンジになるということを考えて出店した。

ロンドン店のコンセプトについて

 (お店の雰囲気は)ロンドン店に来ていただいた日本人の方が言われるのは(日本の店舗と)結構違うねと言われることがある。ただ、僕たちとしては、コンセプトは日本と同じものでやっているつもり。日本の場合でも立地や客層にあわせて、品揃えや諸々の調整をしてやっている。ここでも同じ。当初、オープンする前にプランニングをしている時に、何を参考にしたらよいか全く分からず、まずは同じヨーロッパである伯野のパリ店とか、他のヨーロッパのいろんな店を参考に考えていたが、いざやってみると全く違った。よく考えるとたしかにそうだなと思った。日本でも東京と大阪でも売れるものが全然違うし、趣味趣向が違うのと同じように、やっぱりイギリスとフランスでは全く違うと。こちらヨーロッパの人が、日本と中国を同じ感覚で扱うような、そんな雑な考え方であったと思って反省。(とても良い学びとなったので結果的に)実際にやってみて良かったと思う。

ロンドン:顧客は地元と観光客の富裕層がメイン

 少し話は戻るが、立地は、先ほどセルフリッジの場所だが、日本でいうと新宿伊勢丹さんのような超一等地にあって、観光客もたくさんいらっしゃるような所です。

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主に客層は富裕層が多いが、地元のお客様と観光客の富裕層がメイン。ただ、フランスのパリ店もそうですが、ヨーロッパの富裕層は半端ない富裕層なので、日本では想像できないような方がたくさんいらっしゃいます。イギリス人の人は、このあたりの市内に家を持ちながら平日を過ごし、週末には郊外に城みたいな家で過ごす。観光客の方は、滞在期間中はずっと一流ホテルを貸切ったり、あとは2軒目、3軒目の家がここにあったりして、夏だけここで生活するとかという使い方をされています。日本でいうと観光客のお客様はお花を買うイメージはないと思いますが、こちらで滞在するホテルや別荘みたいなところに自宅用というか滞在先用とう感じでお花を買って飾ります。やはりお花と人との距離感が凄く近いので、どこにいても花を感じたいというのがあるみたいです。


これは近くのお客様のご自宅に、週末みんなでご飯を食べるので、お花を活け込みに行った時のもの。


この小さいのものは、(日本でもおなじみの)ライフスタイルブーケ。ここでも売っていて、こちらも人気があります。


やっぱりご自宅が大きいとかもあったり、もちろんお金もちの方が多っかったりするので、どかっと送りたいという人が多いので、大きなブーケが人気。日本ではあまり見ないような大き目のブーケが出る。


これは、プラダとコラボ。徐々に認知度が高まってきて、色んなところから声をかけていただくようになってきています。


これも大きなブーケですね、これはいつも常連で著名なサッカー選手から奥様へのプレゼントです。


ロンドン:仕入れはオランダからがほとんど

(宮崎氏@ロンドン)ほとんどオランダから入れていますね。当初はイギリスの地元の花を使ってやりたかったのですが、色々調べてみたら、イギリスの花はクオリティが低かった。そのため、仕方なくオランダから入れている状況です。色々聞いてみると、イギリスの他の花屋もオランダの花に頼っていると言っていたのでこれは仕方ないこと。イギリスで買うお花は枝物ぐらいですかね。枝物は良いものがあり、逆にオランダからは枝物が持って来にくいので、こっちで買うようにしています。それ以外はオランダから仕入れています。

パリ:「私の花屋さん」を持つパリの人々


(伯野氏@パリ)日本と 明らかに違うのは、ここではワイン、お肉、パン、花屋など自分の家から近いところにある個人商店を「私のお店」(行きつけのお店)の意識を持つ方が多いこと。うちの店を「私の花屋さん」と捉えてくれている。例えば、お客様が自分のお友達を連れて来ることがあるが、その時に「ここ私のお店だがら」、というような形で僕の事を紹介してくれる。アルチザン(職人)という言葉があるように職人というのをとても大切にしてくれる国なのかなと感じます。

 (私の花屋さんって認めてもらうことから商売が始まるので)認知度がない時は、お客様のほとんどは、お店を外から覗くだけで入ってこなかった。(認めてもらうまで)一年以上かかりまいたね。

パリ:口コミから広がるお客様の輪

(地域のお客さん以外に、どこから注文が来るか?)
(伯野氏@パリ)海外からだと、イギリス、上海、ニューヨークからの注文が多い。特にイギリスが多い。セルフリッジズ・ロンドンに支店にあるということもあるが、やっぱりお客さんの口コミから伝わって注文が来ることが多い。ファッション関係とか感度の良い方が買いに来られるので、お客様の口伝で来られることが多い。例えば有名ブランドDIOR(ディオール)から、装花のお話があった時に、どうしてうちのことを知っているのかと聞いたところ、うちの別のお客様からの紹介だったそう。

ロンドン:所得の差でお店が分かれる

(宮崎氏@ロンドン)ロンドンも比較的パリと似ていて、私の肉屋、魚屋というのもありますが、イギリスの場合は階級社会、あるいは所得の差といったほうがよいかもしれませんが、所得の差によってお店が分かれている感じがします。一番分かりやすいのはスーパー。高い所得の人が使うスーパー、中層が使うスーパー、低層が使うスーパーと別れていて、もちろん誰でもはいれるが、おのずと決まっているような感じになっている。いわゆる高所得層は、「私の花屋」、「私の魚屋」といった、その質や背景(ストーリー)にこだわる傾向にあるようです。


ロンドン:コロナ禍での変化

(宮崎氏@ロンドン)まずイギリスがロックダウンになったのが、2020年3月~6月の3か月間で、6月の後半にいったん解除されました。その後11月から1か月ほど再度ロックダウンがあり、12月に解除したは良いが、もちろん12月なので繁忙期で、こちらはクリスマスをとても大事にされる文化なので、人がたくさん外に出て感染者が増えてしまい、結局年明け1月から4月まで再度ロックダウンに。結局、トータル7か月くらいロックダウンという状況でした。

そのロックダウン期間中、小売店は営業できなかったが、お花屋さんは日常品の一部として扱われて、オープンしていました。しかし、人が外に出ていないので、なかなかお花屋さんにとっても難しかった状況。5月からようやく小売店が再開できるようになり、そのタイミングで飲食店も再開、徐々に人が戻ってきている。イギリスは感染者が1日3万人に増えていますが、イギリス政府の判断は、死ななければよい、重傷者が病院に入らなければ良いという判断のようです。ロックダウン期間中は、セルフリッジの中のスーパー部門は、生鮮エリアだけはオープンしていました。ただ、うちの場合は、出展しているエリアが、生鮮エリアではない、アパレルなどのエリアだったため、うちは閉めていました。

ロンドン:コロナ禍で勢力図が激変

 (宮崎氏@ロンドン)もともとイギリスではスーパーの花は充実していたのですが、コロナになってきてから、さらに充実してきて、売り場もどこのスーパーも増えています。逆に生花店のほうは、元からここ10年でイギリスの花屋の実店舗はどんどんつぶれている状況で、さらにコロナかになって進んでいって、生き残っている店とそうでない店とがはっきりしてきている状況。いわゆるスーパーと花と差別化できているところは生き残っているが、そうでない店はスーパーに飲み込まれたかなと思います。

一方で、ロックダウンにより、お客さんご来店いただくことができなくなり、オンラインでの販売が広がりました。元からイギリスはオンラインが発達していて、生鮮食品はもちろんのこと、役所の手続きもオンラインでできます。そのため、一般のお客様もオンラインで何かを買うことには抵抗がなく、花も同様にスムーズにオンラインのほうに流れていったという感じです。そのため、コロナで勢力図が変わりまして、今までは1番はスーパー、2番は実店舗、3番がオンラインが少しといったところが、圧倒的にオンラインがトップになって、2番目にスーパーが拡大してきて、実店ポが三番目に下がるといった状況です。

うちの場合は、セルフリッジがやっているオンラインサイトの中で展開。去年はセルフリッジのオンラインサイトでは(花関連が)2~3社だけだったが、コロナになってから、これがぐっと増えて全部で8社に増えた(生花5社、鉢物1社、ドライフラワーが1社)。オンラインの中が競争がはげしくなっています。

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https://www.selfridges.com/GB/en/cat/foodhall/flowers/flower-bouquets/


ロンドン:宅配は自転車配送

 オンラインで購入された商品は宅配便の場合もあるが、こちらで盛んなのが、自社配送です。自社配送といっても自転車で配送するようなものです。自転車でお花を配達するのは、なかなか日本では考えにくいですね。

(例)ロンドンで人気の花のサブスク「フレディーズ・フラワー(Freddie's Flowers)」は、花の入ったボックスを荷台付き自転車を使って配達している光景が市内でよく見かけられるそうだ。


フレディーズ・フラワーは、コロナ前からもあったが、当時は(既存の花関係者は)こんな花売れるのかどうか懐疑的だったが、それがコロナになって大爆発して、町中でこの自転車をいたるところで見かけるようになりました。

パリ:ロックダウン中の様子

 ロンドンと同じく、パリは2020年3月半ばからロックダウンとなり営業ができなくなりました(3/17~5/13)。ロックダウンは5月の第1週くらいまでで、それ以降(5/11~)は生活必需品のお店は営業ができるように。花も生活必需品として扱ってもらったので、花屋は営業して良いとなりました。しかし、入口でのやりとりのみ(店内に入れない)。また、人々は外出できるようになったものの、外出時間は買い物が1時間、散歩などのエクササイズに1時間と短く、そのなかで花屋にも来てくれました。

(効率的に買い物をするため)電話で先に注文をいただき、店頭で渡すクリック&コレクトのようなやり方です。電話で注文いただいた方が店に取りに来るのが12時ごろなので、小さいブーケ(5ユーロ)や作り置きのブーケ(25ユーロ)など、分かりやすく用意しておいたので、買い易かったのか、よく使っていただいた。(コロナ前の)通常期と同じくらいの売上になりました。この期間中は、パリの花屋さんは全般的に売れ行きは良かったようです。

ただし、反面として、デコレーション(装飾)関連の業務需要は、とことん落ち込みました。しかし、今はやっと少しず戻ってきています。結婚式は今までやりたくてもやれない人がいたので、この6~7月にたくさん注文がきました。6月は、店頭での販売よりも外での仕事のほうが売上は多かった。また、9月から(結婚式以外も)動きが戻ってきそうで、(お仕事の)相談の話をいただいているような状況です。

パリでもオンラインが台頭

やっぱりパリでもオンラインの販売は伸びたようです。もともとオンラインでの販売は、欧米では日本に比べれば利用率が高いですから、コロナを機にさらに伸びたようです。パリもロンドンと同じように自転車での配送が流行っているようです。自転での宅配は、個人で仲間であつまって自転車で配達を請け負うところがあったり、もしくは大手が自転車部門を持って自転車での宅配をやったりしています。

 オンラインでも「私の花屋さん」のように、身近に感じるショップはあるとは思いますが、それに満足しない方が、うちみたいな個人のお店に来てくださっていると思います。土壌的には「私の花屋さん」という意識が強いので、オンラインはもちろん増えているが、個人店でも良いところは、地域の方々から愛されて、注文をいただいている状況です。

パリで人気のサステイナブルを徹底した花屋さん

 (伯野氏@パリ)「Désirée 」というフランス産の花しか扱いませんということに特化した花屋が流行っています。サステイナブルを徹底してやりますよという花屋で、いろんな媒体で取り上げられたり、SNSのフォロワーの多く、非常に注目されていて、すごく評判が良い。


「Désirée」 は、今流行りのデザインではないが、器を使わなかったり、吸水性スポンジを使わなかったりと自然のものしか使わない。一日30名以上のお客さんを受け付けない。取り扱うお花はビオ(オーガニック)ですから、お花には虫はついて当たり前。「Désirée」に限らず、こちらのお花屋さんは「自分はこうだから」というポリシーみたいなのをしっかりもってやっている方が多い。うちはこれはやる・やらないというのをはっきり言われる方が多い。

ロンドンでのサステイナブルへ意識について

(宮崎氏@ロンドン)イギリスでもサステイナブルは関心が高いです。これは花業界に限ったことではなく、アパレル、コスメ、飲食、いろんな業界で一番押し出されている部分である。なかで、日本で違うなと思うのは、日本の企業や商品をアピールする際に、日本は商品があって、その端の方控えめに書かれています。こちらは、うちは一番こんな取り組みをしていますとバーンと押し出していて、そのアピールが凄い。アピールが上手だということもあり、いろんな意味でサステイナブルをいたる所で目ににします。

ロンドン:日持ちへの意識は非常に高い

 (宮崎氏@ロンドン)日持ちへの意識は非常に高いですね。日本以上に厳しい気がします。なぜかというと、そもそもお花があまり日持ちしない。お花は主にオランダから入れていると言いましたが、元を辿るとアフリカなどから来ているものもあるので、どうしてもイギリスに入って来た時点で(採花から何日も経過しているため)あまり日持ちしなくなってきている。だいたいお客様に花の日持ちについて聞くと、最低3~4日もって欲しい、それ以上となると凄く花持ちがする方だという認識があるようです。スーパーでは5日とか7日もつという表示がされています。

ロンドン:「あなたのお店だから買う」 

(宮崎氏@ロンドン)今オンライン化がすすんで、便利になった一方で、お店の方との接点が薄くなってきて、オンラインでお客さんが選んで会話もなく選択肢のなかから選ぶだけとなっていて、やりとりが一方的になっていると思います。もちろん利便性が良いのは良いのですが、人との関わり合いは凄く重要視される部分だと思います。よくお客様からは、あなただから買うとか、あなたのお店だから買うという声は本当に多い。そういった部分はオンラインではできない強みかなと思います。もちろん日持ちとかデザインを意識したうえで、そういう部分を強化できればよいと思います。

(伯野氏@パリ)まったくその通りで、何かアフターコロナで基本に戻ると、自分を売るしかない。スタッフによく話をすることですが、基本的にお花はデザインも含めて何を求めてきているかというと、あなたから花を買いたい、あなたが綺麗でないと、あなたが花だという感覚で、スタッフにも話すようにしています。


ステイホームに解き放たれた生活者は花を買わなくなる?

 (伯野氏@パリ)フランスに来た時から(7~8月はバカンス時期に消費が落ちてしまうのは)感じている。8月は特に店を営業しない。3週間くらい休む。花屋によっては、去年はコロナで働いたから今年は6月末から休んでいる花屋もある。特に7月14日(革命記念日)の記念日が終わった後は、本当に人がいなくなる。昨年は移動禁止されていたとか、もしかするとお客は来るんじゃないかと思って7~8月を店を開けていたが、いつもと変わらなかった。もともとコロナだろうがなんだろうが、バカンスは別です。スイーツは別腹と同じように、バカンスは別ですといった感じです。

(宮崎氏@ロンドン)イギリスもやっぱり、ヨーロッパ全体そうかもしれないが、バカンスの文化が根ざしている。みなさんバカンスのために生きているような。冗談でなく、命かけている。バカンスないと生きている意味ないという方が多い。ただ、僕も思っているのは、夏のバカンスは毎年あるので、その間皆さんそれぞれ楽しんでいただいて、また戻ってきていただいて、またお花を買ってくださる。今まで花を飾ったことがなかったがコロナを機にかざり始めた人はバカンスから戻ってきても飾ってくれる。今後も楽しみだなと思います。

お互いが見たパリとロンドンの好みの違い

パリから見たロンドン
 (伯野氏@パリ)ロンドンのデザインの特徴は、お花をちょこちょこ合わせたようなデザインで、それでやたらデカいイメージがあります。
(宮崎氏@ロンドン)そうですね、ロンドンではいろんな花を使うのが人気で、とにかくいろんなものを入れるのが好まれます。一方で、イギリス人はシンプルな白・グリーンが好きですね。さっきとは逆です。また、こちらでは菊は、葬儀のイメージがまったくないので、お誕生日にもあげますし、ウェディングなどいろんなシーンで使われています。

 ロンドンから見たパリ
(宮崎氏@ロンドン)イギリスから比べて、パリでは、よりナチュラルなテイストで、シンプルで分かりやすくて、本当にロンドンのデザインと全く違う感じがしています。
(伯野氏@パリ)やっぱり違います。例えば、グラミネとかイネ科の植物があって、小さい花がちょんちょん出ているような、頭の中で絵になるようなデザインが好まれます、自然を取り入れるようなデザインです。

コロナ禍で世界は一気に進歩した

(宮崎氏@ロンドン)人は便利や快適とか安全とかを凄く追及する習性があるので、コロナが開けても、コロナか進歩した利便性はもとにもどらないと思います。今までの歴史をいてみても、一回便利になったものが不便になるのはありえない。そこはずっと継続されていくと思います。花の場合は利便性に加えて、さらに日持ちや鮮度という部分が加味されていくと思うので、今後僕がこっちでずっとやっていくためには、まず利便性と鮮度を最低限持ったうえで、更にそこに何をかみしていくのがポイントだと思います。他の業界でも言われていることですが、コロナ禍で世界が変わったというよりは、一気に進歩した、進んだだけだと僕は思っていますので、この世の中の加速したスピードに取り残されないようにして頑張っていきたいと思っています。

日本には大きな可能性あり、ピンチをチャンスに

(伯野氏@パリ)パリもロンドンもそうですが、元々文化としてお花を自宅に飾る習慣が定着しています。定着しているところでも、コロナを契機に花をさらに飾ってくれるようになった。ピンチがチャンスになった。日本も自宅にお花を飾る文化の定着はこれからだと思いますので、まだまだチャンスはある。いろんなことにチャレンジができるのでは。また、日本の花の品質は最高ですから、日本の花業界も変化に対応して良い方に回っていくと思います。

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