煮綛芭蕉布

煮綛芭蕉布というのは首里織の技法・品目の1つですが、現在は織られていません。

喜如嘉の芭蕉布が生成りの地に絣が施されるのに対し、首里の絣は色とりどりに染められていたということです。

今は喜如嘉でも染められた芭蕉布が造られていますが、『煮綛』と言う事はありません。

ですから、『地色が染まった芭蕉布』は喜如嘉のものか、博物館のものしか見たことがありませんが、

大変味わいのある作品になっています。糸も大変に細く、苧麻の織物と見まがうような繊細でしなやかな作品です。

首里に行くとイトバショウの木は見ますが、芭蕉布を織った、織っているという話は聞いたことがありません。

イトバショウを育て、糸を採り、染めて織るのはあまりにも大変だからでしょう。喜如嘉から糸を買ったのでは

意味が無いですからね。

芭蕉布はかつて沖縄全土で織られていました。イトバショウの木を防風林代わりに家屋のまわりに植え、育ったら

お母さんが家族の為に織っていたんです。つまり沖縄の織物=芭蕉布なんです。芭蕉布をして野良着と言う言い方をする

人が居ますが、全く当たりません。今の綿やウールの様に一般庶民から高い身分の方まで、幅広くだれもに着られていた

素材、それが芭蕉布ということです。平成に入ってから、内地で芭蕉布に江戸小紋が染められた裃がみつかりました。

礼装=絹というのもよくある誤解です。季節にあった素材を普段も礼装も着用していたというのが正しい理解です。

首里織としての煮綛の芭蕉布、誰が再現してくれるのか、楽しみにしています。


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