お酒と自然_そして人間と動物

お酒と自然、そして人間と動物

人はお酒を醸造する唯一の生き物ですが、生きとし生けるものが暮らすこの地球ではその限りではありません。

この素晴らしき飲み物をたしなむ動物は沢山いて、このお酒って味気ない言い方をすれば、エチルアルコールといって、この分子は自然界には驚くほど広く分布しており、この地球だけではなく宇宙にも存在しています。

銀河系の中心にはエタノールの雲が渦巻いていて、ある試算によると度数100%のお酒が10の28乗リットルという途方もない量が存在するそうです。

ただし、水の分子はそれを遥かに上回る量が存在し、両方を合わせてしまうとアルコール度数が0.0005になってしまうので、これではお酒を語ることはできません。

冒頭にも紹介したように、この母なる地球には太鼓の昔から、糖をアルコールに変える酵母はそこら中にいて、具体的には恐竜時代の終わりに差し掛かる頃、花粉や種子を運ぶ動物を引き寄せようと花や果実を作る植物が誕生しました。

画像1

例えば、マレーシアのブルタムヤシ属のヤシの花は大型で、糖分が豊富な蜜を生み出し、この蜜は自家醸造ともいうべきメカニズムで発酵し、アルコール度数3.8%ほどの飲み物になるそうです。

これってビールほどのアルコール度数もないのですが、この素晴らしい森の恵みに心を奪われている生き物は実に多いのです。

ホエザルをはじめとした霊長類は比較的、アルコールを愛飲していますが、これは植物の生存戦略であり、発酵するコトで揮発性の高くて甘酸っぱい匂いを出して、生き物を呼び寄せ食べてもらいます。

種子を飲み込んだ動物たちによって森の広い範囲で分布していく。。。

この発酵しつつある糖は優秀な広告担当となり、花の利く果実好きの動物たちを栄養豊富な熟れた果実へと誘います。

これは動物にとっても栄養価の高い食べ物を得るメリットもあり人のお酒好きは、進化の翌朝に残った二日酔いのようなものなのかもしれません。

ただし、これは人類にとってメリットばかりではありませんでした。

肝臓がたまに自然発生するくらいのアルコールを処理している頃には問題にならなかったのですが、技術の発達により、アルコールがいつでも任意の量を作れるようになり、デメリットも孕むようになったのは最近のことです。

そもそも、このアルコールもその誘導体も基本的にはたいていの生き物にとって「有毒」です。

酵母がアルコールを産生するのにはワケがあって、ライバル微生物と居場所の奪い合いに勝つためだったと言われています。

この能力のおかげで生存競争で有利になったのはいいのですが、一定の濃度を超えるとアルコール自身にとっても有毒となり、自然界ではそれこそ、その作用が自然との調和であるものの、ビールやワインの醸造所ではしっかりとした対策をしなくてはなりません。

しかし、この毒物でありながらも、発酵飲料はどれでも酔えるだけではなく、我々の身体にとって栄養源にもなっています。

人間が狩猟する時代から定住する時代へ移行する動機にもなったであろうビールは特別な存在といって良いでしょう。

パンは別名「命の支え」ともいわれ、歴史的にも化学的にもパンと縁の深いビールは「液体のパン」と呼ばれてきました。

ご存知のように、この2つの現在は同じ穀物から作られることも多いので、切っても切れない関係といって良いのです。

次回は、このパンとビールと定住と貨幣経済の誕生について語りたいと思います。



この記事が参加している募集

私の仕事

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
note.user.nickname || note.user.urlname

よろしければサポート頂けましたら幸甚に存じます。

よろしければシェアいただけましたら幸甚に存じます。
78
地方で農業生産法人を起業、HACCP食品加工場、外食事業や宿泊施設、酒蔵、貿易、海外合弁会社、物流会社やデザイン事務所の経営をしてきましたが売却して、学校法人の経営や地方創生のファンドマネージャーしていました。現在は経験を生かしてキャリアコンサルに従事しています。

こちらでもピックアップされています

ビールを巡る旅 ~Beer's Trip~
ビールを巡る旅 ~Beer's Trip~
  • 3本

切っても切れない人類とビールとの関係。もはやビールとは普遍的な文化そのものといっても過言では無い。