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施設環境と被覆気象をハックする

圃場における微気象は土壌とそこに生育する作物や微生物の物理的、生理的特性に応じた熱収支の結果として形成されます。

保湿や防虫のためにトンネル栽培やビニールハウスなどで被覆をした場合、被覆資材の物理性に基づいて熱収支に変化が起こります。

そうすると保湿などのために資材で覆われた被覆内には独自の気象が形成されることになります。

そこで本書では、被覆方法によって変化する気象環境についてご紹介します。

ここでひとつのケースを想定してみましょう。

圃場をビニールフィルムなど被覆した場合、日中は日射の一部がフォルム面で反射または吸収されますが、大部分は通過します。

被覆された内側に到達する放射量は野外より若干ではありますが減少します。

しかし、同時に暖められた土壌や作物体からの放熱はフィルムによって抑えられることになります。

密閉された被覆の場合は換気に伴う放熱や水蒸気の放散が抑えられるために一般的に被覆された内側では野 外より高温、多湿で、無風の気象が形成されます。

このように被覆したことによって形成される気象環境の変化は被覆資材を介しての熱の流れの変化に基づくものでありますから被覆資材の種類と被覆の方法によって大きく異なることになります。

被覆資材には昔から使われていたコモやヨシズをはじめとして寒冷紗から各種のプラスティックフィルムやガラスなど、それらの原材料から見てもたくさんの種類があります。

そして資材の持つ短波放射や長波放射に対する光学的特性や熱的特性の違いによって被覆した内側の気象に及ぼす影響は異なります。
そこでまず被覆の方法にはどんなものがあるのかを考えてみたいと思います。

① 地面に密着したマルチ
② 一定の空間を持ったトンネル被覆
③ さらに大きい空間を被覆するビニールハウス
④ あるいはこれらを複合的に組み合わせた被覆

被覆方法による被覆下の受熱面積と放熱面積の割合や熱容量の違いは被覆下の気象に影善されることが多くなります。

施設環境について温度上昇の実態

ハウスやトンネルのように被覆された上に密閉された環境では日中に照射され続ける太陽光が入射するとともに急速に温度が上昇し、夕方日射が減衰すると急速に温度が低下します。

これは室内外で起こる熱の流れの変化によるものです。 日射はビニールなどの被覆面で一部は反射されますが大部分は透過して地面に達し、熱エネルギーに変換されて地表面を温めます。

地表面から起こる熱エネルギーはかなりの部分が蒸発や蒸散の潜熱に費やされます。
しかし一部は頭熱として地面に接する空気に伝達されてハウス内の気温を上昇させます。また残りは地中に 伝道して地温の上昇に使われます。

このようにしてハウス内に蓄えられた熱量は隙間からの換気と被覆素材を通した熱貫流と、被覆面からの放 射熱によって放熱しています。

日射の強い日中は放射量より樹熱量のほうが多いので室温の気温は上昇します。

しかし、日射が弱くなる夕方には放射量の方が多くなって温度が低下します。したがって夜間には放射のみとなるために急速に温度が低下することになるわけです。

夜間の冷却を防ぐ資材

夜間には日射による受熱がないために放熱が盛んとなります。したがって、地表面温度が地中より低くなるので日中の間に地中で蓄えられた熱が地表面に向かって流れてきます。

そして地表面に達した熱は放射熱や伝達によって室内に供給されます。

そのため夜間における放熱では地表面からの熱放射 (長波放射)に対する被覆資材の透過率が大きく影響するので保温の良否に関わってくるというわけです。

資材による放射熱、赤外線の透過率はガラスでは3m以上の透過はほとんどなく、最も保温性に優れています。

プラスティックフィルムでは塩化ビニールの透過率は比較的に小さいのですが、ポリエチレンは放射熱に対して、ほとんど透明で保温効果が小さいことが知られています。

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地方で農業生産法人を起業🚜、食品加工場、外食事業🍽、宿泊施設♨️、酒蔵🍶、海外合弁会社の経営をして現在は売却、学校法人の経営、PEファンドの運営やキャリアコンサルをしています😊

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