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ゴミゼロ実現のための 視点の切り替え

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私の経営していた農業生産法人が技術協力していた植物工場を展開されている会社では以前より、環境に関する関心が高かったこともあって、1つの工場が「ゴミゼロ工場」に挑戦することになりました。

トップダウンの目標ではなく、社員発信の目標で、社内でプロジェクトを立ち上げて、スキームを組みあげて工場の責任者に「ゴミゼロ工場を実現したい」という提案をしたところ、返ってきたのは「挑戦目標としては申し分ない。是非がんばってほしい。ただし、現場は日々の仕事だけでも大変なので過度の負担をかけないように配慮してほしい」という言葉でした。


ゴミゼロを達成するためには生産現場の人たちの協力が欠かせません。


ゴミの分別に関してもリサイクルのことを考えると、できるだけ細かくしたいところで すが、あまりに細かくやりすぎると「こんな面倒なことやっていられるか」という反発を受けることになります。

現場をよく知る責任者は過度の負担をかけることなく、みんなが楽しく参加できる活動にするように求めたというわけです。

たとえば生産活動から生じる廃棄物を別にして、分別ボックスの種類がこちらの植物工場では6つに分けけられていました。

内訳は可燃物用、ペットボトル用、空き缶用、空き瓶用、金属キャップ用、 紙用の6種類ですが、リサイクルを徹底してゴミゼロを目指すなら、この6種類では到底間に合いません。

「紙」ひとつとってもコピー用紙もあれば、新聞や雑誌、チラシ、段ボー ル、カーボン紙に感熱紙、紙コップなど種類はたくさんあります。

本当はこれらを細分化して指定したいところですが、あまりに細かく分けすぎると、今度は捨てる方が嫌になってきます。

あまりに分別、分別と押しつけると、社員の負担になりますし、さらに押しつけると感情的な反発を招く恐れもあります。

それではゴミゼロという目標そのものがダメになりかねません。

人は感情のいきものですから、そこを無視して 理屈だけで押し通そうとすると大きな反発があるものです。

そこの植物工場で「ゴミゼロチーム」が試みたのは分別ボックスに間違い易いものはロゴにしたり、一目見てそれとわかるような写真を貼ることで視認性を上げる工夫をした上で、それでも「どのボックスに入れていいかわからない」という場合には「?」と大きく書かれたボックスに捨ててもらうようにしました。

そのうえで「?」ボックスに入っていたものをチームのメンバーが調べて、「これはこちら」というようにナレッジを積み上げて、これも絵や写真でわかるようにしました。

忙しい中で細かいルールを見て、「これはこっち、あれはそっち」と分別するのは難しいものですが、絵や写真で例示してもらえば、即座に判断がつきます。

それでもわからない時には「?」ボックスへという判断のしやすさを提供したことで、社員の協力も得られるようになり、スタートから数週間後にはついに分別間違いがゼロになりました。

この植物工場の分別そのものは誇れるレベルになり、「ゴミ」として廃棄するものは格段 に減ったものの、わたしにはどうしても気になることがありました。

そこで、この植物工場のゴミゼロチームに、「もっと簡単にゴミゼロを達成する方法がありますが挑戦してみませんか?」 と聞いてみました。

すると、メンバーが首をかしげていましたが、たたみかけるようにわたしはこういいました。。

「ゴミを出さなければ、ゴミゼロになります。そもそもなぜゴミが出るのか原因を調べてみましたか」


ゴミを分類すれば、「出口のゴミ」と「入口のゴミ」の2種類になります。


生産活動から生まれるゴミもあれば、事務所などから出るゴミもあり、これらをどう分別し、どうリサイクルするかでゴミゼロができるかどうかは決まってきます。

いわば、ゴミの分別をどこまで徹底するかです。

しかし、そもそも出るゴミを圧倒的に減らすことができれば、ゴミの分別もリサイクルも手間が減るのです。

それまで「どうしてこんなにたくさんのゴミが出るんだ」と愚痴をいうことはあっても、ゴミの出る理由についてアグリハックで常に問う、「なぜ」を問いかけることはなかったのです。

この植物工場のゴミゼロチームは「なぜゴミが出るのか」の原因を探るべく、徹底した調査を開始しました。

まず、この植物工場は生産のために相当数の原材料を購入していました。

そのすべてが包装され、梱包されて納品されますが、必要な原料や部品、部材を取り出した後はそのほとんどはゴミになります。

これまでは出るゴミの分別やリサイクルに夢中でしたが、原因を遡って いくと分別するゴミの中には「お金を出して買っている」ものがたくさんあることに気づきました。

言い換えてみると、お金を出してゴミを買い、そのゴミの分別やリサイクルには人とコストをかけているということです。

もちろん取引先に悪意があるわけではありません。

しかし、本気でゴミゼロを目指すなら、「お金を出してわざわざゴミを買っている」と考えることで、「どうすれば入口のゴミを減らせるか」と対策を練るべきです。

ゴミゼロチームは協力会社や生産部門と話し合いながら、ムダな包装の簡素化、リサイクルしやすい材料への変更、何度も使える容器の導入などの改善をひとつずつ進めていきました。

こうした活動は当初、協力会社にも生産部門にも「面倒だ」と思われましたが、実際にやってみると両社の利益につながり、生産部門の人間にとっても包装を解くというムダな作業から解放され、生産性の向上はもちろん植物工場の汚れ防止にもなりました。

徹底した分別と、入口のゴミを減らす活動を両方進めるようになって以来、この植物工場のゴミゼロ活動はすっかり軌道に乗り始め、やがて目標だったゴミゼロを達成しました。

「ゴミゼロ」というのは困難という以上にやる側の手間や負担から厄介な課題といえますが、そんな厄介な課題に対しても「なぜ」と問いかけることで 解決の糸口が見えてくるのです。

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