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『インフル病みのペトロフ家』セレブレンニコフ監督から日本の観客へのメッセージ2022/4/22

インフル病みのペトロフ家』が明日4/23(土)公開となるキリル・セレブレンニコフ監督。
今週4/20(水)にキリル・セレブレンニコフ監督から日本の観客へのメッセージが届きました。監督は今ベルリンにいます。ロシアを出てからメディアの取材申し込みが絶えず、つい先日には新作『チャイコフスキーの妻』がカンヌ国際映画祭コンペティション部門に選ばれてさらに注目を集める中で、日本向けにメッセージをくださった監督にとても感謝しています。

監督メッセージ||||
今、私たちは、私の国がウクライナに対して始めた戦争に関する恐ろしいニュースを毎日のように目にしています。ロシアの砲弾は、ウクライナの街々を破壊し、市民たちを殺しているのです。ロシア出身の映画監督として、私は、今の状況にひどく心を痛めています。なぜこんなことが起こり得たのか、理解できるものではありません。
しかし同時に、私は繰り返し伝えたいのです。ウクライナを攻撃したのはプーシキンやトルストイやチャイコフスキーやブロツキーではないということです。ロシア人である私が、今起きていることへの責任を免れるとは思いませんが、それでもロシア文化の排除は受け入れ難いものです。
私たちの映画『インフル病みのペトロフ家』についてお話しするならば、これは、この戦争の前、そしてパンデミックの前に撮った作品です。しかし、この映画からはすでに、今や完全に狂ってしまったこの世界の狂気(マッドネス)が感じられるでしょう。皆さんが、私たちが作った映画を見に来てくださることにとても感謝しています。
-----------------------4月20日 キリル・セレブレンニコフ ベルリンにて

 プーシキン、トルストイ、ブロツキーはもちろんロシアの文学者、チャイコフスキーはもちろんロシアの作曲家です。映画ファンにとっては、タルコフスキー、ソクーロフ、ズヴャギンツェフと変えることもできるでしょう。このメッセージからは、前回お知らせしたフランスのテレビ局の取材での「戦争が起きている今、ロシアの映画や製品、アーティストを見れば、ウクライナの人たちは「ソフトパワー」だと捉えるでしょう。それは理解できますし、受け入れます。しかしそれでも、文化やアーティストをボイコットするのは正しいやり方ではありません。文化は人々をつなげるための第一の、そして最後の突破口であるべきだからです。国籍のために何かを中止するという間違いを人類はすでに経験してきたと思います」という発言にも共通するセレブレンニコフ監督の胸の内が伝わってきます。

『インフル病みのペトロフ家』は明日4/23(土)いよいよシアター・イメージフォーラムでの公開が始まります。ぜひご来場ください!

>>3/2(水)投稿のキャストたちによる反戦声明はこちら
>>4/4(月)投稿のスタッフ・キャストの近況「ウクライナ侵攻を受けて」はこちら
>>4/15(金)投稿の監督の近況「カンヌ映画祭コンペ決定、そしてウクライナについて。」はこちら

最終版ポスタービジュアル

4/23公開『インフル病みのペトロフ家』公式サイト

■『インフル病みのペトロフ家』Twitter