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『ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記』vol.2

10月3日より元町映画館で公開される映画『ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記』に向けた特集記事、第二弾です!

こんにちは、映画チア部(ほの)です。映画とは全然関係がないのですが、自粛期間中にDMM英会話を始めました。そこで先日あるセルビア人の先生からめちゃくちゃに叱られました。

というのも、先生に日本の祭りについて聞かれたのですが、お祭りの名前は出てくるけれど、それが何のためのお祭りなのか全く答えることができませんでした。

最終的にその先生から「自分の国の文化もよく理解していないのに、なんで英語を勉強する必要があるの?まず自分の国のことを勉強したら?」とお叱りを受けました。あの時はおっしゃる通り過ぎて、ぐうの音も出なかった……。

自分も含め、日本人ってすごく日本にプライド持ってる人種だと思うんですけど、日本のことをきちんと理解している人って少ない気がします。

沖縄に関しても、普天間基地、辺野古基地、オスプレイなどなど単語は知っていても結局それが何なのか、なぜ問題となっているのか、日本で起きている問題にもかかわらず理解しようとする人はごくわずかではないでしょうか。

自分の国について勉強しろと喝を入れられた上に、この映画を見ると沖縄のことを知らなさすぎて「私って日本についてほんまに何も知らんやん」とダブルパンチでショックを受けました。

でも今では、日本について改めて考える必要性を感じさせてくれたこの作品にすごく感謝をしています。皆さんにもぜひこの作品を通して日本について考える機会を設けて欲しいと思います。


あらすじ

沖縄・那覇市にあるフリースクール・珊瑚舎スコーレ

10才の子供から70歳を越える高齢者まで様々な世代の方が学ぶ学校に、ある日、15才の少女がやって来た。

彼女の名前は坂本菜の花さん。

本州から、とある理由でやってきた彼女は、沖縄の過去と今を学び、純粋な言葉で思いを綴っていく……。

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「ちむぐりさ」ってどういう意味?

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沖縄の言葉で誰かの心の痛みを自分の悲しみとして一緒に胸を痛めること。

字面だけ見ると、それって同情するのと何が違うの?と思う人もいるかもしれません。その違いはこの映画を見終わった後に理解できます。

私がこの映画を見終えて一番最初に感じたのは「苦しい」という感情でした。沖縄が描かれた映画を見て「沖縄の人って可哀想」と感じれば、それは単なる同情に過ぎません。

しかし、この作品は『ちむぐりさ』という言葉が、作品全体を通してうまく表現されているからこそ、ただ同情するのではなく、誰かの心の痛みを自分の悲しみとして「苦しい」と感じることができたんだと思います。

沖縄の人々が、どれだけ理不尽なことを強いられているか、それでも必死に抵抗する姿を見ると胸が張り裂けそうでした。


「うちなーんちゅ、うしぇーてぃないびらんどー」

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この言葉は2015年に翁長知事が県民大会で発したもの。
意味は「沖縄の人をないがしろにするな」

この言葉を叫ぶ翁長知事の目は、本土に対しての敵意に満ちているようでした。その姿を見た私は、自分が沖縄は本土とは関係のない、言ってしまえば異国の地だと無意識に差別していたことに気付き、なぜ自分の国での問題を今まで考えようとしなかったのか自分を情けなく思いました。

今アメリカでの黒人差別問題で black lives matterというスローガンが日本でも広がっていますが、他国の問題を連日ニュースで取り上げて異議を唱えるくせに(日本人が黒人差別について考えなくていいというわけではないですが)、本国に住む沖縄の人が必死に「自分たちをないがしろにするな!」と訴えても伝わらないなんて、それこそ本末転倒なのではないでしょうか。


監督インタビュー②

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前回に引き続き、インタビューを紹介します!監督の平良いずみさんは沖縄テレビ放送のアナウンサーとしてもご活躍されています。

Q. 平良さんが本土でこの映画を見る人に伝えたいことは何ですか? 

A. 一番は対岸の火事じゃないんだよっていうこと。沖縄にいるとよく日本が見えると言われますけど、県民投票で7割の人が辺野古埋め立てに反対の民意を明確に示すんですよね。みんなそれぞれ心を砕きながら、それでも思いを託して一票を投じる、それがこんなにも軽んじられる社会って危ういですよって、それは沖縄だけの問題じゃないですよっていうことをこの国の人たちが少しでも気付けば、もう少しこの国は良くなるんじゃないかなというところですよね。だから決して沖縄だけの問題じゃないということにも、思いを馳せて欲しいなと思います。


Q. コロナで本土の上映が延期になったりしましたが、コロナを経て何か思うことはありますか?

A. やっぱり人と会えないことがこんなにも苦痛なんだとみなさんが体感されたと思うんですよね。だから人は人の中で生かされている、で、この「ちむぐりさ」っていう言葉が、小さな島で人と共存していかないと生きていけない、そういう沖縄の人たちの文化の積み重ねの中で生まれてきたので「ちむぐりさ」の言葉の重みだったり、感情の重みっていうのがより増していると思います。

あとは目を転じてみると黒人差別が世界的に今クローズアップされてますけど、この作品の中でも全てに流れているのはどこかで差別、差別ってとても言葉が強いですけど、(沖縄を)差別していることに気付いてっていうことを菜の花ちゃんが外から来た人間として本土と沖縄の関係っていうのを自分の中で考えながら、潜在的な差別意識っていうものが今の沖縄を表しているんじゃないかっていうことに気付いていくんですよね。

黒人差別もそうだけど、じゃあ自分が生きている日本という国で差別はないのか、小さな島の沖縄でも差別はあります。絶対自分の中に差別意識がない人なんていないと思います。でもその芽を摘む、自分が差別しているっていうことに気付いて、行動を改善していくと社会が少しずつ良くなっていくと思うので、そういう意味でもこのタイミングで届けられたのは逆に良かったのかなと思います。


さて、いかがだったでしょうか?

終始、平良いずみ監督が「若い人々に届いて欲しい」と強く訴えていました。私も自分と同じような若者に届いて欲しいと思います。正直なところ映画チア部のメンバーとしてインタビューをさせて頂いてなければ、この映画を知ることも沖縄のことを考える機会もなかったかもしれません。この映画を見て、自分だけではなく多くの人に改めて自分たちが住んでいるこの国について考えてもらいたいと感じました。

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『ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記』は、10月3日より元町映画館で2週間限定上映。

現在「超!学割シネマ」キャンペーン実施中のため、学生は学生証を提示すれば500円でこの作品が見れちゃいます。

ぜひ、興味を持った方は映画館に足を運んでみてください!

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