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「結婚できない男」シーズン1鑑賞記録

いつ頃からだったか、ドラマ「結婚できない男」を観始めた。観ようと思ったきっかけは三四郎のラジオかもしれない。桑野みたいな偏屈リスナーからの投稿コーナーがあり、それでこのドラマに興味を持った。そしたら丁度NETFLIXに配信されていたので手を出してみた。

全12話、1話あたり約45分。ちょっとずつ桑野という男の生態が明らかになり、その偏屈っぷりが露わになっていく。でもやっぱりどこか憎めない人である。「結婚できない男」とあるものの、一応桑野は3人の女性に囲まれている。お隣さん、職場、かかりつけの病院、それぞれに魅力的な女性が登場する。そして、このドラマ、桑野だけが偏屈だと思っていたら、実はこの女性陣にも相当偏屈と言うか、こじれた人物も登場している。

桑野は口では人が嫌い風なことを言っていて、皮肉たっぷりの言葉を吐き出したりもするが、実は単に人とのコミュニケーションが上手くないだけで、根底には人への興味関心がしっかりありそうなのだ。そして本当は優しい。まあでもその優しさを打ち消すほどの偏屈っぷりではあるけれど。大概の人間はその偏屈っぷりに呆れてあまり踏み込まないようにしているように思える。一方、桑野のかかりつけの夏美先生は人当りもよくて社交性もあり、一見そんな偏屈そうには見えない。でも、多分、この人もまた偏屈である。

というのも、夏美先生は桑野に好意を抱いておきながら、自分でそれを認めようとしない。この話、どこかで…と思ったら「愛がなんだ」でも同じようなことあった気がする。自分で自分の感情を否定し続けると、分からなくなってしまう。そうして自分がそうしたかったのか、相手がそうしてほしかったのか、ごちゃごちゃになってきて、最終的に自分のためじゃなくて誰かのためだと自分に言い訳することで自分が被るダメージを最小限に抑える。こんな感じのプロセスを恐らく無意識にしてしまうようになる。だから夏美先生も自分の好きを否定して、色んな言い訳をして、自分が傷つかないように無意識に防御している。このドラマ、結婚できない男だけじゃなくて結婚できない女も描いているところが秀逸だな。序盤は単なる偏屈な男のコメディかと思って観ていたけれども、桑野から派生して色々と話が広がる。そしてだからこその最終話の最高潮がたまらない。夏美先生が自分の気持ちと向き合っていく姿もこのドラマの見どころだろう。

恋愛が下手な大人たちのやりとり、刺さる人には刺さりまくる話だ。自分も恋愛下手だし、大人と言うほどまだ大人ではないものの、とても共感を持ちながら観ていた。本当の孤独に追いやられる前に、恋愛関係に限らず人間関係を見直し、大切にしたいものは大切にしようと思う今日この頃だ。桑野ほど魅力的な人物ではないだけに、まずは人に対して誠実と感謝の気持ちは忘れたくないものだ。

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