見出し画像

なぜやまない!イスラエルのガザ攻撃。反植民地主義VS対テロ戦争

イスラエルのガザ攻撃は止まりません。

国際社会の批判も無視して、ひたすら自分の正義で戦争を続けるイスラエル。
そのイスラエルを米国やドイツをはじめとする欧州諸国は一貫して支持しています。その背景には何があるのでしょうか?
探ってみましょう!

これまで中東戦争はアラブの大義VSユダヤの大義という枠組みで語られてきました。

しかし、現在ガザを攻撃するイスラエルの徹底した軍事作戦の背景には、20年以上前から続く「対テロ戦争」の論理があると指摘されています。


2001年の米国での同時多発テロ事件をきっかけに米国を中心にした諸国が始めたのが「対テロ戦争」でした。
特徴は、テロを撲滅するためには国際法からの逸脱も辞さない姿勢でした。

実際アメリカはアフガニスタンを空爆したり、イラクに侵攻して多くの民間人を殺しました。

批判されても悪いのはテロリストだと正当化して国際法のレジームを大きく傷つけました。


イスラエルが「和平か、テロ対策か」という岐路でテロ封じにかじを切ったのはシャロン政権(2001年3月から06年4月)でした。

01年9月に米同時多発テロが起きた後、世界的潮流になった「対テロ戦争」の論理をパレスティナに適用したのです。



ネタニエフ首相は7月の米議会演説で「文明と野蛮の衝突」と主張しました。
シャロン元首相の路線を継承しているようです。

「対テロ戦争」の根底には、相手がテロリストだろうと民間人だろうと区別しないという部分があります。

今回のガザ攻撃でも、空爆すれば当然民間人だって命を落とします。
「対テロ戦争」と言いながら、結局やっていることは、見せしめ的なパレスティナの集団殺戮という形になっています。




これに対して、今グローバルサウス(新興・途上国)の国々にイスラエル批判が広がっていますが、その根底にあるのは反植民地主義です。

反植民地主義とは、ある地域が強国に植民地化されることに反対する立場です。
植民政策の中に潜む、住民に対する人種差別的な排除にも反対します。


ガザ地区を含むパレスティナの被占領地域では、1967年以来、イスラエルによる違法な占領が続いています。
イスラエルは国際的に批判されているにもかかわらずユダヤ人入植地を拡大しています。

パレスティナ人の人権はまったく無視され、生存そのものが脅かされています。
これはかつての南アフリカのアパルトヘイトと酷似しています。




先進国でも、植民地主義は20世紀に克服されたはずだと思っている人々の間に、イスラエルがやっていることを見逃すことはできないとの思いは広がっています。

しかし、イスラエルがガザ侵攻の目的にテロリストの撲滅を掲げたことで、米国や欧州の主要国はイスラエルの主張を否定できず、イスラエルが進めるグローバルな思想戦の泥沼に引きずり込まれた状況になっています。🥺

そして、ロシアのウクライナ侵攻は批判するのに、ガザへのイスラエルの攻撃は支持するという米国や欧州主要国の姿勢が「ダブルスタンダード(二重基準)」だと批判されています。


米国の規範的な威信は低下しています。
シンガポールの政府系研究機関「ISEASユソフ・イシャク研究所」が、東南アジア諸国連合(ASEAN)に加盟する10カ国で行った世論調査で、「もし選ぶとしたら、ASEANは米国と中国のどちらにつくべきか」との質問に対して今年初めて中国(50.5%)との回答が米国(49.5%)を上回りました。




かつてヒトラーのナチスドイツがユダヤ人を絶滅させようとしたように、パレスティナ人を社会から暴力的に排除しようとするイスラエル。

「欧米と同じ事をしているだけ」といって居直るイスラエルを米国や欧州諸国が支持しないことが、イスラエルを正気にもどす第一歩だと思います。



参考資料





執筆者、ゆこりん

いいなと思ったら応援しよう!