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プロレス者だけど「極悪女王」を観ようと思わない理由


 話題沸騰のNETFLIX(以下、ネトフリ)作品「極悪女王」。

 プロレスファンがこれを機にネトフリ加入をしようという声も聞こえます。 が、私は見ないつもりです。 理由は、

「加入する金が無いから」

という身も蓋も無いコトが第一の理由ですが、もうひとつの理由が、

「ドラマはリアルを超えないから」

と思っているからです。


 もう皆様御存知とは思いますが「プロレス」とは体を張ったエンターテイメントであり、実際のリング上で行われているものが極上の作品なので、どんなに上手い役者が演じたり配役が絶妙だとしても、実在するレスラーがモデルという時点で「モノマネ」に過ぎないと私には見えるのです。

 勿論、出演にあたり肉体改造をしたりモデルのレスラーの所作を研究しまくった役者さんの努力は素直にリスペクトなのですが、YouTubeで当時の試合を見られる今となってはそれを見た方が素直に愉しめるかなぁ、と。

 また、この作品ではプロレスの “裏側” を描いているそうですが、それならば実際のレスラーを追ったドキュメント作品、

 「Wrestling with Shadows」や、


 「Beyond the Mat」という名作が有るので、それを観れば良いかと。


 更に、日本プロレス界の “裏側” を描いたメジャー作品は「極悪女王」が初めてなのですが、それでも観ようと思わないのは、プロインタビュアーの吉田豪さんやノンフィクション作家の柳澤健さんが、に書いたりイベントで話したりといったコトを既にやられているので、粗方知っているのですよ。 “裏側” を。

 本ならばこれらを読めば大体カバーできるので。


 そして、プロレスの “仕組み” を説明する際、みんな様々な言葉を用いていたりしていますが、私が説明するコトが有るならその答えはいたってシンプル

 2008年にヒットしたミッキー・ローク主演の映画「レスラー」。 

80年代に全米一の人気を誇ったプロレスラーのランディ・ロビンソン。しかし今では人気も肉体も衰え、スーパーマーケットのバイトで生活費を稼ぎながら、地方興行で細々と現役を続けるほど落ちぶれていた。唯一の身内である娘ステファニーとも絶縁状態にある彼にとって、場末のクラブで踊るストリッパー、キャシディと過ごす時間だけが安らぎだった。ところがある日ランディは心臓発作で倒れ、医師から引退を勧告されてしまう。

洋画専門チャンネル「ザ・シネマ」 より引用)

 コチラは架空のストーリーで、プロレス映画ならモデルのレスラーがいないオリジナルストーリーの方が好きです。 で、この映画の終盤、ミッキー・ローク演じるランディが心臓発作の危険を承知でリングに上がるのですが、かつてのライバルと試合前に交わした言葉。

「今日の試合どうする?」
「俺が悪玉、おまえが善玉。 それで充分だ」

 これ以上にプロレスというものをシンプル且つ明瞭に示した言葉は無いと、私は思っているので。

 まだこの映画を観ていない方は是非。 オススメします。
 ただし、私のような “ダメ人間属性” をお持ちの方は、ランディと自分が重なりまくって落ち込む可能性が有るので、ご注意を。


 そんなワケで貧乏な私は今回もネトフリには入らないのです。 が、

 コレは観たい! なので結局、加入しようかどうか迷っているのでした(涙)。



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