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どうしたって、自分の人生は隠せない

演劇で役をつくっていく時は

まず脚本の全体像をイメージして、自分の役が与えられた役割を考える。
その後、シーンごとの役割を考えて、
自分の演技の方向性を決める。

例えば・・

この人は本当は病んでて狂気を抱えているけど、
最初から最後までそれを全面に出したら
観てる人は飽きてしまう。
だから、最初はあえて明るくふつうの人に見せかけておいて
少しずつ狂気を見せる。
お客さんがオヤ?と思い出したぐらいから、
たたみかけるように狂気をさらけ出して行って、
最後は穏やかに終わる。

みたいな感じで、どう見せたいか構成を考えます。

そこに、自分の感情を当てはめていく練習をする。

私は役を考えるとき、必ずこの方法をとっていて
それが当たり前だと思っていました。

でも、あるとき

「君はいつも演出家目線で、役者じゃない」

と言われたのです。

その人いわく、役者は考えるものではない、感じるものだと。

自分を、ただ舞台の上にのせるだけでいい。

どう見られるか、見せたいかではなく
自分の心と体がどう感じて、どのように動いていくのか
そのまま自然にゆだねるのが役者なんだ、と。

私は、その考えが100%正しいとは思っていないんですが

確かに、役者は「考える」のではなく「感じる」ものなのかもしれない
とも思いました。

「こういうふうに見せたい」という考えは、時に観ている人にものすごく伝わってしまうことがあります。

つい最近、客席側でまさにこの経験をしました。

小劇場の舞台に、ふだんはプロで活躍されている役者さんが
たまたま出ていたのです。

その人は、たぶん演出家目線がすごく強くて、
テクニックもあって上手だから、
自分がどういうふうに表現すれば、効果的に伝わるのか
それを熟知している人でした。

でも、稽古が十分足りていなかったのか、
感情や中身がそこに追いついていなかった。

だから、技術的なところばかりが見えてしまって、
ずーっと
「あ、今こう見せたいんだな」
と、分析しながら観てしまいました。

一度そういう目線で演劇を見てしまうと、
演技の勉強という面ではおもしろいんだけど
純粋に舞台を楽しむことはできなくなってしまいます。

どういうふうに見せたいか、ということは考える必要があると思うけど
そこに自分の心がともなっていないと、
ただのプレゼンになるかも、と思いました。

「私今こう見せたいんです!」

「この脚本、私たちはこういうふうに捉えました!考えました!」

っていう、長〜いプレゼン。

確かに、そんなの見せられても楽しくない。

だから、演出家目線はホドホドに、ちゃんと感じられる役者になりたいと
思ったのがつい最近。

でも、よく思い返してみれば

全体を分析して、どう見られるか考えて動くのは

自分の感情よりも、人からどのポジションを求めてられているか察知して動くのは

演劇に始まったことではありませんでした。

友達に、

「人は自分がどう感じたか、瞬時に分かるものなんだよ。
しばらく経ってから、自分は嬉しかったのかな、とか怒ってたのかな、とか
考えるんじゃなくて、
感情はその場で起こるもの」

と言われたことがあって、

そうなのか!!と膝を打つのと同時に

あ、これ演劇で言われたこととおなじだ、と思いました。

私は、その場で

「嬉しい」とか「むかつく」とか思わないことがほとんどです。

いつも感情はプレーンな感じで、

褒められたりプレゼントをもらっても
まず「あ、どうやってお礼を表現したらこの人は喜んでくれるかな?」
というのが頭に浮かぶし

後から考えたらひどいなあと思うこと。
例えば、約束をドタキャンされるとか
後で送ると言われたメールが全然来ないとか
そういうことがあっても、
「全然気にしてないよ〜って返すべきか??それとも、怒ってる風に連絡すべきなのか??」
というのが第一優先になります。

1週間くらいたって、

あの時、あの人に褒められたのってすごい嬉しかったかも!!

とか

え、当日に約束キャンセルするってひどくない??

とか、感情がふつふつとやってきます。

嬉しい感情は後から来てもいいんだけど
怒りが時間差でやってきても、
相手はとっくに覚えてない。

しかも、その時は「いいよいいよ〜」なんて許してるものだから
今更怒っても、私がすごいめんどくさい&ネチネチしたやつになってしまう!

なんであの時ちゃんと怒りに気付かなかったの!!

・・と、相手に怒りをぶつけるのではなく、自分反省会になって
悩ましいので
できれば、感情にはその場で気づきたい。

日常で自分の感情に気づかなければ、舞台上で、自分の感情を動かすこともできないと思う。

このマガジンの一番最初に書いたコラムで
人生で1番しあわせな瞬間は、舞台の上の出来事でした
っていうのがあります。

舞台上で、しあわせという感情が溢れてとまらなかった時のお話。

たぶん、この時、
初めて舞台の上で、自分の感情が生まれたんです。

じゃあそれまではなんだったんだって感じですが、
今までもまったく感情がなかったわけではなく。

ただ、起きたことに対して素直に心が反応して、
それを感じることができたのは初めてでした。

感情って目に見えないから、
みんな、自分の感じ方が一般的というか、ふつうだと思っているんじゃないかと思うけど

私も、感情の流れはみんな自分と同じものと思っていました。


でも、人と話すうち
本を読むうち、

感情はその場で生まれるのがナチュラルなのかも・・

と思うようになったので、

今はなるべく、
瞬間ごとに生まれる感情に気づこうと思って
日々を生きています。

そうしたら、あの時舞台上でしあわせという気持ちを感じられたように、
どんどん演技でも心が動いていくんじゃないかなあと。

演技って、
人を欺くとか、
ごまかす、嘘をつくって意味で使われることもありますが
やっぱり、自分の人生はどうしたって隠せないし、
避けられないです。

演技しようと思えば思うほど、自分を見せつけられる気がする。

という考えに最近は至ったため、
今はドラマセラピーにちょっと興味があったり。

でもこのお話はまた今度。



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ホテルのマーケティングを中心に、個人でお仕事をしています。うつ病やストレスが原因の体調不良の経験から、休み方が分からない方へお休みの方法をご紹介するメディア「休もう。」を運営しています。https://yasumou.com/ その他:30歳からチェロを弾いています。