最高の1日(子供の日✖️シロクマ文芸部)
子供の日。
カラフルなレーザーライト。
耳打ちされる。へぼいDJの狙いすぎたミュージック。
今日のバンクーバーの気温は14度。
少し寒かった。
でも今はちょっと暑いくらい。
お腹を出した服は攻めすぎたと、毎回思う。
中央ステージの大画面ディスプレイには「子供の日」と、黄色い文字が踊っている。
ステージの裏で隠れて吸っている誰かのマリファナの煙が、子供の日の文字にかかって、何かの形を成そうとあぐねているように見えた。
今日のステージを演出した人間も狙いすぎて寒い。
子供の日に、大人たちがクラブで酒を飲んで踊り明かして、言葉少なく、騒いで。
自分たちは『Bad kid』だと自己陶酔。
黒光りしたフロアから動悸みたいに突き上げる重音。
私は眩暈を感じた。
「平気?あんたってとろいから心配なの」
自然を装って肩に置かれた手をよかして微笑み返してみる。
やっぱり来るのではなかった。
誰かといるといつも罪悪感を感じる。
けれども、1人でいると繋がりを求める。
明日はどこへ、生きようか。
人との出会いは素晴らしいと思う反面、何度交流を持とうと、平気で薄れていく人間の繋がりに薄情な雪解けを思う。
そう。雪だるまを作りながら、春を夢見るように。
誰かと肩がぶつかった。
「君綺麗だね、なんか飲む?」
私は音に合わせて踊る。
こんなに悲しい日って、滅多にない。
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