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経営企画の意外な戦略!新部署設立を使ったM&A実践(前)訓練の6ヶ月の記録【前編】

こんにちは、株式会社マイベストCSO(最高戦略責任者)の岸本です。実は4月から今月までの6ヶ月、経営企画ではなく”事業推進部”という新部署を立ち上げ、部長として牽引していました。
10月から経営企画部に戻りますが(事業推進部は部署として残りますが部長は交代)、8月に株式会社GENDAの羽原さんと実施した「戦略としてのM&Aをどう考える? ー GENDA×マイベストCSO対談!ー」でも好評だった”M&Aの準備として、社内の横断PJを活用する”という取り組みを、本noteでご紹介したいと思います。もしこんなに本気でM&Aを考えてるマイベストと一緒になら今よりもっと面白い方ができそう!と思ってくれた企業様はぜひご連絡ください!(PR)

そもそも”事業推進部”ってなに?

もちろん日々、特に年末年始からいろんな議論をしていたのですが、3月に半期振り返り/4月から下期向けてどうしていくか?という時、下記のようにまとまり、新部署設立が決まりました。
・【変わらない基本戦略】「選択肢のデータベース」が価値の源泉であり、この制作コストが下がる&創出売上が上がる=創造する価値(いわゆるバリュースティック)を”拡大し続ける”ことが重要
・【継続すべきコアコンピタンス】根本的に磨きつづける強みは「オペレーショナルエクセレンス」である
・それを担う独立部署として新部署を設立し、エンジニア、PdMも含めた全社横断で人を集約、岸本が完全異動&専任として立ち上げることで会社の注力意志も伝わりやすい【新規施策】
・それができれば、M&A等の新しい取り組みも積み上げやすくなるはず【未来施策】

具体的メンバーとして、事業推進部は、1.もともとコンテンツ部内部所属のオペレーション改善のチーム、2.プロダクト部所属の商品データベース設計/データ入力のチーム、3.経営企画の中のアライアンスを担うチームを統合した形になりました。エンジニアは所属こそ開発部という別部署所属でしたが、実働としては現場に一緒に動き、ワンチームでうごくような形です。事業のコアである選択のデータベースづくりを更に進化するため、全社視点であることはもちろん、市場のあらゆる手段を選択肢とした解決を目指し、このような部署横断で人を集めた組成としました。

M&A実践(前)訓練って?どういうこと?

社内の新部署設立とM&A、一見すると関係なさそうなこの2つがどうしてつながるのか?読者の方は疑問に思ったことでしょう。
この2つをつなぐのが、M&Aにおける「PMI(Post-Merger Integration)」という活動です。詳しくはNRIさんのこの記事などがわかりやすいですし、そのほかにもいろんな記事/本があるので見てもらえればとおもうのですが。PMIはM&Aの実行時、その成否を決めるとても大きな要素だといわれておりますし、岸本の過去の経験上も最も強く実感していることでもあります。
しかし、PMIがそれだけ重要と言われつつも、その成否のためのノウハウは当然ながら「やらなければわからないもの」とされることが多く、特にマイベストのような「M&A未経験の会社」においては、「やってみて出たとこ勝負」になりがちです。岸本はそのリスクを軽減したい、と思い、今回、「PMIプロセスを応用したPJ進行」を意識し、何より自分自身が一番学び/応用できる形で経営企画に戻ろう、というのを決めて、事業推進部長としてのDAY1を迎えました。

今回応用するうえで重要視したのは「何を統合対象とするのかのレイヤ分け」と「実態としての認識/動きの統合度合い」です。というのも、
・「異部署メンバー統合による新規付加価値の創造」と捉えれば、業務統合部分~マネジメントフレームレイヤの実践訓練としては十分よい土台。特に今回は職種がばらばらかつ、オペレーションのチームでは数十名のアルバイトさんや、他のチームも業務委託を個々のチーム別に管理しており、全体を俯瞰して整理する余地が大きそう。
・もちろん同じ会社組織に属しているので、形式的には統合されている要素も多いが、実態上の認識/動きのレベルには差があるはず。
・むしろ共通部分の多い「部署間の統合で解像度高く、すべてのレイヤにおける差異を認識し、高いレベルで統合する」ということが、今後のM&Aを見据えたPMIの実践訓練には重要
と考えたからです。自分の過去のM&Aを振り返ると、どれも必ずPMIプランとして丁寧な資料、pj計画がありましたが、最後重要なのは「差異認識の解像度」だと実感しています。これは常に必ず細やかに見極め対応すべき、という意味ではなく、荒いなら荒いなりのやり方を選択し、細やかにできるからこそできることがある、という意味で、訓練として磨くべきポイントである、という考えです。

PMI100日プランを、6ヶ月プランに調整

おそらくM&A経験者の方や、PMIを実施したことある方なら「100日プランを応用して実行したのかな」と思われたことでしょう。すいません、初っ端から、100日では設計しませんでした。というのも
・100日プランの”100日”は上場企業でQ単位の発信を前提とした株主への説明スパンを考えた時の設計であり、本来の目的としては「期限内で明確な成果を上げてステークホルダーの信頼関係構築する」が重要。それさえできれば期間は柔軟性のある設計が可能との理解をしていたこと。
・組織編成決定が4月直前になってしまい計画に十分な時間が取れなかった&5月に新入社員配属が決まっており、最初2ヶ月はどうしても模索の期間となることがわかっていた。
・岸本はマイベスト社内では経営企画としての接点しかなく、事業部の執行現場における実力が未知数であること(余談ですが、初日に”顔合わせMTG”をセットするくらいの距離感でした。一緒に仕事した経験があるのは元経営企画の1名のみ。全社会など一方通行で話する会合や、社内交流会的な場以外では、ほぼはじめましてという感じ。)
・全社が半期ごとのサイクルで動いている
といったことを理由に、6ヶ月分月次テーマを定義し、上記の顔合わせMTGで宣言、その後各社員とアルバイトさん全員に、1on1で最初に「OKR」と「こういう計画で進めます」という6ヶ月プランを宣言しました。それが以下です。

  • OKR

    • ユーザーがまた見たいと思う、独自の価値を持つ商品データベースをつくる(&KR3つ)

  • 6ヶ月プラン

    • 4月:実行模索と調整

    • 5月:体系的実行(+新人3人)

    • 6月:振り返りと訂正

    • 7月:想定効果の発現 ★最重要

    • 8月:進化

    • 9月:安定的拡大

KRは内部管理数字が出てしまうのでここでは割愛しますが、1.制作コスト逓減、2.売上増につながるもの、3.その双方管理レベルの向上、の3つを指標化し定義しました。6ヶ月プランの中身としてもちろんもっと詳細かされたアクションロードマップはありつつ、全員にわかるように(共通認識をもちやすいように)テーマだけ切り出して宣言しました。

・・・どうでしょう?思ったより簡素で拍子抜けしませんか?

OKRと6ヶ月プラン(月次テーマ)に入れたPMI実践に向けた事前訓練要素

岸本自身も、この内容自体はM&A実践訓練観点では、もっとキャッチーにしないと人を巻き込めないやろ!とか、ちゃんと資料で作り込んで浸透深められるでしょ!とか突っ込みはあると思いますが、それは岸本の実力不足ということで・・・。今回重要視したのは「何を統合対象とするのかのレイヤ分け」と「実態としての認識/動きの統合度合い」です。形式上の綺麗さではなく「統合の中身」と「その後の浸透徹底とその変化を検知できること」にこだわりました。
【経営統合_理念戦略レイヤ】OKRは会社理念、戦略を反映したものにする。
 → ユーザーファーストで数字や手段を先に掲げない。独自価値をデータベースに持たせたいことをObjectiveとして、効率化のための無駄なコスト削減はそのうえでKRで明確化(ユーザー価値をあげるためにコストを逓減、再投資できる余力をもつ)。話しして浸透+その理解度も確かめていく。
【経営統合_マネジメントフレームレイヤ】最初の「実行模索と調整」の範囲として、予算管理やもっている業務範囲、職権なども全部見直しを行うことを宣言する。
 → いままでのやり方を当たり前とせず、すべて変える前提で業務についてもらうことをお願いしました。岸本が経営企画からくるので必要あればコーポレートを始めとする他部署と調整する、というのがわかりやすかったとおもいます。
【業務統合レイヤ】6月から「体系的実行~振り返りと訂正」を行うため、業務フローの可視化や整備にも時間をかけることを宣言する。
 → 5月新入社員も来ることが確定しているので、そこにインストールしやすいよう、一旦資料として体系的に整理。ただそれ通りずっと業務するのではなく、6月に振り返り訂正することを辞さないこと先出し。すごく時間をかけるのではなく、粗くとも現場に役立つフロー可視化/整備をお願いしました。
【意識統合レイヤ】7月には目に見えた成果を出すこと、8,9月にそれ以上の成果を目指す/安定させるという先があることを示し、その反応を見る。
 → このときは6ヶ月で経営企画に戻ることは確定ではありませんでした(なんならもっと長くやる可能性のほうが高い見込みだった)が、プラン上は、期初計画を早く達成見込みをつけ一段階進化させる&そこからの進化安定化を入れました。それにより、「7月成果判断して足りなければ+2ヶ月でリカバリする」という話や、「最速で6ヶ月で離れられるように」と話をしていけます。こういった説明の反応、対話を通して、OKR達成に向けてどのような考え方/意識でいるか?を感じ取ることができます。
また、上記のような簡素な計画を元に実行推進するリカバリ策としても、PMI訓練としても、社員・アルバイト問わずかかわる各メンバー1人1人との説明/対話時間を最初に&全員と取りました。また、すべてのSlackやワークフローのやりとりに目を通し、それをふまえて会話をしていました。関係構築のためはもちろんですが、「実態としての認識/動きの統合度合い」を感じるために、初期値の設定が最も大事であり、そのためには何より「対話」以外に手段はないと思っています。
また最初の1週間ひたすらにフロアを歩き回りつつ、「課題解決の妖精(要請)チャネル」をつくったり、午前は常時オフィスアワー(何でも質問相談受付時間)にしたり、ありとあらゆる形で接点を増やし、自分がどの程度短期に力になれるか?と、頼ってもらえるか?を試しながら動いていました。結果的にすぐいろんな課題が集まり、その解決も即時可能なものが多かったので、結構トップダウンにリスクを取った変革もどんどん着手することができました。あと、トップダウンに遂行すること(アクションロードマップ)はありつつ、それ以上の成果を個々人が考え成果を出すこと&最後責任は岸本が持つことをお願いしただけで、日に日に改善の提案が上がってくる量が増え、シンプルにとても優秀で良い社員/アルバイトに恵まれたなぁとしみじみ思っています。(しかも超素人の経営企画おじさんが急に来た、というシチュエーション・・・)
余談ですが、信頼構築には解決する課題の大きさよりスピードが大事だと思っています。1on1とか、MTGで出た課題をそのまま即聞いたタイミングでSlackで進行開始/解決して確認だけMTG後~その日中にして終了=信頼を得る、を繰り返すイメージ。それができてきたら、Slackで横目に見えた困り事も、解決しておきましたよ!これであってます?みたいな感じでとにかく細かく解決、そこから大きな課題についても「実は・・・」「岸本さんにはまだ見えてないと思うんですが・・・」みたいに本当の課題について相談もらえるようになるという体感です。

ちょっと長くなったので、後編にわけて実践詳細は後ほど!

色々書いていたら長くなってしまいました・・・
前段+PMI計画(&初動?)までを前編として、後編は「計画はわかったけど、肝心な実践訓練内容はどうだったの?」という疑問に答える、濃いnoteにできればと思っています。

ちなみに:やってみてどうだった?

シンプルにPMI実践訓練として、とても良かった実感があります。その学びの内容と振り返りは、具体的には後編で詳しく書ければと思っています。またそれだけでなく、これからの経営企画としての実務のためにも、本当に良い取り組みでした。
事業推進部を立ち上げた4月は入社して1年半のタイミング。事業上がりの経営企画として、入社当初からかなり細かく事業の中身、オペレーションまでちゃんと頭に入れて戦略に責任をもつことを意識し、取り組んできたつもりでした。前のnoteでも、「マーケ戦略の立案・実行、プロダクト改善、組織体制整備、オペレーション構築といった下流の部分まで含めて、いわゆる一般的な経営企画業務を中心としながらも、領域に縛られずにその時に最も解決しなければいけない課題に対峙して、mybestのプロダクトマーケットフィットの実現に貢献していく必要がある」と書いていたのですが、まだまだだったと痛感しています。オペレーションの現場にしっかり立つことで、事業の解像度が上がり、とるべき戦略的選択肢の検討の練度が上がった感覚があり、これを活かして10月から更なるより良いサービス/事業になるよう、ユーザーファーストにやっていく!と心新たに、また10月からは経営企画としてマイベストにより大きな成長をもたらしていきたいと思っています。

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TwitterDMとかでも大丈夫です。

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それでは最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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