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2021年に最もダウンロードされたスマホゲームは何か?〜ダウンロードランキングが示唆する変化と今後の重要キーワード〜

あけましておめでとうございます。今年もゲームやアプリのマーケティングのことを発信していきますので、引き続きよろしくお願いいたします!

日本国内のスマホゲーム市場が本格的に始まったと言える2011年から数えて10年目だった2021年は市場の変化を明らかに感じた一年でした。これまで長く続いていた「モンスト」「FGO」体制の牙城を「ウマ娘」がついに崩して年間トップタイトルになったことは偶然ではないのかもしれません。

スマホゲームはその売上規模の大きさからセールスランキングに注目されがちです。ただし2021年も「ウマ娘」「原神」「プロセカ」の大躍進が目立つもののランキング上位タイトルの顔ぶれは大きくは変わっていません。ゆえに、市場の変化を捉えるにはセールスランキング以上にダウンロードランキングにも注目することが重要だと考えています。意外と注目されないのがダウンロードランキングなのですが、みなさんは2021年のダウンロードランキングの上位タイトルが何だったかわかりますか?

今回の記事では、App Annieに特別にご協力いただき、2021年の年間ダウンロードランキングを発表します。もしかしたら意外なタイトルがランクインしているかもしれませんのでぜひチェックしてみてください。

2021年国内スマホゲームダウンロードランキング

2021年国内スマホゲームダウンロードランキングTOP10(App Annie調べ)

『ウマ娘 プリティダービー』は、"ムーブメントのニーズ"を再証明

セールスランキングと同様にダウンロードランキング1位も『ウマ娘』でした。そのダウンロード数は圧倒的でまさに2021年を象徴するタイトルだったと言えます。"人気IPのゲーム"ではなく、”カジュアルなパズルゲーム"でもなく、アイドル×競馬×育成シミュレーションゲームの『ウマ娘』がこれだけのダウンロード数を集めたことに注目すべきです。これは過去の『パズドラ』『モンスト』に近いスマホゲームのムーブメントだったと感じます。

「スマホゲームを熱心に遊ぶアクティブスマホゲーマー」が「ウマ娘」に集中したからこそ、ダウンロードもセールスもこれだけの大ヒットになったと言えると思います。アクティブスマホゲーマー層のムーブメントは実は久しぶりで、近年は成熟化と分散化が進んでいる状況でした。成熟市場と言われるスマホゲーム市場においても、スマホゲーマーは今なお新しいムーブメントを求めていることを証明した大ヒットだったと感じます。

『Among Us!』は、"これからのゲームビジネスのカタチ"を提示

ダウンロード2位は2020年のコロナ禍で大ブレイクした『Among Us!』でした。特に広告で目立っている訳でもないため、意外だと思う人も多いのではないでしょうか。『Among Us!』が今なおダウンロードを拡大している要因は「YouTube」と「マルチプラットフォーム対応」の2点が大きいと考えています。

YouTube」は情報流通チャネルとしての役割はもちろんですが、「遊んで楽しむ」と「見て楽しむ」というゲームの2種類の楽しみ方を提案できる点に大きな意味と可能性がありますこの2種を兼ね備えたゲームこそが「動画映え」するゲームです。この2種類の楽しみ方があることで通常では考えられないほど多くの人がゲームの対象ユーザになります。さらにモバイルでもPCでもコンソールでも遊べる「マルチプラットフォーム対応」していることが対象ユーザの多さを漏れなく受け止めることができます。

YouTube」と「マルチプラットフォーム対応」はこれからのゲームビジネスにおいて重要になる2点です。『Among Us!』はこれからのゲームビジネスの在り方を示しており、ゆえに多くのダウンロード数を集めていると言えるでしょう。

海外タイトルが、スマホゲームマーケティングの固定観念を崩す

3位の『プロジェクトメイクオーバー』、そして10位の『パズル&サバイバル』はランクインしているのが意外なタイトルかもしれません。どちらも海外(中国)からの日本国内参入のオリジナルタイトルにも関わらず、国内の人気IPタイトルとダウンロード数で肩を並べています。これらは国内のスマホゲームマーケティングの"固定観念"を真っ向から否定するようなヒットタイトルです。

  • オリジナルタイトルでのヒット創出はかなり難しい

  • オリジナルタイトルでのヒットにはメディアミックスが必要不可欠

  • リリース前からリリース初期のマーケティングで勝負が決まる

放置少女』『マフィアシティ』『荒野行動』『ホームスケイプ』『トゥーンブラスト』も同じように固定観念を崩したヒットタイトルと言えます。これだけの数のヒットタイトルが生まれている以上、もはや新しいセオリーの一つになっており、これらのタイトルから学べることはかなり多いはずです。もはや成功体験のアンラーニングが必要であることも認識すべきです。

IPタイトルに求められるファンサプライズ&ファンドライブ

有名IPタイトルと言えるタイトルも『プロセカ』『ダンカグ』『リィンカネ』そして『ツムツム』がTOP10にランクインしていました(他にも2021年には『ニノクロ』『まおりゅう』など目立ったタイトルがありました)。数年前に比べると有名IPタイトルのランクインは少なくなった印象ですが、それでもやはりIPタイトルには強いニーズがあるのは間違いありません。しかし「IPタイトルだからダウンロードがたくさん取れる」という時代はとっくに終わっています。ファンが期待した以上の品質の体験を提供し、高い満足を感じてもらえるタイトルでないとヒットしない状況が続いています。

ファンベースを大前提に、ファンサプライズな体験を提供し、ファンに強く応援してもらうことでタイトルの成長をドライブしてもらう。これがIPタイトルに求められていることだと思います。『プロセカ』『ダンカグ』『リィンカネ』は「こんなにダウンロードが取れるIPだとは思わなかった」という声も聞こえるくらいで、まさに強く体現したタイトルと言えるでしょう。開発運営のインタビューは必見です。

ダウンロードランキングから読み解くキーワード2022まとめ

  • スマホゲーマーは今なお新しい「ムーブメント」を求めている

  • これからもっと重要になる「YouTube」と「マルチプラットフォーム

  • IPタイトルに求められる「ファンサプライズ」と「ファンドライブ

  • スマホゲームマーケティングの「新しいセオリー」のインストールが必要(同時にこれまでの成功体験のアンラーニングも必要)

過去5年間の国内スマホゲームダウンロードランキングTOP20タイトルのデータ

最後におまけとして、こちらもApp Annieにご協力いただき、2017年から過去5年のダウンロードランキングのTOP20のデータも公開しておきます。過去からの流れを見ていくと、より変化がわかりやすいと思います。

2017年〜2021年の国内スマホゲームダウンロードランキングTOP20タイトル(App Annie調べ)
  • 日本国内のスマホゲームの年間ダウンロード数は5年以上減少が続いている。これが今後反転することは考えにくいため、新たなるダウンロードを求めるためには「グローバル」が重要になる

  • 日本国内において2018年〜2019年に大席巻していたハイパーカジュアルは2020年からランクインしているタイトル数が少なくなってきている。まだまだニーズがある強いジャンルの一つではあるが変化も現れている

  • 『ツムツム』『モンスト』『荒野行動』など、数年にわたってダウンロードランキングTOP20に入っているゲームはとても強いタイトルと言える

以上のようにダウンロードランキングはセルラン以上に市場の変化の学びがあるデータだと考えています。もちろん新規タイトルはリリースタイミングによってランクインの具合は変わりますし、ランク中位でもたくさんの示唆があります。ぜひダウンロードランキングにも注目してみてください。また、もしこの記事が少しでも参考になりましたら、ぜひ「スキ」を押していただければとてもうれしいです。

まだまだ解決すべき業界の課題はたくさんあると思っています。少しでも解決の貢献ができるように2022年も活動していきたいと思います。今年もよろしくお願いします。

本記事はApp Annieから提供を受けたデータをもとに書いています。App Annieはとてもたくさんのアプリ業界のデータを取り扱っておりとても参考になります。さらに詳しいデータはぜひApp Annieをご活用ください。
https://www.appannie.com/jp/

App Annie|アプリ市場データと分析プラットフォーム

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